大阪市が「特別区」区割り原案
来年秋に再び住民投票狙う
大阪市が公表した「特別区」原案
4区と6区の2種
大阪市を廃止して「特別区」に再編するいわゆる「大阪都」構想で、大阪市は14日の区長会に、4区と6区の2通りの区割り原案を示しました。
大阪市の吉村洋文市長(大阪維新の会政調会長)と松井一郎知事(日本維新の会代表)は、2015年5月の住民投票で否決された「大阪都」構想を蒸し返し、来年秋に再び住民投票を実施する考えを表明しています。
「特別区」の制度設計を議論する法定協議会(法定協)の第1回会合が6月末に開かれ、吉村市長は今後の議論のたたき台となる「特別区」の素案を、4区と6区の2通りの区割りで府市が作成することを提案。維新と公明の賛成多数で了承されました。
4区案は、1区当たりの人口規模を50~80万人に設定。現在の24行政区をなくし、A北、都島、東淀川、東成、旭、城東、鶴見、B福島、此花、港、西淀川、淀川 C中央、西、大正、浪速、住之江、住吉、西成 D天王寺、生野、阿倍野、東住吉、平野――の4つの「特別区」にします。
6区案は1区当たりの人口規模を30~60万人とし、現在の3~5行政区を1つの「特別区」にまとめるものです。
橋下徹前市長時代の法定協では5区案と7区案が議論になり、維新は法定協から反対派を排除し、単独で5区に絞り込んだ「特別区設置協定書」を決めました。
住民投票で否決された後、吉村市長や松井知事は「都構想をバージョンアップする」「設計図をつくり直す」などと主張してきましたが、大阪市を廃止・解体して権限・財源を府に吸い上げる「都」構想の本質に変わりはありません。
大阪市廃止の本質は不変
百害あって一利なしの都構想
山中日本共産党大阪市議団幹事長の談話
大阪市が「特別区」の区割り案を提示したのを受け、日本共産党大阪市議団の山中智子幹事長(法定協委員)が発表した談話は次の通りです。
◇
大阪市を廃止し、4区か6区に分割する区割り案が出されました。
一昨年の住民投票に至る議論を通じて、私たちは〝大阪市廃止は百害あって一利なし〟であることを証明し、否決という決着を見ました。「5区がだめなら4区か6区」だという乱暴な発想で出された案について、「財政格差を抑えた」と自画自賛していますが、とんでもない話です。
主要な税収を大阪府に吸い上げられ、自主財源の少なさに苦しみ、住民サービスを低下させざるを得ない本質にはまったく変わりがありません。また、分割できない事務・事業を担う膨大な一部事務組合が設置され、住民に身近なことさえ自分たちで決められない〝半人前〟の自治体になることも自明です。
今後、詳細な制度案が出されますが、無駄な大型開発の財源づくりであることを告発しつつ、4区であれ、6区であれ、〝百害あって一利なし〟の姿を浮き彫りにし、大阪市廃止を阻止するために全力を尽くします。
(大阪民主新報、2017年7月23日付より)