森友疑惑・府民生活 維新府政に迫る
2月府議会を振り返る
日本共産党 宮原威府議・石川多枝府議
3月24日に閉会した2月大阪府議会では、国有地が格安で売却された森友学園問題や府民生活・経済の再生が大きなテーマとなりました。議会の様相と今後の課題などについて、日本共産党の宮原威、石川多枝両府議に語っていただきました。
疑惑の真相究明へ全力
情報を隠し続ける府
宮原 何といっても、森友学園問題の真相究明を進めるかどうかが問われる議会でした。維新・公明が百条委員会の設置に反対したことをはじめ、維新府政と維新・公明は事実を明らかにすることに極めて消極的でした。
石川 府が徹底して情報を表に出さないことは驚きでした。
私学審議会の議事録も
最初に森友学園の小学校建設計画を審査した2014年12月と「条件付き認可適当」を答申した15年1月の府私学審議会の議事録は、私たちは豊中市議団から情報を受けた昨年から提出を求めていましたが、提出されたのは今年2月17日です。
しかもそこから先は、資料を請求してもほとんど出されなくなりました。私学審議会の配布資料や今年2月の議事録など、隠されたままの資料は多くあります。
宮原 13年10月から15年1月までの1年3カ月ぐらいの経過については、ほとんど資料が出されず解明されていないんですね。森友学園が府に小学校認可申請書を提出したのは14年10月ですが、それより1カ月前の9月に、すでに新関西国際空港会社に騒音対策補助金の申告を出しているのです。
さらに先立つ6月には、近畿財務局から豊中市に土地を森友学園の小学校に使用させる承諾書が出されています。その前の4月には、松井知事と、籠池氏が力を借りていた故・畠成章元府議が知事室で面会しています。
小学校の収支計画も未公開
石川 私学審議会で再三問題にされている、森友学園の小学校の収支計画も府は公開していません。これは森友側が拒んでいると言われていますが、森友学園の代理人だった酒井康生弁護士の関わりも解明されなければなりませんね。
真相解明に抵抗する維新・公明
宮原 府に呼応するかのような、私たちの質問への維新・公明のあからさまな抵抗も驚きでした。
石川 宮原議員の知事質問は私も傍聴しましたが、ヤジと怒号が飛び交う異様な雰囲気でした。
宮原 維新の会が森友学園の小学校の建設業者「藤原工業」から献金を受け取っていたことを明らかにした質問ですね。
あの時、森友学園問題の経過を表にして配布しようとしたら、「委員会と無関係のことが記載されている」と維新・公明などの議員が難くせをつけ、配布差し止めとなったのです。
宮原質問の議事録削除まで要求
さらに質問後、維新議員が「宮原議員の質問中、委員会に無関係の部分を議事録から削除すべきだ」と言い始めたのです。無関係の部分とはどこかというと、豊中市選出の維新府議が森友学園側と会ったり、別の維新府議が私学審議会の委員を務めていたことを示し、維新の会の関与を明らかにせよと迫った部分でした。
石川 実は、ある保守系府議が「あれ(議事録削除)はやりすぎやで」と私に耳打ちしたんですよ。
宮原 結局削除はされませんでしたが、まさに〝言論封殺〟も辞さずという態度でした。
百条委員会設置に反対
石川 維新・公明のなりふり構わない抵抗の極めつけが、閉会日の百条委員会設置反対だったと思います。直前まで、松井知事は百条委員会設置に賛成だと報じられていましたが、否決されることを承知で発言していた可能性もありますね。
宮原 2月22日頃までは、松井知事は「財務状況も教職員も揃ってきたと聞いている」などと発言しており、小学校を認可するつもりだったように思えます。ところが安倍首相が24日から態度を変える。「しつこい」とか、自分の名を冠して寄付を集めることも了解していないとか言い出しました。直後から松井知事も態度を変えてきて、森友学園の「財務状況」が問題だ、近畿財務局と国が問題だなどと言い始めました。
保護者の声受け止めた共産党のチームプレイ
宮原 石川議員は、森友学園が経営する塚本幼稚園の退園児保護者と懇談しましたね。
石川 退園してしばらくは子どもが排泄障害になっていて、他の保護者に聞くと、どの子もそんな状態だということで驚いたと話しておられました。通園バスを見るだけでしゃがみ込んでしまうほど心が傷ついていた。
