チェック!維新府政 府民のくらし守ろう
日本共産党府議団レポート
府が国保料大幅値上げ計画 ストップのたたかい早急に
8月9日、府内の共産党議員団が共同で、国民健康保険「府内統一」問題で府に対し緊急要望を行いました。現在でも高すぎる国保料が府内一本化でさらに大幅値上げになると示し、やめるよう求めましたが、府はあくまで強行する態度を変えませんでした。
貧困化と高負担がきわだつ大阪の国保
大阪府内の国保加入者は約237万人、府内人口の26%を占めます。この国保加入者の所得が減少し、生活が困難になっていると言われています。加入者1人当たり平均所得を1997年度と2015年度で比較すると、全国では19万7千円、22%減です。しかし大阪では34万5千円、39%もの減で、全国に比べても際立っています(棒グラフ)。
97年は消費税が3%から5%に引き上げられた年です。国民所得と消費の伸び悩みで経済全体が拡大しない局面に日本が入っていく、転機となった年です。その中でも大阪の国保加入者の急激な所得減少、貧困化はきわめて深刻だったと言えます。
そういった状況でも、国保料は年々上がってきました。同じ期間に大阪では、1人当たり8万1766円が8万8524円に上がっています。結果、国保料が所得に占める割合は、大阪では97年度には9・3%だったものが15年度には16・5%にまで増えています(折れ線グラフ)。これまでも、〝高すぎる国保料〟が府民を苦しめてきたのです。
二重の保険料値上げ=保険料・減免制度の府内一本化
国が国保への負担金を減らすなか、市町村は法律で定められた以上に一般会計から国保会計へ繰り入れ(法定外繰り入れ)、国保料を抑えてきました。15年度には府内市町村合計で206億円余りの法定外繰り入れをしています。
ところが府は、来年度からの国保「都道府県化」で、法定外繰り入れの解消を市町村に押しつけようとしています。法定外繰り入れが解消されれば、加入者1人当たりの年間国保料が8730円上がる計算になります。
国保料を、厚労省が公式には「市町村ごとに設定することを基本」とせざるを得ないにもかかわらず、府は全市町村で同じにする方針です。府が示した数字にもとづき私たちが試算したところ、年間所得200万円の現役世代の親と子ども4人世帯の場合、大阪市で年間約6万円の国保料値上げ、高槻市では約11万円もの値上げになります。
しかも府は、市町村が独自に行っている減免制度も府内で同じにし、自然災害や前年比3割以上の収入減少など一時的な特別のケースに限るとしています。今、高槻市では国保料が前年所得の16%を越えると減額されますが、このような低所得者のための減免は認めない方向です。
低所得者にとっては二重に国保料が上がることになります。
維新府政が安倍政権の国保改悪の先駆けに
国保料と減免制度の府内一本化押しつけは、もともとは安倍政権が計画したものです。しかし、18年度からの「都道府県化」は決めたものの、市町村ごとの所得水準や医療費水準の違い、世論や共産党の国会論戦などによって、都道府県単位での国保料一本化まではごり押しできませんでした。このため、大部分の都道府県では、市町村ごとの保険料や減免制度を認める方向です。
冒頭で紹介した府内共産党議員団との交渉でも、保険料を決める権限が市町村にあることは、府も認めざるをえませんでした。しかし同時に、府の担当者は「『市町村は、都道府県国民健康保険運営方針を踏まえた国民健康保険の事務の実施に努める』という条文もある」と述べ、一本化に従わない市町村には府からの交付金を減額する可能性も否定していません。
「最長6年間の激変緩和措置が講じられるから影響が少ない」との説明もされていますが、国が行う激変緩和措置は全国で初年度300億円で、徐々に減らされます。初年度大阪に20億円配分されたとしても、府内市町村の法定外繰り入れの1割に過ぎず、国保加入者の負担抑制には“焼け石に水”です。
維新府政は、橋下知事誕生以来、「国保料値下げのために税金をつぎ込むのは究極のバラマキ政治」と激しく攻撃していました。10年には橋下知事(当時)と一部市町村長が国保料一本化、減免制度削減、法定外繰り入れ解消で「合意」しました。国保一本化を当初から狙っていたのです。
維新府政による国保一本化の押しつけは、安倍政権の国保改悪の突破口であり、全国に住民いじめを広げる先駆けになります。
府内各地で「国保料値上げストップ」の論戦と運動を
府は一部市町村の担当者とともに、9月初めには2回目の保険料試算を示し、年内にも国保「運営方針」を決める計画です。一本化による国保料大幅値上げをストップできるかどうかはこの秋の取り組みが重要です。
府内各地で、「国保料大幅値上げ=保険料と減免制度一本化はやめよ」の声を広げ、署名など府民の切実な声を自治体に届けることが大事です。市町村議会で府宛ての決議が採択されるなどの動きが広がれば、府の計画は狂わざるをえないと思います。日本共産党府議団も先頭に立ってたたかいます。
(大阪民主新報、2017年9月3日付より)