声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
人権脅かす民泊解禁反対 「ヤミ民泊」合法化を追及②
我慢しろと会社が
「大阪城に近い好立地。民泊の一体何が悪いのですか?我慢してください」――大阪市東成区で4月に開設された特区民泊での周辺トラブルをめぐり、運営会社責任者はそう突き放し、住民の抗議に耳を貸しませんでした。
住民側はこの間、保健所、消防署、区役所、警察などに反対要望書を提出。各戸の心配事を集約し、最低限のルールを守ってほしいと「協定書」締結を申し入れているものの、会社側は応じていません。
この民泊が運営を始めた4月以降、窓を開ければ手が届くほどの近さにある隣家の住民は、不安を覚え、自室のガラス窓を開閉できないよう防衛策を施しました。
宿泊客の手荷物が近隣に誤配されるトラブルも心配の種。狭い路地への侵入を防ぐ対策も、検討を余儀なくされています。
「平穏だった地域の暮らしは一変し、『安心・安全』とは随分かけ離れた地域に変わってしまった」と前出の隣家の住民。自分の意思で窓を自由に開け閉めすることなどは、本来誰に遠慮することのない当たり前の権利ではないかと問い掛けます。
「民泊によって、基本的人権が脅かされる事態となっています。企業のお金もうけのために、なぜ近隣住民が我慢しなければならないのか。同じ連合町内にある違法民泊で、人の命が奪われる痛ましい事件が起き、自分たちもいつ巻き込まれるかもしれないという不安の中にいるのです。今後大阪の街がどう変わっていってしまうのかが心配です」
地域に混乱と困惑
「(民泊)事業の検証が不可欠だ。特区でうまくいかないものを、どうして全国に広げることができるのか」――6月15日施行される民泊新法(住宅宿泊事業法)の国会論戦、で、たつみコータロー議員は、参院本会議はじめTPP特別委や国土交通委の審議で、繰り返し民泊合法化の問題を追及しました。
住居専用地域を含め、「届出」だけで民泊を認める法案の欠陥や、住宅地の安全やコミュニティに深刻なトラブルを招く弊害を指摘。民泊仲介サイト世界最大手の米Airbnb(エアビーアンドビー)など外資系企業が罰則を逃れる仕組みや安全確保など必要な規制措置がされない問題を告発しました。
たつみ議員は、ニューヨークやサンフランシスコ、ロンドン、ベルリンなど世界主要都市が、トラブル回避へ民泊規制を強めていると指摘。加えて国家戦略特区で例外的に民泊を認める大阪市などで違法民泊が増える事態を示し、「民泊の解禁、合法化は地域に混乱と困惑をもたらす」と民泊全面解禁は認められないと主張しました。
ビジネスと呼べぬ
「府内ホテルの稼働率にはまだ余裕があり、民泊など必要ない」と府内で20室のホテルを経営する男性が語気を強めます。
安全コストをかけない民泊が安価な一方、府内ホテルの平均客室単価は下落したと指摘するこの経営者は、「コンプライアンス(法令遵守)に欠け、もはやビジネスと呼べない『ヤミ民泊』が業界を圧迫し、地域環境の悪化に拍車をかけている事態は異常だ。観光政策としても経済政策としても民泊解禁は間違っている」と語りました。
大型連休明けの8日、大阪市のメーンストリート御堂筋で、管理人不在の民泊に反対するデモ行進が取り組まれました。全日本ホテル旅館協同組合が呼び掛けたもので、近畿一円の旅館・ホテル関係者ら約1500人が参加。たつみコータロー参院議員は国会から急きょ駆け付けて、デモ行進の先頭に立って民泊反対を訴えました。
もうけのために住民に犠牲
全日本ホテル旅館協同組合
金沢孝晃理事長
民泊によって市民の平和で安心な生活が壊される事態になり、資産家や大企業のもうけのために、一般庶民を犠牲にするような日本でいいのかと危惧しています。たつみ議員は民泊解禁に反対して、国会で厳しい質問をされました。ホテル旅館業界の切実な声を取り上げていただいたと感じます。
これからも一市民として駄目なものは駄目だと声を上げ続け、国民の皆さんと一緒に安心・安全な生活を守るために力を尽くしたいと思います。
(大阪民主新報、2018年5月27日号より)