大阪市を廃止する「特別区」
区割り案絞り込みを強行
第8回法定協 山中氏が反対意見
大阪市を廃止して「特別区」に再編する、いわゆる「大阪都」構想の制度設計を議論する大都市制度(特別区設置)協議会(法定協議会)の第8回会合が2月22日、府庁内で開かれました。維新が「特別区」の区割り案のうち、4区を設置する案(4区B案)を採用するよう提案したのを受け、法定協議会の今井豊会長(維新)は、これを採決することなく、同案に基づいて今後議論を進めると報告。「住民投票ありき」で区割り案の絞り込みを強行しました。
〝住民投票ありき〟露骨に
4月の会合から制度の詳細議論
区割り案については9月の法定協議会で4または6の「特別区」を設置する区割り案が示されていました。絞り込まれた4区B案は、第1区(此花・港・西淀川・淀川・東淀川の5区)、第2区(北・都島・福島・東成・旭・城東・鶴見の7区)、第3区(中央・西・大正・浪速・住之江・住吉・西成の7区)、第4区(天王寺・生野・阿倍野・東住吉・平野の5区)と、4つの「特別区」に分割(区名は仮称)。次回4月6日の第9回会合から、区の名称や区役所の位置、区議会の定数など制度設計の詳細について議論されます。
半人前の自治体設置自体に反対
日本共産党の山中智子大阪市議は、政令市である大阪市の廃止と一体の「特別区」は自主財源に乏しく、一般市にも満たない半人前の自治体であるとして、あらためて設置自体に反対を表明。2015年の住民投票で5区案が否決されたので、今回は4区案と6区案が提案されたにすぎず、「いずれも五十歩百歩だ」と指摘ました。
4区B案は、6区案に比べて初期コストや運用コストは少ないが、市民にとって無駄な支出であり、大阪の未来への必要な投資でもないと批判。「特別区」の人口は75万人(第2区)~60万人(第1区)で、「府内でもこれらより大きいのは堺市だけ。こんな大きな『特別区』しかつくれないとは、“ニアイズベター(住民に身近な行政)”は、まさに看板倒れだ」と主張しました。
これに対し松井一郎知事は、法定協議会は「特別区」の設計図をつくるために設置されているとし、「趣旨を理解していないのならメンバーを変えるか、出ていけばいい」と発言。「(「特別区」が)大きすぎるなら、何区がいいのか。対案を出せ」などと言い募りました。
大阪市存続こそ私たちの対案だ
山中氏は「協議をする中で『特別区』を設置しない、設計図をつくらないという結論に達することも十分あり得る」と反論。「大阪市を廃止せず、市民が一番安心できる市にすることが対案だ」と明快に答えました。
絞り込みが強行された4区案
第1区 此花・港・西淀川・淀川・東淀川
第2区 北・都島・福島・東成・旭・城東・鶴見
第3区 中央・西・大正・浪速・住之江・住吉・西成
第4区 天王寺・生野・阿倍野・東住吉・平野
(大阪民主新報、2018年3月4日号より)