市財政の危機招く
巨大開発路線への回帰やめよ
大阪市議会本会議 共産党・小原市議が批判
11月30日の大阪市議会本会議で日本共産党の小原孝志議員が一般質問に立ちました。吉村洋文市長(大阪維新の会政調会長)は破綻した巨大開発路線に回帰する一方、南海トラフ巨大地震の防災対策やまちづくりなど身近な公共投資が後回しになっていると批判。市民の安全・暮らし・福祉を優先し、釣り合いのとれた街づくりを進める市政への転換を訴えました。
〝暮らし・防災優先に〟
再び市財政を危機に陥れる
1990年代の無駄な巨大開発の破たんで生じた巨額の「負の遺産」の清算で、福祉切り捨て、職員給与カットなどを行って何とかしのいできたと小原氏。ところがいま市が打ち出しているのは、夢洲へのカジノを核とした統合型リゾート(IR)や万博の誘致、なにわ筋線、高速道路淀川左岸線延伸分建設など巨大プロジェクトだとし、「吉村市長、あなたもですか。再び大阪市の財政を危機に陥れるつもりか」と迫りました。
ことし2月の財政試算では収支不足は累計1010億円に上るが、なにわ筋線590億円、万博経費250~300億円の市民負担は試算に織り込まれていないと指摘。夢洲開発でのインフラ整備を合わせると1千億円をはるかに超える巨費になると告発しました。
吉村氏は「起債管理を適正に進め、必要な投資を行うことが重要」「世界最高水準のIRを誘致し、大阪経済の起爆剤にする」と、一連の開発を進める考えを示しました。
無謀な開発とカジノやめよ
小原氏は、府市・経済界がまとめた「夢洲まちづくり構想」に盛り込まれた鉄道建設では1期の南ルート(地下鉄中央線延伸)は540億円で、2期の北ルート(JR桜島線延伸案)は1700億円、これに別の案(京阪中之島線延伸)をつなげれば3500億円もの巨費になると述べました。
夢洲開発の1期で掲げる「国際観光拠点」で、集客のかなめはIR誘致。小原氏は「大阪経済にとってプラスになるどころか、カジノで負けた分、消費が減ってむしろマイナスになる上、ギャンブル依存症問題が一層深刻になる。財政的にも無謀な夢洲開発、カジノ誘致はやめるべきだ」と主張しました。
吉村氏はカジノについて「プラス面を最大限に引き出し、懸念事項(ギャンブル依存症)には正面から取り組む」と誘致に固執。小原氏はマスコミの世論調査で反対世論が多数だとし、重ねて誘致をやめるよう求めました。
進んでいない防潮堤耐震化
「待ったなしの南海トラフ(巨大地震)の震災対策は遅々として進んでいない」と小原氏。防潮堤耐震化は10年計画のうち3年が過ぎたが、14・4㌔(事業費430億円)のうち1㌔(同46億円)しか進んでいないと指摘。同計画はもともと32・7㌔(同780億円)だったとし、「大幅に縮小した計画ですらできるかどうか分からない。これでは市民の安全・安心は守ることができない」と批判しました。
小原氏は、地元・大正区で地下鉄長堀鶴見緑地線の延伸(大正―鶴町間)が長年後回しされたことが、同区の人口減少や地域経済の落ち込みの原因となっているとし、巨大開発優先・都心偏重の街づくりを改めるべきと主張。国民健康保険の都道府県単位化による保険料値上げに反対し、認可園の増設と正規保育士の確保による保育所待機児解消、府立大学と市立大学の統合中止を求めました。
(大阪民主新報、2017年12月10日付より)