おおさかナウ

2017年08月27日

最大の争点は「大阪都」構想
自由自治都市の発展へ 竹山市長
争点を隠して「停滞」論 維新の会
堺市長選9月10日告示

 9月10日の堺市長選告示まで2週間。4年前と同様に、大阪市と堺市をなくす「大阪都構想」をめぐり、“堺はひとつ”と明確に反対する竹山修身市長に対し、再び来秋の住民投票を狙う大阪維新の会が激突する選挙戦。「政令市のメリットを生かし自由自治都市堺の発展を目指す」と訴える竹山氏に対し、「都構想」は争点にしないとする維新が苦し紛れに持ち出したのが「停滞か成長か」論。事実を見ればその根拠は完全に破綻しています。

堺市・大阪市なくす都構想

タウンミーティングで3期目への決意を語る竹山市長=堺市北区内

タウンミーティングで3期目への決意を語る竹山市長=堺市北区内

 堺市長選の最大の争点は政令都市の大阪、堺両市をなくす「大阪都構想」の是非。現在、大阪府と大阪市が設置した法定協議会での協定書作りが進められ、来秋にも再び住民投票を行うとし、維新国会議員は「大阪都構想のことを考えれば何が何でも勝たなければならない」と堺市長選を最重要選挙と位置付けています

 「都構想は百害あって一利なし」と強く反対する竹山氏に対し、4年前の敗北から「『都構想』は争点にしない」と逃げの一手に終始する維新が持ち出したのが『停滞か成長か』という苦し紛れのスローガン。その中身は「竹山市政で借金が増えた」「大阪市は成長している」といったものですが、維新の記者会見で「(竹山市政について)具体的な失政だというものはないのか」と質問が出るなど、維新自ら争点だと言い出した「停滞」を何一つ証明できない矛盾に陥っています。

様々な指標で住みよい街に

 「子育て日本一」を掲げる竹山市長は、就任早々に子ども医療費助成を中学校3年生まで拡充。この間、保育所待機児を減らし、政令市で初めて保育料の第3子無償化を実現。学校教育でも小中学校へのエアコン設置とともに、政令市の権限を生かし「38人学級」を実現しました。

 国保料の8年連続引き下げや泉北高速鉄道の運賃値下げに加え、高齢者施策では1回100円でバスなどに乗車できる「おでかけ応援制度」を毎日利用に拡充しました。

 これらの施策の結果、「共働き子育てしやすい街ランキング」(日経デュアル)で堺市は関西1位(大阪市はランキング圏外)、「シニアにやさしい街全国ランキング」(日経グローカル)で堺市は府内1位(大阪市は17位)になっています。

 経済でも堺市の製造品出荷額は3兆8千億円で、大阪市を上回っており、1人当たりでは20政令市でトップ。08年からの7年間で堺市が5200億円増やしたのと対照的に、大阪市は9500億円減少しています。

堺をさらによくするために

 「成長のバロメータは、すべての子どもを大切にする環境づくりと、経済を動かす民間事業者の力」。堺市北区で開かれたタウンミーティングで会場いっぱいの約100人を前に竹山氏はこう語りました。

 企業本社の転入超過が5年間で28社(政令市2位)となる一方、逆に大阪市は468社の転出超過だとし、「企業進出の背景には、堺の中小企業がしっかりしていることがある」と述べ、「企業進出は経済活性化と成長につながります」と強調しました。

 竹山氏は、「一人の命も犠牲にしないよう災害対策を推進する」「安心して介護と医療を受けることができ、高齢者が大事にされる堺にしたい」などと3期目への決意を語り、「子どもたちが元気に成長し、歴史と文化、芸術を大事にするまちづくりを進め、一つのまちとしてつくられ発展してきた堺を、さらに良くしていくために頑張っていきたい」と語りました。

住民のまちづくり支える市政
南区の石橋尋志さん

泉北地域の自然を生かした特産品づくりや地域活性化を目指すプロジェクトなどに関わる堺市南区の会社員、石橋尋志さんにまちづくりの課題について聞きました。

 維新の会は南区の人口減とか堺市が停滞していると言っていますが、数字のトリックでしかなく、私たちの実感とは大きくかけ離れています。

 まちづくり運動に関わり始めた15年前、私は「高齢化」問題などに危機感を持っていました。しかし南区の持つ魅力や可能性を再発見し、人と人とのつながりや住民パワーが発揮される中、「単なるベッドタウンじゃない、新しい街を生み出したい」と考えるように変化してきました。

 竹山市長のもとで地域再生を担う行政部署は市長直轄となり、住民主体のまちづくり運動を行政が本気で応援してくれていると感じます。

 南区のまちづくり運動は着実に前進し、良くなっていると思います。これからも多くの人と手をつなぎ、堺で暮らし働きながら地域の発展のために頑張っていきたいと思います。

堺市財政は健全
ごまかしの「借金増」論破綻

 大阪維新の会が「堺市の借金が増えた」と宣伝している問題は、2016年度決算などを審議する堺市議会8月定例会でも各会派が取り上げ、維新の主張が事実に反することが浮き彫りになっています。

国の借金は増えた

財政の健全性示す国の指標 維新の会がビラなどで宣伝するのは「竹山市長の5年間で借金(市債残高)が1000億円増えた」などとする主張。しかし実際に増えたのは、国に代わって堺市が起債する「臨時財政対策債」で、後年度に国が元本と利息を全額交付税措置します。堺市の場合、臨時財政対策債を除いた市債残高は5年間で減っています。

 竹山市長は「借金増」の指摘に対し、事実に基づき反論し、国が示す財政健全指標の「実質公債費比率」は5・5%で、9・2%の大阪市や19・4%で「起債許可団体」の大阪府より健全などと強調しています(グラフ)。

「誤解を招く表現」

 こうした「借金増」の指摘は、以前から「恣意的データ利用」と警告されてきました。今年3月の堺市議会では、総務財政委員会の「委員間討議」が行われ、「臨財債は財源保障されていることに異論はない」「誤解を招くような表現は慎んだ方がいいと思う」などと確認。市議会でもすでに決着済みの議論となっています。

政令市トップ水準

 開会中の堺市議会に報告された2016年度決算報告は、一般会計、各特別会計、各公営企業会計すべてで黒字を計上。単年度収支は2010年度以降7年連続で黒字を確保。財政健全性を示す国の指標の経常収支比率でも、政令指定都市でトップクラスの水準になる見通しです。

最大の権限と財源を持つ政令市
最大限生かし市民サービス拡充
竹山市長

 18日に開かれた市議会本会議で日本共産党の森賴信市議が代表質問し、大阪維新の会が「堺市の借金が増え続けている」などと主張する問題を取り上げ、大阪市と比較した市債残高などの財政指標を質問。竹山市長に対し、政令指定都市・堺が目指すべき都市制度のあり方を問いました。

 市側は答弁で、市民1人当たりの市債残高は、大阪市が61万6千円、堺市が27万5千円(15年度普通会計)だと答弁。竹山市長は「基礎自治体として最大の権限と財源を持つ政令指定都市の機能を最大限発揮して、市民サービスの拡充を目指す」と答えました。

 森議員は、財政健全化を示す1人当たりの借金が堺市は政令市で5番目に少ないと述べ、「大きな借金を増やさず堅実な道を歩んできた」と指摘。大阪市で維新市政が文化予算を削り、赤バス廃止など市民サービスを切り捨てたことを告発。健全な財政運営を駆使し子育て支援や子どもの教育支援強化など市民目線で進めるよう求めました。
 

(大阪民主新報、2017年8月27日付より)

 

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