おおさかナウ

2017年02月12日

地下鉄・バス民営化、「都」構想、カジノ誘致…
大阪市議会 重要案件焦点に 14日開会

 大阪市議会が14日開会します(3月28日閉会予定)。吉村洋文市長(大阪維新の会政調会長)は来年度当初予算案のほか、公営としての地下鉄・バスを廃止する条例案を提案し、民営化問題は緊迫した局面に。さらに、「大阪都」構想の設計図をつくる法定協議会の設置議案や、カジノ・万博誘致を推進するため関連予算・議案など、大阪市の将来を左右する重大案件が焦点になります。

民営化は重大局面

「大阪市をよくする会・平野区連絡会」の宣伝で、地下鉄・バスの廃止条例案の否決を求める署名を呼び掛ける日本共産党の小川陽太大阪市議、石谷ひさ子・衆院大阪2区候補=5日、大阪市平野区内

「大阪市をよくする会・平野区連絡会」の宣伝で、地下鉄・バスの廃止条例案の否決を求める署名を呼び掛ける日本共産党の小川陽太大阪市議、石谷ひさ子・衆院大阪2区候補=5日、大阪市平野区内

 昨年12月議会で、地下鉄事業の民営化の内容を定める「民営化基本方針」が維新・自民・公明など日本共産党以外の賛成多数で可決しました。バスの「民営化基本方針」は昨年3月議会で維新・公明の賛成で可決されており、吉村市長は今回、廃止条例案を提案します。

 しかし、民営化路線の破綻は、日本共産党などの議会論戦を通じて明白になっています。

 地下鉄会計にある現金・預金など1500億円は、交通局職員への退職金の支払いなどで使い果たし、新会社の手持ち資金はわずか70億円で、可動式ホーム柵の全駅設置や防災対策などは不可能に。「基本方針」では当面、大阪市100%出資の新会社をつくりますが、吉村市長は将来、株式上場・売却する完全民営化を否定していません。

 廃止条例可決には市議会(定数86)の3分の2(58人)以上の賛成が必要。維新(36人)、公明(19人)だけでは58人に達せず、自民は昨年12月議会で「あくまで基本方針への賛成であり、廃止条例は別」という態度。市民の財産を売り飛ばす民営化の阻止は、市民の世論と運動にかかっています。

狙いは大阪市廃止

 大阪市を廃止して「特別区」に再編する「都」構想の再挑戦を掲げてきた松井知事と吉村市長は、「特別区」の設計図をつくる法定協議会(知事・大阪市長、府市の議員で構成)の設置議案を、再び提案しようとしています。松井、吉村両氏は設計図=特別区設置協定書をまとめ、その賛否を問う住民投票を来年秋にも行いたいと公言しています。

 一方、吉村市長らは、大阪市を残したまま区の権限を強化する「総合区」の導入に公明党が積極的なことから、「総合区」の検討も進めています。今月6日には、現在の24区を8区に合区する「総合区」案を議会に示しました。

 市は昨年8月から全24行政区で、「総合区」と「特別区」に関する「住民説明会」を開きました。1月末に終了しましたが、住民説明会の参加者数は、定員の28%にとどまりました。マスコミも「関心の低さ露呈」(「読売」1月29日付)と書きます。

 それでも吉村市長は、来年2月議会に「総合区」の設置条例案を提案する意向を表明していますが、それより法定協議会設置の提案が先。維新の狙いがあくまで大阪市解体にあることを示しています。

カジノ誘致へ暴走

 松井、吉村両氏は2015年のダブル選後、大阪の「副首都」化を打ち出し、ことし1月末に中間的な取り組み方向を明らかにした「副首都ビジョン」をまとめました。そこで「経済成長面」の目玉とされているのが、カジノを核とした統合型リゾート(IR)と2025年の万博(国際博覧会)誘致です。

 両氏は府市共同の「IR推進局」を4月から設けるための関連議案を府市両議会に提出し、IRの構想案作成や調査費などを、府市折半で新年度予算案に計上する方針です。

 昨年12月の国会で、刑法で禁じられた賭博であるカジノを合法化する「カジノ解禁推進法」が、自民、維新、公明の多数の賛成で強行可決。1年以内に制定するとされている「実施法」ができてもいないのに、カジノ誘致に暴走する維新政治の異常さが際立っています。

(大阪民主新報、2017年2月12日付より)

 

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