2017年08月06日
種子消えれば食べ物消える
日本の伝統食を考える会 種子法廃止で学習会
稲、大豆、麦の種子の生産と普及を国と都道府県に義務付け、地域に適した種子を農家に提供普及し、日本の食糧と食料の安全を守ってきた「主要農産物種子法」廃止の影響を考えようと、日本の伝統食を考える会が7月28日、大阪市中央区内で学習会を開きました。
元農林水産省職員で今も国が実施する農産物種子検査に携わる佐保庚生氏(農民組合大阪府連副会長)が「種子法廃止は誰のため」と題して講演しました。
佐保氏はまず、自然条件に制約される農業において古くから種子を守りつないできた農家の営みを紹介。「地域特有の気候・風土の中で多様な食文化を支える根幹の種子は、社会的な公共財であり、遺伝資源は人類共通の財産だ」と強調しました。
戦後の食糧増産政策を背景に制定された種子法は「きわめて優れた法律」と述べ、同法によって品種改良や安定供給が促進・実現されたと強調。おいしさや収穫量、病気・冷害耐性などを実現するため交配を重ねる品種改良の手順を示し、栽培品種コシヒカリが誕生するまでの関係者の努力に触れながら、「明治以前から日本にあった米を原原種、原種として何年もの時間と労力をかけて改良、開発された」と語りました。
規制緩和策による同法廃止の影響について、外資系企業による新品種の独占や種子価格が高騰する懸念を示し、「今日まで遺伝資源を守りつないできたかけがえのない種子を、企業のもうけに委ねてはいけない」と強調。「種子が消えれば食べ物も消えてしまいます。日本の農業と食糧主権を守るため、種子を守り農と食のあり方を考えていきましょう」と呼び掛けました。
(大阪民主新報、2017年8月6日付より)