「自公維連合」
――馬脚あらわす維新
今国会で維新は、共謀罪法の成立を急ぐ安倍政権に手を貸す「自公維」与党としての役割を果たしました。かたや大阪ではまたぞろ「大阪都」を狙う「法定協議会」を設置。2年前の市民の審判に公然と刃を向けています。最近の動向を3つの角度で見てみました。
安倍政権の〝与党〟として
国政でくっきりしたのは安倍政権与党として一蓮托生となる維新の姿です。
共謀罪成立に最後まで手を貸す
大きな批判を生む「共謀罪」強行劇。維新は衆院では、自公との「修正協議」で合意。「強行採決」との批判を避ける狙いでした。しかし、「取り調べ可視化」の検討を付則に盛り込むことで自公と合意した「修正案」なるものは、およそ「修正」とはいえないしろものでした。立命大の松宮孝明教授は、参院法務委員会の参考人質疑で、「可視化はすべての犯罪で検討すべき。共謀罪の修正とは何ら関係がない」と怒りをあらわに指摘。意見を求めた大阪の東徹参院議員は一言も返せませんでした。
衆院法務委員会では、法務委員でなかった維新の丸山穂高氏(大阪19区)が、「質疑はこれ以上必要ない。直ちに採決に入って頂きたい」と促し審議を打ち切って、衆院での採決を強行しました。参院でも、維新は4野党がそろって出した内閣不信任案に反対。安倍内閣の強行採決に最後まで手を貸しました。
松井知事「改憲発議が国会の使命」
維新は、安倍内閣の狙う9条改憲においても、特別の役割を果たしています。
5月3日安倍首相が「読売」新聞紙上で憲法9条の明文改憲を発表したのにたいし、松井代表は「(改憲勢力が)3分の2以上ある間に発議するのが衆参両院の使命だ」と語り、改憲派集会にでた足立衆院議員は「自民党総裁が1歩も2歩も、5歩も10歩も前に踏み出してくださった」「『9条1、2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込む』という提案に反対できる政党はない」とまで述べました。
カジノ万博と改憲を引き換えに
見過ごせないのは、維新が万博・カジノの大阪誘致への後押しと引き換えに、国会運営や改憲への協力姿勢を示していることです。
昨年12月、カジノ推進法がわずか6時間の審議で衆議院を通過、成立しましたが、その背景に、維新の政権への急速な接近があったと言われます。年末には松井知事と橋下徹前代表が首相と会談(「毎日」12月25日)。維新の幹部自らが、「官邸は大阪でのIR(カジノを含む統合型リゾート)も大阪万博も実現するつもりだ。憲法改正で協力してくれというメッセージだ」と語っています(「毎日」16年10月29日)。
介護保険の利用料負担引き上げの改悪案も自公維で強行。
いまや「自公維改憲・悪政」連合ぶりは誰の目にも明らかです。(J・O)
加計・森友疑惑で真相解明を妨げ
安倍政権による国政私物化――加計・森友疑惑で、果たしている役割はどうでしょうか。
加計学園疑惑で
安倍首相の「腹心の友」が理事長の加計学園。首相の強い圧力が働き安倍首相の〝加計ありき〟で進められたことを示す文書が次々確認されています。ところが維新は、「安倍晋三首相と加計学園の理事長が旧知の仲であったというだけで疑惑のように取り扱っている。選挙のための党利党略でしかない。もういい加減にするべきだ」(松井一郎代表)「加計学園の理事長と首相が友達かどうかは枝葉の話だ」(馬場伸幸幹事長)という有様です。
「首相夫人の証人喚問は必要ない」!?
