「都」構想復活・カジノ誘致許さない
維新政治に終止符を
大阪市をよくする会が総会
大阪市をよくする会(よくする会)が4月18日夜、大阪市中央区内で2017年度年次総会を開きました。20団体と20の地域連絡会から約70人が参加し、大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想の復活を許さないたたかい、カジノ誘致反対、市営交通民営化問題での取り組みなど、今年度の活動方針を決めました。
開発の失敗を繰り返す維新
報告した福井朗事務局長は、吉村洋文大阪市長と松井一郎知事が2018年秋に大阪市廃止・特別区設置のための住民投票の実施を狙い、大阪市の権限・財源を奪って夢洲へのカジノ誘致と25年の万博誘致を進め、90年代の大型開発の失敗を繰り返そうとしていると指摘。「市民の生活改善につながる市政の実現を目指すよくする会のたたかいが、重大な新たな局面を迎えている」と述べました。
活動方針を提案した福井氏は第1に、「都」構想復活を許さないため▽特別区設置の制度設計を議論する法定協議会の設置に反対する世論を強める▽すべての地域振興会役員への働き掛けを進める▽行政でのウオッチング活動や「上からの合区」を許さない世論をつくる▽今秋の堺市長選で維新市政を許さないため、「住みよい堺市をつくる会」と連携した取り組みを進めることを挙げました。
市民の世論を急速に広げて
第2にカジノ誘致阻止へ、あらゆる機会に「カジノ万博」の問題点を知らせ、府市両議会議長への署名など反対運動の展開を呼び掛けました。
第3に住吉市民病院の廃止後に医療空白をつくらせないため、民間病院誘致ではなく、大阪市の責任で医療継続するよう求める世論を急速に高めようと語りました。
第4に「何でも民営化」の「市政改革プラン」の具体化を許さない取り組みでは①市営交通の廃止の強行を受けて、コミュニティバスの実現と路線バスの充実、地下鉄駅のホーム転落防止柵の設置を求める②日本で前例のない水道民営化を断じて許さない③公的教育を破壊し、一部の施策を突出させて子育て世代の支持をかすめ取ろうとする維新の正体を地域の連帯の中で明らかにする――などを提起しました。
団体や地域の取り組み交流
討論では、「教育勅語を幼稚園児に暗唱させた森友学園は、道徳を教科化した安倍『教育再生』の最先端を行くものだ。安倍政権と維新政治による教育破壊を許さないたたかいを進める」(大阪市教)、「住吉市民病院問題で、大阪市が公的な医療機関を設置することを求める陳情署名に取り組み、5月24日には市民集会を開く」(住之江区)、「『職員基本条例』に基づく保育士給料の引き下げで、保育士不足になっている。待機児解消が全国的な課題なのに、大阪市は入所児童定数をこの3年間で400人減らす深刻な事態だ」(市役所労組)などの発言がありました。
明るい民主大阪府政をつくる会の荒田功事務局長が連帯あいさつし、維新政治を打ち破り、住民のための自治体を取り戻すため、ともに頑張る決意を語りました。
大阪市をよくする会の総会では日本共産党大阪市議団の山中智子幹事長が議会報告を行いました。その大要を紹介します。
大阪市はいま大きな岐路
共同広げて立ち向かおう
日本共産党大阪市議団 山中幹事長の報告
何の道理もない民営化
先の2・3月議会では、地下鉄・市バスの廃止条例が日本共産党以外の賛成で可決・成立しました。来年4月から大阪市100%出資の新会社となり、大阪市営地下鉄と市バスはなくなります。
よくする会や市営交通の会のみなさんが粘り強く運動され、私たちも議会で全力を挙げました。市営としての地下鉄・市バスを守り切ることができなかったのは、本当に残念でなりません。
議会論戦では公営のままの方が、市民・利用者や大阪市財政にとって有利であり、民営化には何の道理もないことが明らかになりました。「民営化基本方針」では、10年間は現在のバス路線・便数を維持するとしていますが、あくまで「原則」にすぎず、身近な足が守られる保証はありません。地下鉄の安全対策も心配です。
充実求める声をさらに
しかし、民営化されたからといって、地下鉄・バスが私たちの手から離れていくわけでは決してありません。住み良いまちづくりと市民の利便のために、市税と利用料で営々と築いてきた、市民の財産であることには絶対に変わりありません。
