第7回法定協
市民施策の拡充は
大阪市存続でこそ
山中大阪市議が意見表明
大阪市を廃止して「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想の制度設計を議論する大都市制度(特別区設置)協議会(法定協議会)の第7回会合が1月30日、大阪市役所内で開かれました。副首都推進局が示している「特別区」素案について、各会派の委員が意見を表明し、委員間で協議。終了後の代表者会議では、次回2月22日の第8回会合で4種の区割り案を一つに絞り込むための議論を行うことを決めました。
「特別区は百害あって一利なし」
時代遅れの最悪の制度いじりだ
日本共産党の山中智子大阪市議は、「都」構想は130年もの歴史を持つ政令市・大阪市を廃止し、府はこれまでの広域行政に加えて、旧大阪市域では市町村の責任である消防などを担う「大大阪府」をつくるものだと指摘しました。
一方で、大阪市を廃止して4または6に分割して設置する「特別区」は、権限も財源も一般の市町村に及ばない「半人前」の自治体で、「地方分権の流れに逆行する時代遅れ、時代錯誤の最悪の制度いじりだ」と厳しく批判しました。
こうした「統治機構改革」は大阪の成長と因果関係はなく、「政策の中身が問題だ」と山中氏。「インバウンド(訪日外国人)など外需頼みではなく、中小企業対策や賃上げなどで懐を温め、家計消費など内需を拡大する政策こそが必要」と主張しました。松井一郎知事や吉村洋文大阪市長が進めるカジノ誘致では大阪の経済は良くならず、府民の反対世論にも背くと述べました。
設置には膨大な費用と負担増が
山中氏は「特別区」の設置には、イニシャルコスト(初期経費)やランニングコスト(運用経費)など膨大な費用が必要になる上、立ち上げに3~7年もかかるなど、「職員の労力、市民の負担といい、壮大な浪費だ」と強調。6区案は財政試算でも赤字続きで、財政調整基金も使い果たして住民施策に大なたを振るわざるを得ないことは明らかだとしました。
また4区案は人口が85万人、70万人など政令市並みの「特別区」となり、維新や当局が掲げてきた「ニアイズベター(身近な行政)」は看板倒れで、「バージョンアップどころか、前回(の住民投票で)否決された5区案と比べてもなお悪いもの。大阪市分割はまった不合理だ」と述べました。
さらに巨大開発などを行わなければ、市の財政試算でも2021年度から10年間でみて586億円の黒字となることを示し、「大阪市存続の方が、市民のための施策拡充が図ることができる」と力説。大阪市廃止と「特別区」への分割は「百害あって一利なし」と主張しました。
維新(辻淳子大阪市議)は、「広域行政を一元化して、強い都市戦略を実現する」などと「特別区」設置を主張しました。
再び市民分断し時間とコストが
自民党(花谷充愉府議)は今回の素案は、住民投票で否決された案と本質的に変わらず、「再び市民を分断して時間とコストをかけ、住民投票をする意味はない。不毛な議論はやめるべき」と批判。公明党(八重樫善幸府議)は「敬老パスなどの施策が特別区で維持できるのか、法的拘束力がない」などと問題点を上げました。
(大阪民主新報、2018年2月4日号より)