近大付属病院移転問題
全面撤退計画撤回し新分院で300床実現を
大阪狭山 市民の運動広がる
日本共産党大阪狭山市議団幹事長 北村栄司
近畿大学医学部付属病院の堺市移転に伴い、300床の病院設置を求める運動が、大阪狭山市で取り組まれています。経過と運動について、日本共産党大阪狭山市議団の北村栄司幹事長の寄稿を紹介します。
今、大阪狭山市では、近畿大学医学部付属病院移転に伴い、すでに発表されてきた新分院(大阪狭山市)の一般病棟300床実現を求める署名が、「有志の会」によって取り組まれています。
計画を変更し「全面撤退」に
2014年1月、突然、近大病院が堺市へ移転するとの報道がされ、多くの市民はびっくりしました。以来、大阪府、堺市、近畿大学、大阪狭山市の4者協議、南河内医療懇話会や南河内保険医療協議会で意見が出されてきました。その結果、2017年2月末の南河内保険医療協議会で、大阪狭山市に残る病院については、「300床規模の二次救急、現状とほぼ同様の28診療科目を備える急性期機能の病院」を予定していると、府担当者より報告がありました。長い間の協議を重ねてきた結果ですから、市当局も市民も公の約束と理解しました。
ところが8カ月後、近大は突然計画を変更し「全面撤退」と言い出したのです。
「有志の会」を市民が結成し
私たち議員が報告を受けたのは、昨年11月の議員全員協議会でした。
いち早く情報を大阪狭山社会保障推進協議会(社保協)会長の橋本啓修さんに伝えました。会長は「近大病院は多くの市民が命、健康を守ってもらえる病院としてなくてはならない」と話され、約束を守ってもらうために「有志の会」を結成し、署名に取り組もうということになりました。
党市議団が「緊急のお知らせ」を全戸配布すると、すぐに市民から「近大病院で世話になった、無くさないでほしい」「署名に協力したい」などの反応が返って来ました。
共産党提案で市議会が決議
12月議会では代表質問や個人質問で、ほとんどの会派が質問しました。
党市議団は、「大阪府と近大がすでに発表してきた約束を一方的に破ることは許せない」との立場で質問し、300床実現に党派を超えた取り組みが必要と、選挙区の府会議員や自民党の国会議員にも協力要請を行うことを訴えました。
市長は、「近大の不誠実な行為は、まことに遺憾であり、強く抗議し、計画変更の撤回を求める」と答えました。
唯一質問をしなかったのは「署名などしても無駄や、もう決まっている」と市民に言っていた大阪維新の会だけでした。
党市議団は、市議会としての意思表明が必要と議会決議を提案。計画変更を撤回し、300床規模の病院の設置を求める決議を全員一致で行いました。
12月末、その内容を市民に知らせるチラシを、超党派の全議員がスーパー前で配布。年配の女性が私に、「共産党ですか。近大がなくなったら困ります。私は公明党支持ですが署名があればします。公明党の議員にも言います」と言っていました。
地区長会なども「会」発足
「有志の会」のつながりを生かした地道な活動で、署名用紙を回覧で回してくれる自治会も出てきました。「有志の会」への参加も増え、世話人も増員し活発に活動を広げています。
2月の世話人会では当面の取り組みとして、①近大病院前や市内での署名宣伝活動、②近大病院長への要望書の提出、③9市町村長と医師会をはじめとする懇話会委員への協力要請を決めました。
14日の近大病院バス停前署名では、12人で88筆集まりました。20代の青年が「署名用紙下さい。足りなかったらコピーして集めて送ります」と話し、「近大病院に勤めてますが」と言って署名してくれる人もいました。
1月下旬には、地区長会、商工会、まちづくり円卓会議連絡協議会が「近畿大学医学部付属病院の一部存続を求める会」を発足し、署名を始めました。内容は、有志の会の趣旨と共通しています。今では、超党派の取り組みになってきています。
署名数は、2月15日現在3千筆を超え、「1万を目指そう」の声が出ています。
南河内医療圏域の声集めて
今後、南河内医療懇話会で討議、それを保険医療協議会で集約し、最終的に大阪府医療審議会で決定されます。
第1の山場は、春ごろに開催といわれている医療懇話会です。「大阪狭山の300床残す」ためには、南河内医療圈域の9市町村の声が必要です。署名の協力要請を行っていますが、各市の住民の間でも話題になってきています。
寒い中での街頭署名や各戸訪問で頑張っている「有志の会」と共同して、党市議団も運動をさらに広めるとともに、市民の願いが前進できるよう頑張りたいと思います。(きたむら・えいじ)
(大阪民主新報、2018年2月25日号より)