将来支える子どもへ投資を
府議会本会議 石川府議が提案
日本共産党の石川たえ府議は2日の府議会本会議で一般質問し、子どもの貧困対策の抜本的強化を松井一郎知事や教育長に求めました。虫歯の治療がされない子どもや朝食・昼食を抜く子どもたちの事例を示し、「子どもの貧困対策は将来の大阪を支えるもの。『財政が改善してきた』と言うのであれば、今こそ思い切って子どもに投資すべきだ」と主張し、中学校給食への補助や少人数学級の拡大、医療費無償化などを提案しました。
歯科検診後の受診調査を行え
石川氏は、虫歯治療がされない子どもの事例を示し、教育長に実態調査を求めました。
虫歯が10本以上ある・歯の根っこしか残っていない未処置の歯が何本もある―などの状態は「口腔崩壊」と呼ばれています。府内のある小学校低学年児童は母子家庭で3人きょうだいの末っ子で、初診時の乳歯は20本中、重度の虫歯が4本、中度の虫歯が6本ありました。家庭での歯磨きは「朝、時々する程度」で仕上げ磨きもされず、一人で子育てする母親自身も口腔崩壊状態でした。
府内の別の母子家庭で3人きょうだいの末っ子は、生えて間もない前歯4本が全て重度の虫歯で、他の歯も多数の歯垢と虫歯がありました。母親は病弱で、「子どもが痛み苦しむときは病院に連れて行くものの、その後治療中断」しているといいます。
無料低額診療制度の周知を
府保険医協会が2016年に府内の小中学校を対象に行った調査では、「口腔崩壊」と見られる児童・生徒が「いた」と、小学校で48・9%、中学校で33・3%の養護教諭が回答。学校での歯科検診後、医療機関の受診を勧められても受診しなかった児童・生徒は、小学校で48・7%、中学校では71・8%にも上ります。
石川氏は、府が全小中学校を対象に歯科検診後の受診調査をするよう求めました。また新潟県が学校で「フッ化物洗口」と呼ばれる虫歯対策をし、12歳の一人当たり虫歯数が全国一少なくなっていることを紹介し、府でも対策を検討するよう提案しました。
府が16年度中に実施した「子どもの生活に関する実態調査」で、子どもを医療機関に受診させられなかった世帯が、低所得者層で多く見られたことを石川氏は示し、低所得者向けの無料低額診療制度の周知を図るよう求めました。
向井正博教育長は、同制度の周知を保護者への就学援助制度の説明と合わせて行うなど、周知を図る考えを示しました。歯科検診後の調査は「各学校において適切に対応されている」として拒否し、学校でのフッ化物を使用した虫歯対策は国でも示されているとしながら、府としては行わない考えを示しました。
貧困対策で補助金大幅増額を
石川氏は松井一郎知事に対し、子どもの貧困対策のための市町村への補助金増額するよう求めました。
補助金は来年度創設されるもので、モデル事業を行う門真市では府の補助金約1200万円を活用し、貧困が疑われる子どもの実態をつかみ、必要であれば福祉施策につなぐなどの活動が進められています。石川氏は同様の取り組みを、仮に吹田市で行うには補助金約6千万円、府下全体で行うには「単純計算でも約15億円かかる」と示し、「上限2千万円、総額3億円はあまりに少ない」と指摘。予算額引き上げを求めました。
松井知事は「きわめて限られた財源の中で補助金を創設した。来年度は増額は考えていない」と否定しました。
子どもの実態無視した答弁
石川氏は、子どもの医療費無償化や中学校給食の全員喫食化、少人数学級拡大、生活保護費が削減された場合に影響を受ける家庭への対応、府内の中小企業で働きながら奨学金返済に苦しむ若者支援なども提案。
松井知事は子どもの医療費無償化は、「受益と負担の適正化の観点から困難」とし、中学校給食は「各市町村の主体的な判断の下、最もふさわしい方法で実施される」と子どもの実態を無視した答弁を行いました。奨学金返済支援は、負担軽減など国に要望するとしながら、「貸付を受けた若者が自ら努力して返還すべき」などと述べました。
森友疑惑の解明責任は知事に
森友学園疑惑について石川氏は、「解明を行うつもりはあるか」と質しました。
府の私立学校の設置認可基準は、森友学園の要望で緩和され、申請したのも森友学園のみ。府私学審議会で、学園が設置しようとした小学校の教員数や寄付金の状況、カリキュラムなどに多くの疑義が出されました。しかし昨年2月22日時点でも、松井知事は「財務状況と先生たちの配置基準というのはクリアする方向」などと発言しています。
税金食い物にした森友疑惑
石川氏は「知事は2月13日、佐川氏(前理財局長)の証人喚問は『不毛』『説明の必要ない』と言っているがなぜか。国と森友学園が一体となって税金を食い物にし、府が関与したのではとの疑問は全くなくなっていない。疑惑を明らかにする責任が知事にある」と迫りました。
松井知事は、「府として必要な調査は全て行った」などと述べました。
石川府議はまた、大阪市立住吉市民病院(同市住之江区)の廃止と、跡地への移転が持ち上がっている同市立弘済院(吹田市)について「現地建て替え予定が急に移転と聞き、市民に不安が広がっている」とし、地元住民の声を聞き慎重に判断することや、住吉市民病院の産科・小児科の入院を現地で継続することも求めました。
(大阪民主新報、2018年3月11日号より)