府が森友関連文書を公開
要所は伏字 深まる疑惑
〝価格交渉〟の記述随所に
学校法人・森友学園問題で、府が7日に公開した森友学園理事会などの資料で、学園小学校設立が安倍首相や松井一郎知事の求める「教育」を行う目的だったことがうかがえます。資料公開は日本共産党府議団が再三求めてきたもの。
安倍「教育再生」と「軌を一」
左翼教育と攻撃
公開された森友学園理事会議事録は、いずれも1~2枚程度の簡素なもの。府私学審議会で認可を一度継続審議とされたことに、一部委員(黒塗り)の「反対のための反対」によるものだと攻撃し、認可適当の答申を得たことには「大阪府庁並びに座長(梶田叡一会長)をけじめ(原文ママ、)」とする委員の賛成によるものとしています。さらに「日本・大阪の教育には左翼教育の思想が大多数をしめ、これが教育の根元の部分をくさらす原因」として「当学園ができあがることは政府のいっている教育再生と規(原文ママ)を一にするもの」と誇っています。
「教育再生」は、安倍首相が「自虐史観、偏向教育の見直し」や「道徳教育の充実」など、戦後の教育を大きく右傾化させる方向を打ち出しているものです。安倍首相は第1次安倍内閣の2006年に『教育再生会議』を設立し、教育基本法「改正」を強行しました。12年に自民党総裁に就任後、党内に「教育再生実行本部」を立ち上げ、第2次安倍内閣の13年には「教育再生実行会議」を発足させています。
松井知事が出席
安倍首相は松井一郎知事や、06年に設立された財団法人「日本教育再生機構」の理事長に就任した八木秀次氏(教育再生実行本部のメンバー)と共に、12年2月26日の「教育再生民間タウンミーティングin大阪」でパネル討論しています。当時は大阪維新の会が「大阪府教育行政基本条例案」「府立学校条例案」など「教育改革」を打ち出しており、八木氏は「大阪の動きは安倍先生の志を受け継ぐもので戦後レジーム脱却の大阪版だ」と述べたといいます。
森友学園は近畿財務局に土地取得要望書を提出した当時、自己資金不足に悩んでいたことが理事会議事録からうかがえます。14年4月の時点では自己資金不足問題を解決することで、同年7月の私学審は「突破できる」としていたものの、7月の議事録では、「7月の審議会を無理せず」に「12月の審議会にかける」とし、資産における負債比率が府の基準を満たすために苦心していたことが分かります。
同年10月に学園は府に認可申請書を提出、12月の私学審でいったん継続審議となるものの、翌月の臨時会で認可適当の答申を得て、さらに翌月には国有審議会から定期借地の了承を得ます。
15年5月29日に土地の売買特約付き定期借地契約を締結。この間に国有地について「当初は賃貸とし、10年以内に購入することで話し合いがつき」(14年10月)、「賃貸料について国と学園との金額のせめぎ合いをしている」(15年2月)などと、国が否定する事前の価格交渉をうかがわせる記述が散見されます。
全資料の公開を
結果的に土地をただ同然で手に入れることになった学園は、財政状況が大きく改善します。銀行からの借り入れが可能になり、設立予定だった小学校の家庭負担を大きく引き下げます。「授業料は極めて安く、幼稚園の授業料と同程度に抑えることにより、金持ち所得でないところの中核サラリーマン世帯をターゲットとした」と16年4月の議事録にあります。
入学金は当初の40万円から25万円に、「教育充実費」は月2万円(年間24万円)が年6万円に下げられました。
どうしてこのようなことが実現しそうになったのか。府が公開した資料は、関わったとみられる人物・記述が全て黒塗りです。安倍昭恵首相夫人や松井知事、東徹参院議員、自民党の鴻池祥肇参院議員ら、籠池泰典前理事長が挙げた名前が真実なのか、黒塗り文書では疑惑は晴れません。
(大阪民主新報、2018年5月20日号より)