法定協「反対派」排除 維新の〝クーデター〟
「都構想」強行へ暴走加速
道理尽くし正常化へ全力 ― 日本共産党大阪市議団 山中幹事長に聞く
橋下・維新の会の暴走が止まりません。「大阪都」構想の設計図(協定書)を協議する大阪府・大阪市の特別区設置協議会(法定協)から反対派を排除するなど、議会のルールも踏みにじって突き進み、「維新のクーデターだ」(大阪市議会関係者)との声も。この事態をどうみるのか、これまで法定協の議論に参加し、他会派との「一点共闘」の前進に尽力してきた日本共産党大阪市議会議員団の山中智子幹事長に聞きました。
何重にも暴挙重ね
――府議会で過半数に届かない維新は、浅田均法定協会長の要請を受けて、多数を占める議会運営委員会で法定協から自民と民主を維新に差し替えを強行しました(6月27日)。「虚構の多数」による暴挙ですが、大阪市議会の動きは。
山中 無法な暴走に対して維新以外の共産、公明、自民、民主系の4会派は道理を尽くして法定協の正常化を追求してきました。
法定協はことし1月末の第13回の会合で区割り案の絞り込みが否決されたことで、橋下市長らが一方的に議論を打ち切ったのを最後に、半年にわたって開かれてきませんでした。4会派が繰り返し開催を求めてきたにもかかわらずにです。
浅田会長は法定協の議事録を「調査」した結果、私や自民、民主系の委員が「大阪都」構想の是非を論じる「入り口論」に終始しており、「規約違反」だとして委員差し替えを求める文書を送ってきました。
私たちは、制度設計案を住民の立場から分析・検討して発言してきました。「調査」で「問題なし」とされた公明党の委員もこの間、「この方たち(共産・自民・民主系)の意見で議論が深まった。勉強させてもらった」と述べているほどです。
「規約違反」とは浅田会長の私見・独断です。これまで法定協を開いてこなかったばかりか、委員の差し替えで一方的に文書を送るなど、法定協会長の職務職責を果たしていないとして、浅田会長に辞職を求めました。
民意を反映した法定協の構成にするために、会派の議員数に応じて委員を割り当てる条例を制定するため、市議会としては臨時議会の招集を橋下市長に要求。また府議会での二重三重の暴挙を受けて、市議会の議運では、法定協が正常化されるまでは委員を推薦しないことを決めました。
設計図耐えられぬ
――暴走の背景には何があるでしょうか。
山中 橋下市長と松井知事は、昨年8月に協定書のたたき台となる「パッケージ案」を示しましたが、法定協の議論を通じて大阪市を解体してつくる特別区は、とても基礎自治体といえないものになることが明らかになりました。
財源が「都」に吸い上げられ、住民サービスは低下せざるを得ない。特別区で実施できない国民健康保険や介護保険など80もの事業は、「一部事務組合」が担う。特別区間に財政格差が生まれ、庁舎もばらばらになるなどの矛盾が、次々浮き彫りになりました。
橋下市長は出直し市長選に持ち込んだものの、過去最低の投票率でダブル選から得票を半減させるなど、「民意の後押しを得た」などとはとてもいえない選挙結果です。今回の反対派排除の暴走は、「大阪都」構想の設計図がもはや議論に耐えないものであることを、自ら認めたのも同然だと思います。
――橋下氏は「大阪都」構想の協定書を「7月中に完成させる」と豪語し、来年のいっせい地方選と同時に住民投票実施もほのめかしています。
山中 いくら設計図づくりを急いでも、維新が反対勢力を排除して再開した法定協には、民意は反映しておらず、法定協そのものの正当性が失われていると言わざるを得ません。
共同さらに強めて
「大阪都」構想の設計図の詳しい中身が、市民に広く明らかにならないうちに住民投票に持ち込むなどということは、維新の党利党略そのもので許されません。今回のような無法なやり方には、維新支持者の方からも批判や疑問の声が出るでしょう。
「大阪都」構想の問題点を住民の皆さんに知らせ、橋下・維新の会の暴走を阻止するために4会派の共同をさらに強め、あらゆる知恵と力を尽くしたいと思います。
(2014年7月6日付「大阪民主新報」より)