市民が決めたのは大阪市存続
再度の住民投票許すな
明るい会・よくする会「府民のつどい」から
「都」構想・カジノを越え
新たな大阪を展望しよう
中山徹奈良女子大学教授が記念講演
常識的な政治判断ではない
「『大阪都』構想・カジノを越えて新たな大阪を展望しよう」と題して記念講演した奈良女子大学の中山徹教授は、住民投票は市民が意思を表明する最も重要な機会だと指摘。その結果を維新が軽々しく覆して「『都』構想再挑戦」へ動いてきたことは、「常識的な政治判断ではできない。2回目の住民投票を許さない取り組みを強めなければならない」と話し始めました。
今回維新が狙うのは、「特別区」設置の賛否を問う住民投票に先立って、「特別区」が否決されれば、合区を前提にした「総合区」の導入をあらかじめ決める「基本議決」を行うというもので、「24区そのままで改善していく」という選択肢を見えなくするなど、重大な問題があると批判しました。
カジノ中毒の行政はお断り
中山氏は、現在の「大阪都」構想は、大阪市を廃止してその財源・権限を府に集中させ、カジノを誘致することと一体だと強調。「カジノで大阪経済を活性化させる」という維新府・市政の主張に対して、「カジノに依存している世界都市がどこにあるのか」と問い掛けました。
カジノを誘致すれば大阪の地域経済は確実に衰退し、大阪市の財源が吸い上げられ、福祉・教育など市民向けの予算が削減されるのは必至だと警告。「カジノ誘致や『大阪都』構想を許せば、大阪や市民生活はどうなるのかを市民に訴え、『カジノ中毒の行政はお断り』という世論を広げよう」と訴えました。
世論と運動で実施が延期に
維新が住民投票の実施時期をめぐり、「ことし9~10月」という当初の予定を先送りした背景について、中山氏は世論の動向があると指摘。NHKの世論調査(4月)では「特別区」に賛成28%、「総合区」に賛成19%、「どちらも反対」42%で、「このままでは住民投票に負けるという判断から、維新は今秋の住民投票を断念した。世論と運動の成果だ」と語りました。
同時に、維新が住民投票実施を諦めていない中で、「住民投票を2回もやることが改革か」と市民に訴えるなど、住民投票に持ち込ませない世論形成が基本になると強調。もし住民投票が実施されても「特別区」設置はきっぱり否決し、統一地方選と大阪市長選で力関係を変えることで「基本議決」を廃止することは十分できると述べました。
維新後の大阪展望を語って
「維新は今後、万博・カジノ・『大阪都』構想の3点セットで、住民投票や選挙戦に臨むだろう」と中山氏。維新政治に反対するだけでなく、それに代わる大阪の展望を語ることが重要だと問題提起しました。
大阪で発展してきた反維新の共同を力に▽カジノではなく大阪の企業に依拠した経済対策▽福祉や教育の充実で安定した雇用の創出・確保▽現在の区役所機能の強化、市民参加の保障――など、「維新後」の新たな大阪について各地域で夢を語ろうと呼び掛けました。
共闘で安倍政権追い詰め
反維新の共同をすすめる
たつみ参院議員が国会報告
国会報告した日本共産党のたつみコータロー参院議員は、「森友・加計」疑惑や「働き方」改革一括法案の強行の動きの大本には安倍政権があり、「安倍政権こそが国難」と力説。「うそとごまかしの安倍政権、そしてうそとごまかしから始まったのが維新の『大阪都』構想だ」と述べました。
前回の住民投票では大阪市を廃止すれば「4千億円浮く」と言っていたが大うそで、「特別区」設置の初期費用だけで560億円もかかる制度いじりに過ぎないと指摘しました。
住吉市民病院の廃止問題を国会でも取り上げたたつみ氏は、厚生労働大臣が廃止に結局同意したことを示し、「安倍政権と維新が一体となって大阪市の市民サービス、医療を壊してきた」と批判。維新が今国会でのカジノ実施法案の成立を求め、安倍政権がこれを後押し、公明党も強行へアクセルを踏もうとしていると指摘しました。
同時にたつみ氏は、こうした動きに対して野党6党の共闘が前進していると強調。「国会では市民と野党の共闘と世論が安倍政権を追い詰めている。大阪では反維新の共同をさらに広げ、来年の統一地方選、参院選で維新退場に勝ち抜きたい」と決意を語りました。
違い超え維新政治ノー
各界代表が連帯あいさつ