地下鉄・市バスを所管する交通水道委員会は、来年4月でなくなるでしょう。議会のコントロールが弱まることは避けられない中で、重要なのは市民の皆さんのコントロールです。「民営化基本方針」では「利益の最大化を目指す」と明記しています。安全対策などは置き去りにしてもうけを積み上げ、一日も早く株式上場・売却するのが本当の狙いです。これを許すわけにはいきません。
吉村市長や維新は、「民営化で市民サービスが良くなる」と言ってきたわけです。どの民間鉄道よりも安全で利用者に優しく、市民の移動を保障する公共交通となるように、引き続きバスの拡充、地下鉄駅の可動式ホーム柵の設置、交通ネットワークを充実せよという声を、今まで以上に上げていただきたいのです。
「敬老パス守れ」の声を
敬老パスの年間3千円の自己負担は、新会社になれば不要になります。公明党が廃止条例への賛成を正当化するために、新会社の負担とするよう主張し、吉村市長や交通局も了解したからです。民営化に賛成を取り付けるための一時しのぎに終わらせないために、敬老パスの存続を求める声を上げることが必要です。
再挑戦は絶対あり得ぬ
吉村市長や維新は、「副首都」を看板に大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想の再挑戦に、いよいよ本腰を入れ始めています。「特別区」の制度設計などを担う「副首都推進局」は、府市各30人の職員体制でしたが、4月から各20人ずつ増え、かつての「大都市局」と同じく100人体制に強化されています。
2・3月議会には、特別区設置協議会(法定協議会)の設置議案が提案されました。2015年5月の住民投票で明確に下った「大阪市廃止反対」の審判を踏みにじるもので、あり得ないことです。私たちは自民党とともに、きっぱり否決するよう主張しましたが、維新と公明党によって継続審議となりました。
法定協の設置を否決に
法定協設置議案が提案された当時、マスコミの論調は、公明党が賛成に回ることで可決を当然視するものでした。
それが継続審議になったのは、議会内のさまざまな駆け引きもありましたが、「都」構想にもう一度挑戦することにまったく道理がなく、市民の怒りが大きいからだと思います。
5月議会が次の山場です。住民投票で頑張った団体や個人の皆さんも、立ち上がり始めています。
5月17日には、中之島の中央公会堂で住民投票2周年の大集会も開かれます。こうした取り組みも成功させ、2年前を上回る大きなたたかいのうねりを起こし、何としても否決に追い込みたいと思います。
彼らの野望をくじかず、法定協を設置させるようなことになれば、大阪市はむちゃくちゃになるという大きな岐路にあります。政令市の大阪市はなくなって市民サービスはズタズタになる。カジノ誘致で街は荒れていく。こんな大阪を子や孫に絶対渡すわけにはいきません。
共同の到達点がいまも
万博を利用してカジノを核とする統合型リゾート(IR)を誘致する動きも本格化しています。
4月から府市共同の「IR推進局」が設置されました。予算議会でカジノ誘致やなにわ筋線、淀川左岸線延伸部などの巨大開発に真正面から反対したのは、日本共産党だけでした。
同時に、自民党は代表質問で「呼び込み型の大開発をやっても大阪は良くならない」「中小企業を大事にして庶民の懐を温めることが景気対策」と主張しました。
ここには何があるでしょうか。2年前の住民投票で「大阪市をなくすな」の一点での共同・連帯が広がる中で、投票公報で日本共産党、自民党、公明党、OSAKAみらいが一致して、「変えるべきものは『制度』ではなく『政策』です」と打ち出しました。紆余曲折はあっても、この到達点や合意が消えることなく、生きていると私は実感します。
ここを確信にして、住民投票の時の共同と連帯の絆を結び直し、大きな輪にして、今度こそ維新に打ち勝ちたいと思います。
「都」構想もカジノもいらない。暮らしや福祉・教育、中小企業の営業が一番。多くの人々との対話の中でこの声を広げ、「市民が主人公」の大阪市をスタートさせるため、頑張っていこうではありませんか。
(大阪民主新報、2017年4月30日・5月7日付より)