よくする会つくる会 共同拡大呼び掛け
「大義ない」自民もビラ折り込み

　大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想が頓挫する中、橋下徹前市長が強引に持ち込んだ出直し大阪市長選が９日告示されました（23日投開票）。橋下氏の他、無所属新人の３氏が立候補。今回の選挙を「大義も道理もない」と批判してきた、日本共産党も参加する大阪市をよくする会（よくする会）と明るい民主大阪府政をつくる会は「『大阪都』ストップ・維新政治打破」の共同を広げる立場から「独自候補」を擁立せず、自民・民主・公明の各党も候補者擁立を見送りました。
　７日、ＪＲ・京阪京橋駅前で新婦人府本部が取り組んだ宣伝。シール投票で「大阪都」構想反対・出直し市長選反対にシールを貼った年金生活の男性（74）＝大阪市東淀川区＝は、「敬老パスを有料にした橋下さんには腹が立つ。だまされた。弱い者いじめだ」とかんかん。
　元教員の女性（60）＝同阿倍野区＝も「（橋下さんは）上から目線で庶民の思いを感じられない。子どもたちの活動の場だった府立青少年会館を廃止するなど文化壊しは許せない」と怒りを込めました。

問題知らせ大いに運動

　出直し市長選への市民の怒りが広がる中で迎えた９日の告示日。よくする会の福井朗、明るい会の前田博史両事務局長は声明を発表（２面に全文を掲載）。選挙中も「大阪都」ストップ、維新政治ノーの運動を進め、機関紙の配布や対話、小集会を通じて市民の中で「大阪都」構想の問題点を明らかにすると共に、暮らしや営業を守り、歴史や文化を大切にする大阪市の役割を市民と一緒に考え、「維新政治を終わらせる第一歩として攻勢的な運動を行う」と表明しています。

大義なしと各党も批判

　自民党は「こんな大義のない選挙を、絶対に許しません」とアピールするビラ70万部を新聞折り込みなどで普及。橋下氏が再選されれば法定協議会の構成を変えると主張していることについて「自分たちが決めたルールなのに都合が悪くなれば人のせいにするのでは建設的な話し合いもできません」（竹本直一府連会長）と批判しています。
　民主党も告示前に「協議会で正々堂々の議論を」などと記すビラを発行しています。

「都」構想断念こそ筋――日本共産党　山下書記局長
「つどい」に1200人

　出直し市長選告示を前にした６日夜、よくする会と明るい会が大阪市北区・中之島の中央公会堂で開いた「出直し選に怒る市民のつどい」には会場いっぱいの１２００人が参加しました。

世界的にも

　講演した日本共産党の山下芳生書記局長（参院議員）は、東京の新聞が「日本版極右」の維新の会とどう対峙すべきかと問い掛ける特集を組んだことを示し、「維新発祥の地・大阪では答えが出ている。危険な潮流の台頭には幅広い市民が力を合わせて阻止する。これが大阪市や堺市などで積み重ねられてきた共同でつかんだ私たちの確信」と強調しました。

　山下氏は「大阪都」構想が二重三重に破綻していることを詳しく説明し、「市長を辞任したなら、そのまま市長から退き、『大阪都』構想もきっぱり断念するのが筋」と力説。出直し市長選について日仏共同テレビ局の記者が「フランスでも、極右とたたかう時は保守から共産党まで共同してたたかいます」と語ったことを紹介、「世界的にみても大義あるたたかい。胸を張ってたたかおう」と呼び掛けました。

励まされた

　リレートークでは大阪市立大学の男子学生、「橋下市長の『慰安婦』・性暴力発言を許さず辞任を求める会」の中野冬美さん、西淀川区姫島連合振興町会の大垣純一会長、大阪府小学校校長会元会長の西林幸三郎さん、帝塚山学院大学の薬師院仁志教授が、それぞれの立場から発言。参加者からは「『良識の共同体』を感じた」「こんなにも同じ思いの市民が集まり、励まされた」などの声が寄せられました。

「『都』構想で黒字」デタラメ試算で演説　橋下氏

　告示日に橋下氏は、大阪市中央区の髙島屋前での第一声に続き、市内２カ所で聴衆からの質問に答える「街頭タウンミーティング」を開催。宣伝カーに大型パネルを持ち出し、「今のままの大阪市では大赤字。府市再編で１３００億円プラスになる」などと、地下鉄民営化など「大阪都」構想とは無関係なものを「効果額」に入れるなど、でたらめな試算を使った説明を繰り返しました。橋下氏は「自民・民主・共産・公明の妨害で設計図づくりが止まっている」「皆さんの後押しを」などと叫びましたが、「『大阪都』構想に賛成」という聴衆からも「知事になったときは感激したが、今では『白けたおじさん』になっているのでは」（大阪市北区内）との疑問も出ていました。

(2014年3月16日付「大阪民主新報」より）