おおさかナウ

2018年05月13日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
生活現場の声をぶつける 脱法ハウス②

居住者から話を聞くたつみ議員 =2014年春、東京都千代田区内

居住者から話を聞くたつみ議員
=2014年春、東京都千代田区内

 「家賃そのものの上昇、非正規雇用の増大で低賃金の労働者が増え、脱法ハウスは低所得者の受け皿になってきた」

 2013年11月の初質問でたつみ議員は、貧困に苦しむ若者たちの現状を示し、「脱法ハウスを放置してきた行政責任は免れない。取り締まるだけで『後は知らない』では責任放棄」と指摘。憲法25条が定める生存権保障の観点から国の住宅政策をただしました。

 40歳未満の単身世帯は所得に占める家賃割合が高いとの統計を示し、「住まいの貧困」解消へ▽入居初期費用軽減策として敷金・礼金補助▽低利か無利子の貸付制度▽民間家賃補助制度の創設―など政府の責任で実行するよう求めました。

火災事故も発生し

府内各地で、たつみ議員初質問のインターネット中継視聴会が取り組まれました。

府内各地で、たつみ議員初質問のインターネット中継視聴会が取り組まれました。

 初質問から半年後の2014年春。新宿や渋谷と並ぶ3大副都心、池袋の繁華街でたつみ議員はひとつの雑居ビルを、住人の案内で調査しました。

 ビルにエレベータはなく階段で3階フロアへ。ドアを開けて内部へ進むと、フロア奥までさらに暗い廊下が続き、ドアがいくつも並んでいました。

 ネットカフェ大手「マンボー」が「プライベートルーム」と称して運営した施設。個室スペースは2畳以下、共同使用のシャワーとトイレ、キッチン、ランドリーがあるだけの違法物件、まぎれもない脱法ハウスでした。

 13年に社会問題となり国が調査・指導を進める一方、違法物件の摘発で行き場を失う人が相次ぐなど深刻な被害は後を絶たず、14年1月には横浜市で、男女5人が病院搬送される火災事故も発生していました。

 窓もなく薄暗い押入れのような個室スペースは、体を横たえるのがやっと。荷物もほとんどありません。

 たつみ議員の聞き取りに対し住人は、「脱法ハウスを追い出されても、別の脱法ハウスを探すしかない」と証言。入居者の多くは日雇い派遣などで生計を維持するものの、敷金や礼金など初期費用が工面できず、保証人もいないため脱法ハウスに住まざるを得ないと実情を訴えました。

家賃補助の制度を

 「プライベートルームは問題になった『脱法ハウス』と一緒だ」

 14年4月3日の参院国土交通委員会でたつみ議員は、再び脱法ハウス問題を告発しました。全国の調査対象1801物件のうち765件に建築基準法違反が見つかりながら、是正はわずか11件に過ぎないことを問題視。国は「立ち入り調査を相手方が拒否した」などと調査が進まない理由を説明しました。

 たつみ議員は、「問題になった企業が、反省もなく同じことをやっていることに憤りを感じる」「調査人員の確保を含めて、国交省が指導性を発揮すべきだ」と強調。経済的理由で「脱法ハウス」から抜け出せない人を支援する仕組みが必要とし、“住まいの貧困”解消に向け、家補助制度などの実現へ踏み込むべきだと迫りました。

法改正を実現して

 脱法ハウス問題では、格差と貧困解消を求める世論と運動が広がって、国は全国の自治体を通じて違法物件の調査・指導を継続。一連の質問を契機に国会は2017年、入居支援事業など低所得者対策を盛り込んだ住宅セーフティネット法改正を超党派で実現しました。貧困ビジネス根絶と、住まいの権利保障に向けた動きにつながりました。
【大阪借地借家人組合・河嶋克博事務局長の話】

 たつみ議員の初質問は、問題となった脱法ハウスを取り上げ、住まいの貧困が深刻な問題であることを浮き彫りにしました。昨年住宅セーフティネット法が改正され、入居支援事業に不十分ながら一定の助成が行われるようになりました。社会的弱者への支援に取り組んできた、たつみ議員ならではの初仕事だったと思います。


(大阪民主新報、2018年5月13日号より)

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