森友学園疑惑では、タダ同然の国有地払い下げに昭恵首相夫人の関与があったことは濃厚で、昭恵夫人の証人喚問は不可欠です。ところが、松井代表は、「国会で政治ショーが行われている」「森友問題は横において、大事な問題の議論を」「安倍首相夫人の昭恵氏の証人喚問は必要ない。総理の辞任に値する話ではない」と言っています。
松井知事は2012年4月、森友学園からの小学校設置基準緩和の要望を受け、基準を緩和しました。
しかし、緩和後も〝校舎の敷地を所有している〟ことが基準として残っていました。ところが、森友学園は、自己所有していない時点で認可を申請。基準を満たさない申請なのに府は受理。私学審では続出する疑義を押し切り、認可適当に誘導しました。なぜ、そこまで――。深い闇です。
さらに最近、森友学園が「2億円の寄附が入る」と府に届けていた会社社長が「1円も寄附していない」と発言し、財務面で問題なしとしてきた府の説明に新たな疑義が生じており、解明が求められています。
「すべて疑惑は解明」!?幕引きはかる
維新は府議会での百条委員会設置を否決するため、森友問題で維新府政と私学課にかかわる「疑惑は基本的に解明された」などと議場から失笑がもれる質問をくりかえしています。
しかし、森友学園理事長の籠池前理事長は国会証人喚問で「松井知事や府にお力添えいただけるよう畠先生(元自民党府議)にお願いした。そのおかげで…小学校設置の認可申請では特別な取り計らいをいただいた」とのべ、東徹参議院議員らの名も出しています。
テレビ報道では、2011年の大阪市長・府知事ダブル選挙時に、籠池夫妻らが松井知事と商店街を練り歩いている姿が放映されています。
なぜあわてて幕引きをはかるのか。真相をさらに徹底糾明しなければなりません。(H・N)
またぞろ「大阪都」を狙う
市民の審判ないがしろに
大阪府政・市政で、維新はどんな姿をさらけだしているでしょうか。
2015年5月、大阪市初の住民投票で橋下氏ら維新は、「これがラストチャンスだ」と公言し、公費を注ぐほか、政党助成金から5億円とも6億円ともいわれる宣伝費を費やす「金権選挙」を展開しました。それでも大阪市民は、「都構想ノー」の審判を下し、「大阪市」のもとで改革する道を選びました。
今回の「法定協議会設置」は、この住民投票での審判をないがしろにする「勝つまでジャンケン」というべきものです。
これは新たな矛盾を広げています。自民党は本部発行の機関紙「自由民主」号外で「勝つまで32億円!? まだやるの 税金で住民投票」ときびしく批判しています。
民意を無視
維新は、「法定協議会」設置に公明党の賛成をとりつけるうえで、大阪市の24行政区を合区して「総合区」にするという公明案も議論することを条件にしました。
しかし、これはまやかしです。「大都市法」が「法定協議会」で議論を義務付けているのは、「大阪市を廃止」して設置する「特別区」の「協定書」であり、「大阪市のまま」で区を再編する「総合区」は「法定協議会」で論議することも、住民投票も関係ないものです。
日本共産党の瀬戸一正大阪市議団長は法定協議会設置に反対する討論で朝日新聞の2月の世論調査を紹介しました。大阪市がとるべき態度にについて「いまのままがよい」46%で、「都構想導入」は33%となっています。
「特別区」か「総合区」かだけを天秤にかけ、「いまのままがよい」という最大の民意を無視するやり方はきわめて卑劣で重大です。
「維新政治」の徹底検証、明日の大阪像の府民的討論を
いま求められているのは、「大阪市廃止」ではなく、「維新」ができてから7年間、「維新で傷む大阪」(『AERA』)――大阪府政・市政がいかに歪められ、傷つけられたかの検証であり、そこから抜け出す明日の展望を府民的に論議することです。
住吉市民病院廃止問題では、「二重行政」とレッテルをはって市民病院つぶしにでた維新の失政ぶりがあらわになり、「医療空白」をつくらせず、公的責任で医療を守るための共同した市民運動が新たに高まっています。
――大阪の暮らしと景気を立て直す決定打・賃上げと人間らしく働けるルールを
――「格差と貧困」を打ち破り、人情も、商都大阪もよみがえらせる
――リニア、「カジノ万博」、無駄な開発にはノー。中小企業を経済の主役に
――「庶民の大阪」、民主主義と自治をよみがえらせる
――大阪の進路は大阪の庶民の手で
「維新政治」を根本的に転換し、「明日の大阪」をきずくためのたたかいと共同が強く求められています。(S・N)
(大阪民主新報、2017年6月25日付より)