〝昭恵氏から頑張れと電話〟
森友疑惑 籠池氏の音声データ
首相夫人の証人喚問を 共産党・たつみ議員が追及
参院予算委員会
学校法人「森友学園」(大阪市)へ国有地が“ただ同然”で売却された問題をめぐり、日本共産党のたつみコータロー参院議員は1日の参院予算委員会で、新たに入手した音声データに、同学園小学校の名誉校長だった安倍晋三首相の夫人、昭恵氏の関与を疑わせるやりとりがあると示して追及しました。たつみ氏が暴露したのは、同学園理事長だった籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=が、昭恵氏から「どうなりました、頑張ってください」と電話を受けたことを近畿財務局などに伝えていたことを示す音声記録。たつみ議員は昭恵氏の証人喚問を求めました。
首相の「丁寧な説明」どこへ
たつみ氏が示したのは、籠池被告と妻の諄子被告=同=が財務省の田村嘉啓国有財産審理室長と面会し、国有地取引きについて談判した翌日(2016年3月16日)に録音された音声データ。近畿財務局、大阪航空局の職員と面会した籠池被告が「昨日、われわれが財務省から出た途端に安倍夫人から電話がありましてね。『どうなりました、頑張ってください』って」と激励の電話があったと発言している様子が録音されており、たつみ氏は「昭恵氏は、籠池氏に電話をしたのか」「なぜ、昭恵氏が、籠池氏が財務本省に行ったことを知っているのか」と追及しました。
当時、昭恵氏は、同学園が計画した小学校の名誉校長でした。たつみ議員は質問で、15年11月ごろに昭恵氏付きの政府職員が田村国有財産審理室長に学園への国有地取引について問い合わせ、16年3月の面会では田村室長が籠池被告に「われわれとしても応援の気持ちでやっている」と述べたことを取り上げ、国有地売却に昭恵氏が関与した疑いは強まったとし、昭恵氏の証人喚問を求めました。
「総理、大変なことじゃないですか」「昭恵氏は籠池氏に電話をしたのですか」。たつみ氏は、昭恵氏が籠池氏に電話し直談判の中身を尋ね、応援の気持ちを伝えていたということではないのかと追及。
「事前通告してください」と繰り返す首相に対し、たつみ氏は、「総理は『私がすべて知る立場だ』と述べてきた」とし、「答えられないなら昭恵氏を呼ぶしかない」と追及しました。
安倍首相は、「何年も前の話だから、本人に聞いたって覚えているかどうか分からない」「事前通告していただければ私が確認してお答えする」などと答弁しました。
〝完全な虚偽答弁〟佐川前理財局長も
たつみ氏は、財務省近畿財務局の内部記録が1月末に情報公開請求を通じて開示された問題を取り上げ、佐川宣寿同省理財局長(現国税庁長官)が交渉記録を「すべて破棄した」との説明を繰り返してきたのは、「完全に虚偽答弁だ」と批判しました。
さらに会計検査院の検査報告(昨年11月22日)の前日にこれらの記録を同省が提出したとし、「会計検査の妨害であり、疑惑の隠ぺいだ」と指摘。首相が繰り返してきた「丁寧な説明」の前提が崩れると批判し、「適材適所」と言って佐川氏を国税庁長官に任命した責任を強調、佐川氏の更迭を求めました。
今回開示された内部文書について、太田充理財局長は「検査の過程では気づくような段階に至らず情報公開請求の段階で気付いた」と誰も信じないような嘘答弁に終始。これまで公開した以外にも売却交渉に関する内部文書が存在することを明らかにし、議場からはどよめきが起きました。
質問の最後にたつみ氏は、「昭恵氏が土地売買に積極に関与し、国有地のただ同然の売り払いという『満額回答』となったのではないか」と指摘。真相解明のため、佐川前理財局長と昭恵氏の証人喚問を求めました。
(大阪民主新報、2018年2月11日号より)