民間病院の誘致は白紙撤回を
現地建て替えで存続を
尾上大阪市議「今こそ舵切るべき」
住吉市民病院
大阪市立住吉市民病院(同市住之江区)の廃止後に市が誘致する民間の南港病院(同区)の開院が予定の2018年4月から2年遅れる問題について、1日の大阪市議会民生保健委員協議会で集中審議が行われました。
市議会民生保健委員協議会
開業遅れ赤字の公費負担求める
当初の整備計画では、南港病院が住吉市民病院跡地の北側に移転し、209床の病院を建設する予定でした。ところが隣接する住宅の日影規制のために建てられないことが判明し、計画の修正で開業は2年遅れに。南港病院は市民病院施設を使って暫定的に開業し、完全移転まで2カ所で運営するため、2年間で11億5千万円の赤字が出るとして、市に公費負担を求めていました。
補助金と無利子貸付で12億円も
委員協議会で市は、返済不要の補助金4億8千万円(上限)、無利子の貸付金7億円(同)の計11億8千万円を出す支援策を説明しました。
日本共産党の尾上康雄議員は、計画変更の経過や南港病院側の問題点などを指摘し、支援策は認められないと表明。「南港病院の誘致は白紙撤回し、住吉市民病院の医療機能を公立としてしっかり維持・継続することが最善策だ」と力説しました。
このような提案する時点で失格
尾上氏は、南港病院が日影規制を持ち出し、予定通りに開院するには新病院建設を南側に変更し、現在使用中の市民病院施設を解体することを市に提案していたことを示し、「そもそもこんな提案を平気でする民間病院は、この時点で失格だ」と断じました。
さらに大阪市南部保健医療協議会がことし1月、新病院が提案通りの医師・助産師を集められない場合は、南港病院を撤退させるべきだとの決議を上げたことは、「専門家の意見として重い結論だ」と主張。全面開業後も収支は厳しく、貸付金が返済される保障はないとし、「南港病院は医療的にも経済的にも小児周産期医療を担う力はない」「住吉市民病院の現地建て替え、存続に舵を切るべき」と求めました。
自民党も公明党も支援策を批判
この日の委員協議会では自民、公明も支援策を批判しました。自民党の山本長助議員は「なぜ民間病院に対して公的資金を投入しないといけないのか、納得できない。地域や医師会の反対を押し切って再編計画を推し進めてきた。その中で今回のスキーム案を審議するのはおかしい」と強調。公明党の明石直樹議員は「矛盾するものばかりで根拠もなく、認められない」と主張しました。
吉村洋文市長は「価値観はここで(医療)空白をつくらないこと。それが公共の役割」などと答えました。
住吉市民病院の閉院後に誘致する民間病院の全面開業が2年遅れとなり、医療空白の危険や道理のない公金投入が問題になっています。(大阪市住之江区)
(大阪民主新報、2017年2月12日付より)