「口裏合わせ」でタダ同然に
森友学園国有地売却
昭恵夫人ら喚問こそ「丁寧な説明」
日本共産党 宮本衆院議員が追及
日本共産党の宮本岳志衆院議員は11月28日の衆院予算委員会で質問に立ち、国有地がタダ同然で法人に売却された「森友学園問題」をめぐって安倍首相らを追及。国側が、新設予定の小学校の名誉校長だった安倍昭恵首相夫人の「意向」をくみ、地下9メートルにごみがあるとの「ストーリー」を作って国有地売却額を決めていたことをあらためて明らかにしました。
「根拠なし」と会計検査院が
宮本議員はまず、「森友疑惑の核心は、国民の財産である9億5600万円の国有地が、なぜ8億2千万円も値引きされ、ただ同然で売却されたかにある」と指摘しました。
宮本議員は、通常国会でも13回にわたり事件の真相解明にあたってきましたが、安倍首相は「この価格でいいのかどうかを調べるのは会計検査院」「会計検査院がチェックするので大丈夫だ」と繰り返し言ってきました。
ところが11月22日に会計検査院が国会に提出した検査報告書では、「国有地の売却等に関し、合規性、経済性等の面から、必ずしも適切とは認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態等が見受けられた」と報告されています。
宮本議員は、「会計経理が予算、法律、政令等に従って適正に処理されていると認められない事態があったということだ」と指摘。麻生太郎財務相は、「重く受け止める」と述べました。宮本議員は、安倍首相が繰り返してきた「法令に基づき適正な価格で処分した」との国会答弁が「真っ赤なうそだったということだ」と批判しました。
さじ加減一つで決められた
宮本議員はさらに、不動産鑑定士が鑑定の際、大阪航空局による「地下埋設物撤去・処分概算額」を使わなかった理由として、「調査方法が不動産鑑定評価において不適当」だと会計検査院に答えたことを確認した上で、「安倍首相が『適正』のよりどころにした会計検査院も、不動産鑑定士からもだめ出しだったということだ」と指摘。ごみの処分費の単価1トン当たり2万2500円についても、報告書で「十分な根拠を確認できていなかった」としていることから、「さじ加減一つで、どうにでも額が決められたということだ」と指摘しました。
国側がごみの「ストーリー」
宮本議員は、2016年3月15日、森友学園の籠池泰典理事長(当時)夫妻が、財務省本省で田村嘉宏国有財産審理室長に談判した際の録音データで、名誉校長(当時)の安倍昭恵首相夫人の名前を出して交渉したこと、この日以降、複数回、学園関係者と近畿財務局、大阪航空局との協議が行われたことを示しました。
3月下旬から4月上旬にかけての会合の1つの音声データについて宮本議員がただすと、太田充理財局長は、「本人(当時の近畿財務局・池田靖国有財産統括官)の声と確認」と述べるとともに、3月下旬から4月上旬ごろに森友学園に行き、工事業者から見積もりに必要な資料提出を受ける協議をした内容だったことを認めました。
宮本議員は、「財務省など国側の職員と森友学園関係者が、買い取り価格をめぐって『口裏合わせ』を行っていたという驚くべき事実だ」と指摘。音声データの内容を示して、国側が「ストーリー」という言葉まで使い、「3メートルより下からはごみはそんなに出てきていない」と重ねて否定する工事業者に、「ゼロじゃない」と念を押し、話を作ったことを紹介しました。宮本議員は、「こんな『口裏合わせ』で根拠も定かでない8億2千万円の大幅値引きをやって、国民の財産である国有地をただ同然で売り払う。明確な背任行為ではないか」と安倍首相を追及しましたが、首相は答えませんでした。
宮本議員はさらに、小学校の建設工事を担当した工事業者が、会計検査院に提出した、試算の前提となる敷地図を示し、地下3メートルより深い所は1つもないと指摘しました。
宮本議員はまた、3月15日、財務省本省に乗り込んだ籠池夫妻が、昭恵氏の名前をちらつかせながら、当時の田村国有財産審理室長に迫ったこと、田村氏がその前年の11月、谷査恵子安倍昭恵氏付きが財務省に問い合わせた際、回答した本人であることに触れ、「ここから籠池氏がいう『神風が吹いた』」と指摘。「昭恵氏が証人として直接自らの口で語る以外に、『丁寧な説明』などしようがない」と安倍首相をただしました。
昭恵氏の意向以外理由ない
安倍首相は、「国会における審議のあり方については、国会においてお決めいただく」と答弁。宮本議員は、昭恵氏と池田靖近畿財務局・前国有財産統括官、佐川宣久・前財務相理財局長(現、国税庁長官)の証人喚問を求めました。
宮本議員は、「このような不可解なことが行われたのは、安倍昭恵名誉校長の意向が働いた以外にどんな理由も考えられない」とし、「昭恵氏が、証人喚問で堂々と真実を語るとともに、この国有地のただ同然の払い下げに関係していたならば、言葉通り、総理も、国会議員も辞するべきだ」と述べました。
(大阪民主新報、2017年12月3日付より)