地域崩壊 まざまざ 韓国カジノ
わたなべ結 衆院候補 視察レポート
※日本共産党の、わたなべ結衆院候補(比例近畿ブロック、大阪3区)の韓国・カジノ視察リポートを紹介します。
大阪はカジノ誘致の有力候補地です。今国会で実施法をつくらせないために、急いで「カジノあかん」の世論を広げる必要があります。
そのために、2月1日から3日間、韓国国内で唯一、韓国人が入れる江原(カンウォン)ランドに視察に向かいました。主にカジノ視察、賭博中毒の対策をしている「賭博中毒管理センター」(国が設置)と「賭博中毒センター」(江原ランドが設置)、町起こし事業をしている「サブ村共同推進委員会」と懇談するためです。
IRごまかしだ
江原ランドは、ホテル、ショッピング、スキー場なども併設しているIR(統合型リゾート)です。しかし、懇談の中でも「IRというのはごまかしだ」という言葉が先方から出されたように、収益の9割方がカジノであり、カジノがなければ成り立ちません。
カジノが入るきらびやかな建物は、ソウルから車で約3時間半、マイナス10度の雪山の中に建っていました。周辺には車の絵を掲げた質屋やマッサージ店が軒を連ねるという、他の娯楽施設にはない特異な光景が広がっていました。私がカジノに入場したのは水曜日の夜8時頃。平日にもかかわらず入場口には列ができ、入場者数は約4000人と掲示がありました。平日は平均6000人、週末になると約1万人が訪れるそうで、その95%が国内客、多くがソウルから何時間もかけてやって来ると聞きました。入場料はかかりますが、一度入れば、甲子園の3分の1の広さの中で、朝10時から翌日の朝6時まで何時間も賭け続けられるわけです。スロットは空いている台がなく、予想外の盛況ぶりにため息をつきました。
こうした環境の中で生み出されるカジノ賭博中毒の罹患(りかん)率は、競馬や競輪など他の賭博よりも高く59・2%、10人に6人にもなると説明されました。賭けた結果が短時間で出るためです。「賭博中毒センター」での懇談の最中には、「早く入れてよ!」と大声で泣き叫ぶ女性の声が聞こえてくる場面もあり、深刻さの一端を垣間見て、胸がつまりました。
同時に、どの懇談でも深刻な問題として強調されていたのは、カジノによる破産、離婚、自殺、青少年への影響などによって、地域社会が壊れてしまう問題です。もともと、江原ランドがあるチョンソン郡は、1960年代から80年代まで炭鉱の町として栄えました。しかし、石油に取って替わられる中で衰退し、政府がカジノ誘致を提案し、2000年に設置された経緯があります。「サブ村共同推進委員会」によると、元鉱員が江原ランドに雇用される面もありましたが、その一方で住民の中に賭博中毒が広がり、青少年の犯罪率は全国平均の3倍に上り、働くことへの価値観が変わってしまったといいます。
大阪には弊害大
「カジノ廃止は選択肢にありますか?」という問いに、職員の方は、「カジノができても人口は減ったまま。代替産業にならないとわかった。将来、カジノ『縮小』を打ち出していきたい」とおっしゃっていました。ただ、新たな代替産業の対案がなく、完全に無くすのが難しい「必要悪」だというのです。日本の原発や米軍基地問題と重なりました。
どの懇談の場でも、「なぜ大阪にカジノをつくるのか理解できない」「大都会につくる弊害は大きい」と言われました。視察では、一度カジノをつくってしまえば、地域社会が壊され、依存せざるを得ない状況に追い込まれる危険が浮き彫りになりました。実際にそうした状況を体験されている方々の重い言葉を聞いて、まともな街づくりや経済成長のためには「つくらせない」ことが一番であると確信を深めました。実施法をつくらせない今のたたかいが非常に重要です。ストップするために、力を尽くします。
(2月8日「しんぶん赤旗」近畿面に掲載)