〝子どもの貧困〟放置し
開発やカジノに予算
9月府議会が開会
9月大阪府議会が9月27日に開会しました。会期は12月20日までの85日間。日本共産党の宮原威府議は10月26日の健康福祉常任委員会で、石川多枝府議は同27日の教育常任委員会で質問します。
開会本会議で議案説明した松井一郎知事は、カジノを「大阪、関西、日本の持続的な成長の重要な仕掛け」だとして推進することをあらためて強調。総事業費3300億円、うち府と市が590億円ずつ税投入する高速鉄道「なにわ筋線」の事業化などを表明しました。
提案した補正予算案は、総額2億円のうち1億5千万円を万博誘致費用の増額が占めるほか、カジノ誘致や安威川ダム建設費の増額などが盛り込まれています。
松井知事は昨年実施した子どもの貧困に関する実態調査に触れて、「子育て環境の整備などを全庁挙げて推進」すると述べたものの、具体的な施策や予算は皆無。府内の保育所待機児(10月1日時点)は3千人を超え、この数年は減少していません。保育士の処遇改善も、府独自の予算や施策はなく、国の「キャリアアップ支援」600万円が補正予算に足されたのみです。
子どもの貧困率が「全国ワースト2」、全国最多の児童虐待対応件数など、大阪の子どもをめぐる環境は悪化しています。少人数学級や子ども医療費、学校給食への補助など、貧困打開への具体的な要求には松井知事は背を向けたままです。
しかも少子化を理由に府は、長野北・柏原東高校を、大阪市は西・南高校の廃校を計画。2014年度から咲洲、池田北、西淀川、大正の各高校の廃校を強行してきました。今議会では、すでに廃校・名称変更される大正・北淀・泉尾高校の府立学校条例からの削除が提案されています。
府大と大阪市大の関係者への十分な説明も合意もないまま、両大学の法人を統合する議案が提案されています。19年度に法人統合、22年度には大学も統合する計画です。
国民健康保険と障害者・老人医療費助成制度の大改悪が進められています。来年度から国保料を府内一本化し、市町村による補助を大幅削減させようとしているため、保険料は大幅値上げの見通しです。障害者・老人医療費助成制度も、院外薬局の有料化や月2500円の患者負担上限を3千円へ引き上げることが来年度から予定され、各市町村議会にも提案されています。
議案説明で松井知事は、豪雨災害や南海トラフ地震対策を進めると述べました。実際は河川改修予算についても減らし続けています。南海トラフ地震発生時の危険が指摘されている咲洲庁舎(旧WTCビル)も、松井知事は撤退を求める意見に耳を貸さず、庁舎使用に固執しています。
堺市長選で「ノー」の民意が示された「大阪都」構想も、知事は「府市バラバラで大阪が沈滞していた時代には後戻りさせない」と、来年秋の住民投票への執念を示しました。
(大阪民主新報、2017年10月8日付より)