2017年02月05日
大阪本社大企業101社で内部留保34兆円
前年比1兆4366億円増
活用して賃金引上げを
大阪労連がビクトリーマップ
2017年春闘で月額2万円以上、時間給150円以上の賃上げ要求を掲げる大阪労連(全大阪労働組合総連合・川辺和宏議長)は1月23日、「2017年国民春闘勝利!ビクトリーマップー大企業の内部留保と経済波及効果と雇用創出」を発表。大阪の大企業101社の内部留保の総額は約34兆円に上ることを明らかにしました。内部留保のわずか1~2%を取り崩すだけで月額2万円、非正規社員時間額150円以上の賃上げが可能だと分析しています。 「内部留保」調査は、大阪に本社を置く資本金100億円以上の大企業101社(昨年は104社)を対象に調査。それによると、101社の内部留保の総額は、前年比1兆4366億円増の33兆9943億円。このうち内部留保が1兆円を超える9社の総額は15兆1595億円で、全体の44・5%を占めています。経常利益の総額は前年比9825億円増の5兆1080億円。経常利益が1千億円を超える19社の総額は3兆4638億円でした。 会見の席上、大阪労連の舛田佳代子副議長は、内部留保を平均1・54%取り崩せば、そこに働く労働者に月額2万円(一時金4カ月含む)以上、非正規社員の時給150円以上の賃上げが可能と指摘しました。賃上げ効果は約3871億円の消費を喚起し、新たに約3502億円の生産誘発を見込み、2万418人の新規雇用が見込まれると説明。「賃上げは労働者の消費購買意欲を高め、内需拡大と新規雇用につながる。地域経済に与える影響は大きい」と強調しました。 労働者の生命や健康を脅かす長時間労働の弊害に言及した舛田氏は、「労働時間の厳格な管理が必要」と述べ、正規労働者の時間外労働をなくすことで約21万人、年次有給休暇の完全取得で8万人の新規雇用増が見込まれると指摘。「大阪と関西の経済活性化のため中小企業の経営改善も重要。正社員と同時に非正規労働者の待遇を改善し、経済活性化の好循環を大阪で進める必要がある」と語りました。
1・54%活用で月2万円・時給150円アップ可能
内部留保が1兆円を超える企業
パナソニック | 2兆6151億円 |
オリックス | 2兆1245億円 |
関西電力 | 2兆1099億円 |
伊藤忠商事 | 2兆230億円 |
武田薬品工業 | 1兆7111億円 |
大和ハウス工業 | 1兆2361億円 |
住友電気工業 | 1兆2054億円 |
西日本旅客鉄道 | 1兆1241億円 |
キーエンス | 1兆103億円 |
9社の合計 | 15兆1595億円 |
従業員1人当たりの額(上位10社)
高木証券 | 2億7100万円 |
キーエンス | 2億 194万円 |
ワキタ | 1億6689万円 |
小野薬品工業 | 1億5212万円 |
田辺三菱製薬 | 9458万円 |
オービック | 8912万円 |
沢井製薬 | 6953万円 |
関西電力 | 6376万円 |
オリックス | 6374万円 |
日本触媒 | 6266万円 |
内部留保
企業の収益から原材料費や人件費などの費用を引いた利益をもとに税金を払い、株主配当などを除いて企業が蓄積したもの。大企業の多くは正社員の賃金抑制や非正規雇用労働者を増やすことなどで内部留保を積み増しており全国では銀行・保険業を含め386兆円に達しています。 法人税の引き下げなどの恩恵を受け大企業の実質法人税負担率は12%で、中小企業の19%と比べても優遇税制となっています。労働者の実質賃金は4年間で年額19万円減少し、家計消費は実質15カ月連続で対前年比マイナスになっています。 (大阪民主新報、2017年2月5日付より)