おおさかナウ

2017年12月03日

財源・権限奪う大阪市廃止
自治破壊 市民は受け入れぬ
第5回法定協 山中市議が質問

 大阪市を廃止・解体して「特別区」に再編する、いわゆる「大阪都」構想の制度設計を議論する大都市制度(特別区設置)協議会(法定協)の第5回会合が11月24日、大阪市役所内で開かれ、日本共産党から山中智子・大阪市議が質問しました。

 副首都推進局は9月の法定協に、4または6の「特別区」を設置する計4種の区割りや事務分担、財政調整制度などをまとめた素案を提示。11月に「特別区」設置にともなう財政コストや財政推計の追加資料を出し、この日から実質的な審議が始まりました。

地方自治破壊の本質は変わらず

 山中氏はあらためて、「特別区」設置を否決した2015年5月の住民投票の結果は極めて重く、「これを覆して再度住民投票を行うなどということは、本来はあり得ない」と指摘。否決された案と今回の素案とでは、区割りの数に違いがある程度で、大阪市を廃止して、政令市の財源・権限を取り潰す点は変わりがないと強調。「地方自治破壊・後退という本質が変わらない限り、(大阪市廃止を)市民は受け入れない」と述べました。

 橋下徹前市長が知事時代に「大阪市の権限と財源をむしり取る」と公言し、維新の会の文書には「大阪市の膨大な資産を有効活用することなしに大阪の発展はない」などと記されていることを示し、「府の財政は厳しい。市の財政も厳しいが、市にある膨大な資産を何とかしたいというのが、大阪市廃止案の出発点だった。これが内実ではないか」と迫りました。

「大都市制度」と成長は無関係だ

第5回法定協で質問する山中大阪市議=11月24日、大阪市議会特別委員会室

第5回法定協で質問する山中大阪市議=11月24日、大阪市議会特別委員会室

 松井一郎知事は「大阪を東京に次ぐ2極にするなら、二度と二重行政と言われないように行政制度を変える」などと発言。副首都推進局は、大阪の課題解決と成長のためには広域機能の一元化、都市機能の強化などの大都市制度改革が必要などと説明しました。

 「大阪の発展と、『大都市制度改革』は関係ない」と山中氏は、素案が「広域インフラ」として例示する高速道路淀川左岸線延伸部や地下鉄道なにわ筋線は事業スキームが決まっており、大阪市廃止と関係がないと断じました。

 さらに住吉市民病院の廃止をめぐる混乱、中小企業信用保証協会の統合による制度融資の大幅減など、「府市統合」によって住民サービスは後退していることを示し、「インフラ整備も経済政策も統治機構の問題ではなく、政策の中身の問題だ」と力説しました。

 山中氏は府市の「成長戦略」で具体性のあるものは、カジノを核とした統合型リゾート(IR)で、「結局、カジノ頼みでしかない」と批判。「カジノでは大阪経済は良くならない。IR内の消費はIR事業者のもうけになるだけで、カジノで損をした分、IR外の消費が減り、個人消費はますます落ち込む。ギャンブル依存症も深刻になるマイナス面が大きい」と述べました。

「特別区」設置で膨大なコストが

 「特別区」を設置すれば人員増、膨大なイニシャルコスト(初期費用)、ランニングコスト(維持費用)が無駄になるだけで、住民サービスは良くなりようがないと力説。「大阪市財政は過去の負の遺産の減少などで好転の兆しを見せているとき。無駄な大型開発に手を染めるようなことをしなければ、市民の暮らし・福祉・教育の拡充をはかることが可能な状況だ。こういうときに大阪市廃止など、とんでもない」と主張しました。


 (大阪民主新報、2017年12月3日付より)

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