「堺はひとつ」市民の共同が勝利
堺市長選 竹山氏が維新候補破り3選
「都」構想に再びノーの審判
9月24日、投開票された堺市長選で、日本共産党も加わる「住みよい堺市をつくる会」が自主的支援した現職の竹山修身氏(67)=無=が16万2318票を獲得し3選を果たしました。維新の会と一騎打ちとなる前回同様の選挙構図で元府議の新人、永藤英機氏(41)を退けた竹山氏は、「堺の自由と自治を守り、市民と一緒に政令指定都市堺を発展させる」と力強く決意を表明しました。投票率は44.31%(前回50.69%)でした。
午後9時半、「当選確実」の報が入ると、選挙事務所は地響きのような大歓声に包まれ、「たけやまコール」が沸き起こりました。満面の笑顔で姿を見せた竹山さんは、握手攻めにあいながら壇上へ進み出て、支援者と一緒に「万歳三唱」を何度も繰り返しました。
大激戦を制しての勝利に、「やった!」と飛び交う支援者の拍手と声援。竹山さんは何度もガッツポーズをつくって応じ、ハンカチで涙を押さえる人の姿も見られました。竹山陣営と広範な市民共通の合言葉「堺はひとつ!」のコールを響かせ、「勝利のくす玉」を割り、支援者たちは笑顔いっぱいに勝利の喜びを爆発させました。
政令市・堺の発展を進める
「堺は『大阪都』構想に入らないことを再度確認したたたかいでした」。勝利の弁で竹山さんはそう語り、「市民みんなが一緒になって元気な大阪をつくっていく。『都』構想はやめて再度大阪を元気にする」と強調。3月7日の出馬表明以降、地域へ出向き、市民に対し2期8年の実績と今後4年間の決意を伝えてきたとし、「その結果が今日の勝利に結びついたと思います。市民の信託を真摯に受け止め、4年間、政令市として堺の発展を、皆さんとともに進めていきたい」と決意を語りました。
市民が示した「都」構想ノーの判断
堺市長選 竹山氏が3選
〝次は大阪府・大阪市で〟
反「都」構想の旗印で結集し
市長選の最大の争点は、大阪維新の会が目指す「都」構想の是非でした。「堺では議論する段階ではない」と維新は「都」構想を封印。竹山さんは争点隠しと批判し、政令市を解体し権限と財源を府に吸い上げる「都」構想は、「市民にとって百害あって一利なし」と、断固反対を訴え続けました。
維新は国政政党「日本維新の会」の国会議員らを堺に投入し、総力戦を展開。しかし、反「都」構想の旗印の下、2期8年の実績に基づき市民の暮らしと福祉を守る市政発展を掲げた竹山さんを押し上げようと、政党や団体、立場を超えた広範な市民の共同が広がる前回同様の対決構図になりました。
日替わりビラで真実伝える
日本共産党も加わる「住みよい堺市をつくる会」は、「都」構想ノー、維新政治ノーの立場で竹山さんを自主支援。維新の「都」構想隠しや「堺は停滞している」などのフェイク(まやかし)宣伝に対し、日替わりビラ「日刊 堺はひとつ」の駅頭配布や総対話の取り組みを展開。竹山市政の豊かな実績など真実を伝える大きな役割を果たしました。
うそのない政治取り戻そう
「都」構想に再びノーを突きつけた結果について、選挙事務所であいさつした各政党・団体の代表は、「政令指定都市における都市経営のあり方に市民が評価した大きな意味を持つ」、「堺市発展のために頑張った竹山さんの政治力を壊そうとする勢力に、堺市民が一丸となってたたかった結果」と勝利の意義を強調。「次は大阪府と大阪市を正常化し、うそのない政治、誠実な政治を取り戻すためにたたかいましょう」「堺市民の皆さんは2度正しい判断をした。大阪市民は来年また住民投票という大きな岐路に立つ。堺で勝った力で次は正常な大阪を築こう」と呼び掛けました。
最後の締めくくりに、「堺の未来のために!竹山市政3期目今日からスタートです!」と宣言。「堺はひとつ!」コールを響かせました。
日本共産党の辰巳孝太郎参院議員、わたなべ結衆院候補(近畿比例、大阪3区)も駆け付け、竹山さんを祝福しました。
都構想ノーで勝利した
「私どもは選挙の論点は『都』構想だということを掲げ、ノーということを確認しました。私は『都』構想ノーで勝たせていただいたと思っています」
堺市長選開票日の共同インタビューで竹山氏が語ったように選挙結果は、大阪維新の会が実現に執念を見せる「大阪都」構想ノーの市民の意思表示となりました。
今年3月の3選出馬表明で、竹山氏は、「『都』構想は政令市を廃止して権限と財源を縮小するもの」「堺市にとって百害あって一利なしだと考えています」と反「都」構想の立場を鮮明に打ち出しました。
背景にあったのが、2015年5月の住民投票で一度否決された「大阪都」構想を再び蒸し返す動きの急加速。心配した多くの市民から「堺の自治を守ってほしい」「何とか頑張ってや」との声が寄せられたといいます。
