都構想に固執 大型開発・カジノ推進
大阪府・大阪市当初予算案
大阪府当初予算案
松井一郎府知事は16日、2018年度の当初予算案を発表しました。府民の暮らし応援より大型開発やカジノ優先の路線をさらに進める内容となっています。
一般会計の予算規模は2兆5543億円(17年度比96・8%)。
精神障害者1級と重度難病患者の医療費補助が始まりますが、精神病床への入院は対象外で、現在補助されている65歳以上の障害者のうち、1級以外の精神、重度以外の難病患者は3年後に対象外とします。
市町村への「子どもの貧困対策緊急補助金」を創設しますが、1市町村当たり上限2千万円の総額3億円にとどまっています。
教育では、生徒や学校の競争をあおるチャレンジテストを継続し、2億7千万円を計上する一方で、府独自の35人学級は実施せず、支援学校も既存の学校への詰め込みで障害児増に対応するなど、教育条件整備には背を向けています。
地元から存続を求めて強い声が上がっている、府立柏原東高校と長野北高校の廃止条例が提案されます。
国民健康保険料(国保料)は、6年間の「激変緩和」期間を経て、大幅値上げとなる府内一本化を強行する構えです。
梅田から関西空港まで5~10分程度短縮するだけの「なにわ筋線」(総事業費3300億円、うち府と大阪市が590億円ずつ負担)の整備促進には5千万円、うめきた地区での「なにわ筋線」新駅設置に4億円を計上。阪神高速道路淀川左岸線延伸部整備(総事業費約4千億円、府と大阪市が300億円ずつ負担)の建設を進めます。
カジノ誘致活動に8200万円、「大阪都」構想のための副首都化推進に6億円計上。
第2阪奈道路を府道路公社からNEXCO西日本に移管し、府の出資金196億円を権利放棄する議案も提案します。
大阪市立住吉市民病院(住之江区)の3月末廃院を強行し、跡地で外来だけの小児・産婦人科の診療所開設を経て、新病院整備を検討するとしています。
府大・大阪市大の統合準備に3億円を計上する一方で、府大への運営交付金は維新府政前の4分の3に削減したままです。
大阪市当初予算案
大阪市の吉村洋文市長は15日、2018年度大阪市当初予算案を発表しました。「副首都・大阪の確立」の名で、大阪市を廃止して「特別区」に再編する「大阪都」構想に固執し、カジノを核とした統合型リゾート(IR)や万博誘致、大型開発を推し進めるものとなっています。
予算規模は一般会計1兆7771億円(前年度比0・8%増)で、特別会計を含む全会計の予算総額は、3兆8985億円(同1・7%増)。通常収支は190億円の不足で、財政調整基金の取り崩しや不用地などの売却で補います。
市税収入は7164億円(同9・9%増)で、うち法人税は1263億円(同12・4%増)などとなっています。市債残高は全会計で3兆6753億円(同5341億円減)で、14年連続して減少。一般会計で2兆8823億円(同5106億円減)となっています。
「大阪都」構想関連では、「特別区」の制度設計を議論する大都市制度(特別区設置)協議会の運営費や広報予算などを計上しています。「特別区」と「総合区」の「経済効果」を試算するための事業者公募への応募がなかったにもかかわらず、再公募のための費用1千万円を盛り込みました。
2025年の国際博覧会(万博)の大阪誘致推進事業1億4700万円、IR誘致推進事業4700万円、ギャンブルなどの依存症支援に600万円を計上。
地下鉄道「なにわ筋線」の事業化推進へ出資金5100万円、淀川左岸線2期事業に62億4200万円、同延伸部事業の予備設計に1億円を盛り込んでいます。
また府立大学と大阪市立大学の法人統合準備関連予算に、3億500万円を計上しています。
ことし4月からの国民健康保険(国保)の都道府県単位化では、府が狙う「府内統一保険料率」に従い、国保料値上げを抑えるために6年間だけ激変緩和措置をとるとしています。
ことし7月からの「敬老パス」(70歳以上の市民が対象)の利用者負担年3千円の廃止、可動式ホーム柵の整備、地下鉄・地下街などの浸水・防災対策、堤防などの耐震対策の推進が盛り込まれています。
(大阪民主新報、2018年2月25日号より)