新連載 声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
格差と貧困問題ライフワークに 脱法ハウス①
「私は格差と貧困問題をライフワークに活動してきましたので、是非この角度から住宅問題、とりわけ脱法ハウスを取り上げて質問したいと思います」
2013年秋に開かれた第185臨時会。7月の参院選大阪選挙区で1998年以降15年ぶりに当選した日本共産党のたつみコータロー議員が11月5日、国土交通委員会で初めての質問に立ちました。
それまで6人だった日本共産党の参院会派は11人へと躍進。本会議の登壇が可能になったのに加え、全ての常任委員会に委員を配置(現在は14人で予算委理事なども選出)でき、論戦の機会は大きく増えました。
たつみ議員が選んだ初質問のテーマは貧困ビジネス「脱法ハウス」と住まいの貧困解消です。
貸しビルなどを、表向きは倉庫や事務所スペース用途に登録しながら内部を2畳程度に仕切り、著しく狭い空間を事実上「住宅」として賃貸料を取る施設。窓もなく防火設備も不十分で、建築基準法や消防法に違反する物件がほとんどです。
低賃金と雇用不安で生活拠点を失った派遣労働者や、保証人のない孤立した人たちを囲い込む「貧困ビジネス」の一形態として都市部を中心に増え、同年5月の新聞報道以降、違反物件の閉鎖で行き場を失った居住者の実態が社会問題となっていました。
7千件の生活相談
たつみ議員は2003年、07、11年の計3回、大阪府議選(大阪市此花区=定数1)に挑戦しました。
告示10日前に立候補表明した03年は、得票率40・53%を獲得し、「1カ月前に表明したら勝てた」との声が上がったほど。その後も2度、府議会に挑み、悔しい思いをした9年間、たつみさんは此花生活と健康を守る会の事務局員として約7千件の生活相談に応じてきました。
06年には非正規雇用急増と「ワーキングプア」が、リーマンショックの08年は派遣切りやネットカフェ難民が問題になり、政治のゆがみが社会格差を広げ、人間らしい生活を脅かす中、生活保護と多重債務、国保や介護など暮らしの現場で走り回ってきました。
入居者に聞き取り
「日が暮れて何時間も脱法ハウスの前に立ち、出入りする入居者に暮らしの実態を聞き取っていく。真剣な表情のたつみ議員の姿に接し、苦しんでいる人に寄せる熱い思いを感じました」。初当選以降、国会秘書として政策・調査活動を共にしている川野純平さんは、永田町の議員会館を飛び出し、現地調査に向かった日の夜を振り返ります。
初質問では、人間たるにふさわしい居住の権利確保と、「住まいの貧困」克服をテーマに論戦を挑んだたつみ議員。
「違反物件の閉鎖が進めば、入居者数千人が退去を迫られ、路頭に迷う恐れがある」「今、国の住宅政策のあり方が問われている」と強調し、▽居住者が路頭に迷う事態を避けるための調査と対策▽「住まいの貧困」克服に向けた具体策実現へ国の住宅政策を問いただしました。
大阪からも傍聴に
初質問では大阪の支援者が上京して国会論戦を傍聴。リアルタイムで初質問を聞こうと府内各地で試聴会が企画されました。大阪市中央区の玉造後援会は、11人がインターネット中継を見守り、「生活相談で貧困にあえぐ人の声なき声を気持ちで受け止めてきた辰巳さんの訴える温度が熱かった」「委員会室に力強く響く声を聞きながら共産党の議席の値打ちを強く感じた」などの感想が出されました。
国会初質問について、たつみ議員が振り返ります。
「暮らしの現場に国民の苦難があり、その背景には必ず政治の矛盾があります。現場を歩き声にならない声を拾い集め、政治にぶつけて実現を迫るのが日本共産党の仕事。与えられた質問時間は1秒たりとも無駄にはできないと強く感じました。日本共産党の国会議員としての決意を改めて固めた私にとって『原点』と言える質問となりました」(続く)
(大阪民主新報、2018年4月29日・5月6日合併号より)