「私が大切にしたいものは、先人から受け継いだ堺の歴史と伝統、その精神。現在で言う『基礎自治体優先の原則』であり、『堺のことは堺で決める』ということ」と竹山氏。「市民の福祉、まちづくり、都市の自治を向上、発展させることが私の務めと考え、今一度出馬の決意を固めた」と3選への強い思いをにじませ、3月以降、多くの場面で「堺を守る」「堺はひとつ」と「都」構想ノーを訴え続けました。
対話の現場に1千回も
「現場主義」「市民目線」のモットーが示すように、竹山氏は、住民に最も身近な基礎自治体の重要性を、繰り返し有権者に訴えました。
エピソードの一つが府職員時代の旧美原町出向です。当時の町長が長靴を履きぬかるみの中を歩いて町民の声を聞く姿に感銘を受け、基礎自治体の行政の大切さをはっきりと自覚したという竹山氏。「美原は政治家としての原点」と語り、「堺市と合併して美原区は存続・成長を続けた。住民に暮らしを支える基礎自治体、政令市・堺を守ろう」と訴え続けました。
住民の暮らしを最優先に位置付ける竹山氏の信念は「堺愛」という言葉にも象徴され、1年間で市民対話の現場に1千回以上も足を運んだのは、府内首長の中ではずば抜けて多い数字です。
取材に応じた有権者の多くが竹山氏の人柄や政治姿勢を評価し、「こんなに自治会の行事に足を運んでくれる市長は初めて」「「子育てママで集まりをもったら、忙しい中で竹山さんが来てくれた。質問に答えてくれ親しみやすさに驚いた」などの声が聞かれました。
成長する堺をアピール
竹山氏が8月に発表した選挙公約「マニフェスト」は、2期8年間の実績を踏まえ、「子育てのまち」「ものづくりのまち」「歴史と文化のまち」の取り組みを本格的に開花させる意欲に満ちたものでした。
「子どもに優しいまちづくりは、あらゆる世代が安心して暮らせる社会につながる」とし、高校卒業までの医療助成や第2子保育料無償化を公約。
子育てしやすい街1位の評価、合計特殊出生率と待機児童数の改善、堺市への企業本社流入や大阪市を上回る製造品出荷額など動かせない事実で、「成長する堺」をアピール。10年来に及ぶ市民の粘り強い活動に支えられ、「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産登録を目指す国内推薦を勝ち取ったとし、「市民が誇るこの堺を必ず守り、政令指定都市としてさらに発展させる」と強調。「停滞か、成長か」という維新が持ち出したキャッチフレーズを逆手に取って、攻勢的な政策論戦を展開しました。
都構想を徹底して封印
「任期中は議論はしません。ここで明言しますから、市長、これから言われたらうそになりますからね」。両候補が直接対決した公開討論会では、維新の永藤候補が語気を強める場面も。そこまで維新が「都」構想封印を徹底したのは、4年前の市長選敗北が住民投票否決に影響を与えた教訓にとどまらず、松井知事自らが「4年前はやっぱり『堺をなくさんといて』とよく言われました」と語るように、堺市民が何より尊重する「自治都市・堺」の伝統への強い思いを警戒したからに他なりません。
NHKの出口調査では66%が「大阪都」構想を考慮したと回答し、争点そらしを狙った「借金1千億円増」「堺の水道代は高い」などと事実をゆがめた宣伝も、有権者の投票動向を大きく動かすには至りませんでした。
選挙活動最終日の23日夜、最後の応援演説を終えた松井一郎代表(府知事)は記者団に、「目の前の人は盛り上がっているけれど…われわれの争点を主張したけれど、結局会えるのは1万人」と嘆き節。事実上の敗北宣言とも言える瞬間でした。
フェイク宣伝を破って
「堺はひとつ」と党派を超えて広がった「市民共同」に対し、維新は「自共民の野合」と分断を図ろうとしましたが、各界の代表たちは「都」構想反対の大義を示し、「いろいろ誹謗中傷されたが、竹山候補は堺を守ると訴えたんです。皆さん違いますか!」などと反論。日本共産党も加わる「住みよい堺市をつくる会」が、市内27駅で13回発行した日替わりビラ「日刊 堺はひとつ」など、維新の争点隠しとフェイク(うそ)宣伝を打ち破り、広範な市民の共同を進める大きな力を果たしました。
「堺の未来のために!竹山修身3期目今日からスタートです!」。開票日夜、3選を決めた竹山氏らはこう宣言。選挙中に市民が集まるたびに人差し指をかざして唱和しあった合言葉、「堺はひとつ」のコールを力強く響かせました。
当 | 162,318 | 竹山 修身 | 67 | 無現 |
139,301 | 永藤 英機 | 41 | 維新 |
竹山氏は自民、民進、社民、こころ推薦。共産が自主的支援。
(大阪民主新報、2017年10月1日付より)