他の園に移り、子どもが立ち直っていく中でお母さんも自信を取り戻し、やっぱり塚本幼稚園がやっていたことは間違いだと思えるようになったとおっしゃっていました。
給食の食器は貸し出しで、子どもは毎日その食器を持って登園し持って返ってくるそうですが、親がその日の献立表を見て、食器の大小や、箸かスプーンのどちらを持たせるなどを考えないといけない。それを間違うと子どもに罰が与えられる。その食器の上に、排便を失敗した下着を乗せて持ち帰らせられたことさえあるそうです。
宮原 お母さんたちが共産党生活相談所に相談し、豊中市議団による土地払下げ疑惑の調査とも結び付くことで、私たちも役割を果たせたのではと思います。
石川 共産党のチームプレイですね。
宮原 石川議員の質問で、私学審議会で認可適当の答申を出したのは無理筋だったことがはっきりしました。それから教育の中身がめちゃくちゃ。教育勅語だけでなく、子どもの成長を保障するよりも、自分たちの政治目的に利用するような「教育」です。
石川 障害があるなど特別に支援が必要な児童を受け入れた私立幼稚園に交付される「大阪府私立幼稚園等特別支援教育費補助金」をもらっていながら、必要な教員を配置していなかったのではという問題も、子どものことを考えていれば、あんなことはできないはずです。私の質問を受けて府は塚本幼稚園への立ち入り調査をしましたが、本来は保護者からの訴えを受けた時点でやるべきでした。
小学校認可、献金、問われる維新
宮原 私立小学校の設置基準を、森友学園が要望して府が緩めたということまでは、松井知事は認めています。維新の会に献金していた藤原工業は、金額の異なる3つの領収書の発行にも関わっており、まさに疑惑の渦中にいる業者です。森友学園問題の火元の一つが小学校認可に関わる問題であり、維新政治そのものが問われています。
石川 維新や公明は、問題を私学課職員の責任に押し付け、「再発防止策」などを言うだけで、百条委員会の設置すら反対して〝火消し〟をはかっています。
引き続き真相究明に全力
宮原 しかし国会では、証人喚問に立った籠池氏自身の口から、松井知事や東徹参院議員(元府議)をはじめ、大阪の政治家の名前が語られました。維新の中川隆弘府議(豊中市選出)は、籠池氏から相談を受けていたことを認めています。国も府も真相解明はこれからですね。
石川 私たちは今議会の閉会後すぐに、教育常任委員会をただちに開催するよう委員長に申し入れましたが、今後も審議を通じて真相究明を求めていきます。
府民と力合わせ暮らしと福祉守る
福祉医療費助成制度守る
宮原 暮らしと福祉の問題も今議会の焦点でした。福祉医療費助成制度の問題では、障害者などの医療費自己負担引き上げに対し、今議会だけで7万5千人の反対署名が届けられました。65歳以上の障害者など3万6千人への補助を打ち切る問題で、1年以内に限り継続する予定だったものを、知事は「3年間にする」と、わずかながら譲歩しました。
石川 この医療費助成の問題では、障害者や難病患者の皆さんと繰り返し懇談してきました。府は18年度から実施としていますが、市町村で5月議会にも条例改正案などが提案される可能性があります。また、東日本大震災の自主避難者の住宅支援でも、府が一定の譲歩をしましたね。
震災避難者の住宅支援
宮原 住宅無償が3月までで打ち切られたのですが、府営住宅に入居中の避難者の敷金は徴収しないことになりました。原発事故で大阪に避難し6年経ち、貯金も少なくなり心細い中で、家賃3カ月分の敷金がどれだけ大変なことか。喜びのメールももらっています。
法定協設置は継続審議
石川 今議会では、府・大阪市特別区設置協議会(法定協)設置が継続審議になりました。港湾一元化の関連議案・予算も知事は撤回しましたね。
宮原 森友学園問題の火種を早く消してしまいたいという思惑との兼ね合いもあり、府政全体が維新の狙うスケジュール通りには進んでいないと思います。カジノや万博、淀川左岸線延伸部など、国・府・大阪市が一体となった開発の推進体制と予算化がされたことは重大ですが、府民と力を合わせれば、2人でも府政を動かすことができると実感しています。
(大阪民主新報、2017年4月9日付より)