声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
6月施行の民泊新法 「ヤミ民泊」合法化を追及①
「地域住民が誇りと愛着を持てる、活力に満ちた地域社会の発展を通して、国内外から観光旅行を促進することが、将来にわたる豊かな国民生活の実現につながります」
2017年6月の参院本会議。たつみコータロー参院議員は、住宅の空き部屋に有償で人を泊める「民泊」を完全解禁する住宅宿泊事業法案(民泊新法)について質問しました。
違法を合法化し
持続可能な地域社会の発展こそが、観光振興と国民生活向上につながるとする「観光立国」の指針を示し、「地域に混乱と困惑をもたらす民泊を解禁、合法化しては、誇りと愛着を持つことはできない」と強調。都市部に広がる5万件の無許可の「ヤミ民泊」など「違法なものを合法化するものだ」と批判しました。
「経済のためだと観光客の数だけを増やせばよいという政策の限界がきている。長期的視点に立ち、観光資源や文化財保護のためにも、飽和状態にある都市部への観光客誘致を、節度あるものにする必要がある」と強調したたつみ議員。「住んでよし、訪れてよし、そこに暮らす国民の生活が豊かになってこそ、観光地の魅力が輝く」と述べ、住宅宿泊事業法案に反対しました。
良好な住環境保護のため、ホテルや旅館は住宅専用地域に建てられません。旅館業法の許可を受けない「民泊」は違法です。ところが、6月15日以降には、観光バブルを当て込む政府の「成長戦略」の一環で、従来規制してきた「住居専用地域」を含むどの地域でも、民泊が完全解禁されます。旅館業法がホテルや旅館に義務付ける「許可制」とは違い、民泊新法では自治体への「届出」だけで個人や事業者が年間180日を上限に経営が可能になります。
先行する大阪で
ガラガラガラー。
4月初旬の午後。訪日客らが多数訪れる観光名所の大阪城公園から徒歩5分。大阪市東成区の閑静な住宅地に、車輪付きスーツケースの音を響かせて、外国人観光客約10人が現われました。一行は民間住宅の中に入っていきました。
長年空き家だった長屋住宅を改装した民泊物件で、特区制度で大阪市が4月に認可。自転車1台がやっと通れる幅1㍍ほどの細い路地を抜けた袋小路に位置し、普段なら顔見知りの住人しか通ることのないような場所でした。
すでに大阪府内では、国家戦略特区(民泊制度)の地域指定を受けた16年以降、民泊が可能になっています。
当初、国が設定した特区民泊の「6泊7日以上」の規制要件さえ、大阪府知事らの反発で「2泊3日以上」と骨抜きとなり、「細い路地に面した空きアパートが突然民泊に」「民泊進出で様変わりした町に住めないと退去した」などの事例も。
ごみ出しルールの逸脱や騒音問題はじめ、「地域社会とコミュニティーに深刻なトラブルを招き、平穏な日常生活を脅かす」とたつみ議員が指摘した深刻な事態が広がっているのです。
現在、大阪市内に1万件以上ある民泊のほとんどは、特区制度の認可さえ受けない無許可の「ヤミ民泊」です。ことし2月には、東成区内の「ヤミ民泊」で、20代女性が殺害される事件が起きました。
住民犠牲にして
「突然にぎやかな話し声が聞こえてきたと思ったら、たばこを手にした観光客がガラス窓越しに現れてびっくりしました」
民泊住宅に隣接する住民女性は話します。外国語の紙くずなどが入ったごみ袋が町会のごみ集積場に置かれたり、隣家の玄関先にジュースの空き缶が捨てられたことも。宿泊者が吸うたばこの煙が近隣に広がるなど苦情が噴出しています。自治会全体で意見をまとめ、民泊住宅の連絡窓口にマナー改善を求めると、「証拠はあるのか?」と突き返されたといいます。
「24時間ノーチェックで、いつ誰が出入りするか分からず、火の不始末や防犯面など不安は尽きません。なぜ住民だけが犠牲になって悲しい思いをしなければならないのでしょうか」と女性。静かな日常の暮らしを一変させた民泊は、地域の中でさらに深刻な影響を与えています。(続く)
(大阪民主新報、2018年5月20日号より)