新名神高速工事現場 1年半足らずで5人死亡
共産党議員らが現地調査
箕面市下止々呂美の新名神高速道路の建設現場で12日未明に19歳の作業員が作業中に転落し死亡する事故が発生し、日本共産党の清水ただし衆院議員や関係市町村議員らは、15日の近畿整備局への緊急申し入れに続き21日に現地調査に入り、西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)から聞き取りをしました。
建設職人基本法制定も国の対応不十分
調査には、清水議員のほか、同党の山元たけし衆院大阪9区候補、みわ智之同11区候補、石川多枝府議、松岡ちひろ枚方市議、神田隆生箕面市議、兵庫からも吉見秋彦衆院兵庫6区候補、練木恵子県議、黒田美智川西市議らが参加。無所属の箕面市議らも参加しました。
作業中止の指示直後の事故
作業員は午前4時20分ごろ、高架橋の道路面の裏側で足場を解体する作業中に約28メートル下に落下しました。命綱付きのベルト「安全帯」を装着していましたが、先端のフックを固定していなかったといいます。当時、現場は午前3時ごろから雨が降り出し、同4時ごろに雨脚が強くなり、作業中止を指示した直後の事故でした。
非常事態宣言を社長の名で
新名神の建設現場では一年半足らずの間に相次ぐ事故で、5人が亡くなっています。
昨年4月に神戸市北区で橋桁が約15メートル下の国道に落下し、作業員2人が死亡、8人が重軽傷を負う事故が起きました。昨年10月には兵庫県猪名川町で作業員が転落死。今年6月には今回の事故現場近くで、クレーンから落下した鉄板の下敷きになって、作業員1人が死亡しました。
近くでは死亡事故以外にも橋桁を仮支えしていた支柱が下を走る箕面有料道路に倒れる事故も起きています。
6月の事故を受けて同社は、石塚由成建設工事安全対策本部長(同社社長)名で非常事態宣言を出しています。
大阪労働局が緊急立ち入り
清水議員やみわ候補、枚方市議らは今回の事故の前日にも同社を訪れ、枚方市域の工事概要を聞き取るとともに、安全対策強化を申し入れたばかりでした。
大阪労働局は7月3~20日に、新名神の現場を含む府内の建設現場に緊急立ち入り調査を実施し、新名神の建設工事では44の現場中10カ所で法令違反を確認し、是正を指導しました。墜落・転落防止に関する違反は5件でしたが、同社によると今回の現場は含まれていないといいます。
工事スケジュールは過密に
事故の起きた高槻JCT・IC~川西IC間の開通予定は11月です。事故が起こると工事は一時ストップされますが、工期は変わらないため、工事スケジュールは過密になっていることも考えられます。
山に囲まれた現場を見た議員・候補者らから「一般車の通行を制限する必要もない開通前の道路なのに、深夜作業は必要なのか」など疑問の声が出ました。
工期の見直し含めて対策を
清水議員は「大変深刻だ。この間の同社の原因究明や再発防止策は不十分だったのではないか。国会では建設現場で働く方の事故防止などを目的にした『建設職人基本法』が成立したばかりだが、この間の国の対応は極めて不十分で、工期の見直しも含め本当の安全対策をすべきだ」と話しました。
(大阪民主新報、2017年10月1日付より)