住民投票から3周年の17日、大阪市中央区内で明るい民主大阪府政をつくる会と大阪市をよくする会が開いた「大阪市なくしたらアカン府民のつどい」では、各界からの連帯あいさつや、維新政治とのたたかいのリレートークがありました。
■選挙で審判下す
平松邦夫元大阪市長(公共政策ラボ代表)は、3年前の住民投票の投票日の様子を振り返りながら、「特別区」設置は否決され、大阪市は残ったが、市民の間に「勝ちか、負けか」という大きな断絶が残ったと指摘しました。
さらに参加者との掛け合いで、「大阪市なくしたらあかん」「そやねん」、「住民投票二へんもやるな」「そやねん」とコール。「みんなの力で素晴らしい大阪をつくるためにも、来年の統一地方選で維新の議員を、ダブル選で維新のトップを引きずり降ろそう」と語りました。
■政党の垣根越え
大阪を知り・考える市民の会の中野雅司代表は、8万5千筆を超える「大阪市の存続を求める署名」を3月市議会に提出し、継続審議になっていると報告。「住民投票をめぐる風向きが変わるきっかけになったと思う」と語りました。
「大阪都」構想だけでなく、維新政治によって大阪は問題が山積し、住みにくい街になっていると力説。「冷たい政治、弱者を痛め付ける政治はもう限界。政党の垣根を越えて維新政治打倒を果たすことが大きな課題。力を合わせて頑張りたい」と話しました。
■民意にかなうか
3年前の住民投票のたたかいで各党に共同を呼び掛けた民意の会の浅野秀弥共同代表は、住民投票で一度否決された「大阪都」構想を再び持ち出している維新に対し、「本当に民意にかなった政治を行っているのか」と厳しく問い掛けました。
「これから本当にやらなければならないのは知事、大阪市長の交代」ときっぱり。維新政治に対する批判だけでなく、新しい大阪づくりの提言が重要だとし、「来年の統一選で維新をぶっ飛ばそう。皆さん、一緒に頑張りましょう」と呼び掛けました。
■カジノ許せない
あかん!カジノ女性アピール呼び掛け人の中野冬美さんは、シングルマザーの離婚原因の大きなものが配偶者からのDV(ドメスティックバイオレンス)であり、その背後には夫のギャンブル行為があると指摘しました。
大阪で子どもの貧困問題解決が急務となっているにもかかわらず、ギャンブル依存症をつくり出し、奨励するカジノを大阪につくることは「まったくとんでもない話」と強調。絶対につくらせないために力を合わせようと訴えました。
■2度反対を示す
堺市の竹山修身市長の代理で、中條良一副市長が出席。2013年、17年の市長選で、「堺はひとつ」を掲げた竹山市長が勝利し、市民は「大阪都」構想にはっきりと反対の意思を示したと語りました。
大阪市や堺市を廃止する「大阪都」構想は「百害あって一利なし」と訴えてきた竹山氏の言葉を紹介しつつ、「2度目の住民投票になっても、大阪市民の方々にもう一度頑張っていただきたい」と述べました。
医療・教育・森友疑惑
リレートークで訴え
リレートークでは3氏が発言。住吉市民病院を充実させる市民の会の辻井大介事務局長は、同病院(3月末に閉院)が地域で担ってきた社会的・福祉的な医療機能を失わせた維新政治の責任は重大だと強調しました。
跡地に誘致する病院の開設を待つことなく病床を確保することを求める付帯決議が3月市議会で維新以外の賛成多数で可決されたとし、「医療の再生、地域医療の充実に向けて運動し、維新政治と大阪市廃止を許さないたたかいに頑張る」と語りました。
新婦人府本部の中川美佳副会長は、「学校選択制」で、大阪市の小学校では学校間の格差が生まれていると告発。「競争をあおる学校づくりではなく、いますぐ少人数学級を進めることが大切」と述べました。
維新市政が公教育への責任を放棄する方向に進んでいると批判。「子どもたちの未来や希望、命よりも利益を優先する維新政治から、子どもたちと教育を守るために力を合わせましょう」と呼び掛けました。
「森友疑惑」発祥の地である豊中市で府議補選(4月)をたたかった日本共産党の山本一徳・前豊中市議は、選挙戦の中で安倍政権と維新府政を許さない市民と野党の共闘が広がったことや、同時に行われた豊中市長選で維新市長の誕生を阻止できたと報告。
「森友疑惑」の真相究明に引き続き取り組むと同時に、「大阪都」構想をストップさせる上でも、来春の統一地方選で維新議員を一人でも多く減らすために、全力で頑張る決意を表明しました。
(大阪民主新報、2018年5月27日号より)