おおさかナウ

2017年02月12日

保育所・幼稚園の集約化・統廃合
子育て、子どもの利益に逆行
参院予算委 日本共産党・辰巳議員が追及

参議院予算委員会提出資料①関西テレビ「ワンダー」(2016年3月31日放送分)より辰巳孝太郎事務所が作成

参議院予算委員会提出資料①関西テレビ「ワンダー」(2016年3月31日放送分)より辰巳孝太郎事務所が作成

 日本共産党の辰巳孝太郎参院議員は1月31日の参院予算委員会で、大阪の例を挙げ、公立保育所・幼稚園の集約・統廃合の問題について質問しました。

 辰巳議員は、「保育難民、待機児童の問題は深刻」だとした上で、受け皿整備として、保育士資格がなくても条件により保育に従事させるなどの規制緩和が行われていることについて、「保育の質が今大きく問われている」と指摘。その上で、全国で広がろうとしている保育所、幼稚園の集約、統廃合問題をただしました。

 辰巳議員はまず、2015年に始まった子ども・子育て支援新制度の意義と目標、目的達成のための基本姿勢についてただしました。

 加藤勝信働き方改革担当相は、「子どもの最善の利益が実現される社会を目指すとの考えを基本に、子どもの視点に立ち、子どもの生存と発達が保障されるよう、良質かつ適切な内容及び水準のものとする」「一人一人の子どもの健やかな育ちを等しく保障することを目指す」必要と、「行政が子ども・子育て支援を質、量ともに充実させる」ことなどを挙げました。

自衛隊駐屯地横に新園予定

参議院予算委員会提出資料②毎日放送「Voice」(2016年3月28日放送分)より辰巳孝太郎事務所が作成

参議院予算委員会提出資料②毎日放送「Voice」(2016年3月28日放送分)より辰巳孝太郎事務所が作成

 辰巳議員は、八尾市で、26ある公立保育所と幼稚園を5つの認定こども園に集約する計画が進められていることを紹介(資料1)。その1つが、自衛隊駐屯地の真横に設置される予定(資料2)で、保護者から大きな懸念が示され、かつて府知事が自衛隊駐屯地にオスプレイ配備を提言したこともあり、「なおさら心配の声が出されている」と述べました。

 西崎文平・子ども子育て本部統括官が園の設置基準について、「幼児教育上適切で、通園の際安全な環境に定めなければなら」ず、「指導上、保健衛生上、安全上及び管理上適切なものでなければならない」と答えたのに対し、辰巳議員は、「八尾のような施設は不適切ではないか」と追及しました。

 加藤担当相は「最終的にはそれぞれの地域で設置者及び認可権者が適切に判断」と述べました。

撤回になったこども園計画

参院予算委で質問する辰巳議員=1月31日

参院予算委で質問する辰巳議員=1月31日

 辰巳議員は、阪南市の認定こども園計画を紹介。家電量販店ヤマダ電機の建物を改修し、市内の市立保育所3カ所と幼稚園4カ所を1つの総合こども園に統廃合して630人の子どもを集めて保育する計画に、保護者から猛烈な反対の声が出され、撤回に追い込まれたと述べました。

 その上で、保育所を選んだ理由として一番多いものをただしたのに対し、塩崎恭久厚労相は、調査結果から「自宅から近い」が一番で62・5%だと答弁。辰巳議員は、「家に近い保育園、幼稚園を選ぶのは当然」だとし、距離が遠くなる、通園時間が長くなるのは、「教育上適切で、通園の際安全な環境」を求める設置基準や、「一億総活躍」にも逆行すると批判しました。

統廃合の背景に国の後押し

 辰巳議員は、統廃合が広がる背景には、総務省が進める「公共施設等総合管理計画」があると指摘。高市早苗総務相の答弁で、この間に集約・統廃合された公共施設の3割が保育施設であることが明らかになり、辰巳議員は、集約することと延べ床面積が減少することが条件になっているとし、「国が後押しして、統廃合を進めている」と指摘。「子ども子育て支援法のいう『子どもの最善の利益』は全くない」と述べ、国が公立保育所に対する建設、運営費補助などの廃止や一般財源化を進めてきたことを批判しました。

 安倍晋三首相は、「園の配置の在り方は、地域の実情に応じて、子どもの利益にかなうかどうか各地方団体で検討されるべき」と、政府責任を棚上げしました。

(大阪民主新報、2017年2月12日付より)

 

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