究極の売国法案
カジノ実施法案 参院で審議入り
参院本会議 たつみ議員が追及
カジノ実施法案が6日の参院本会議で審議入りしました。日本共産党のたつみコータロー議員は同法案は、刑法で禁じられてきた民間賭博を、違法性はそのままに解禁するものだと批判。「いまでさえ深刻な実態にあるギャンブル依存症をさらに増加させる前代未聞の悪法だ」と主張し、廃案を求めました。
法案の成立をなぜ急ぐのか
たつみ氏は、世論調査ではカジノ解禁反対が過半数を超え、「今国会で成立させる必要はない」が7割に達していると指摘。ところが衆院では、わずか18時間の審議で強行可決し、会期延長してまで今国会中に押し通そうとするのは、「カジノとセットで進められている大阪万博に間に合わせるためか」と迫りました。
たつみ氏は、大阪の計画は、カジノだけでは経済界からの投資を呼び込んだり、税金を使ったインフラ整備がしにくいから万博とセットで行うというもので、「まさにカジノのための万博誘致と言われても仕方がない」と強調。万博開催前の2024年に、何としてもカジノを開業するために、松井一郎知事や吉村洋文大阪市長が今国会での成立を安倍政権に要請したのではないかとただしました。
安倍晋三首相は「世界中から観光客を集める滞在型観光を推進する」などと法案成立に固執し、大阪への万博誘致とカジノは「関係するものではない」と述べるにとどまりました。
カジノなしで観光客は増加
政府はカジノをつくる目的は「外国人観光客を増やし、経済成長の目玉にする」と説明。たつみ氏は、2011年から16年の訪日外国人の増加率は、カジノがあるシンガポールの124%に対し、日本は386%となっていることを示しました。
大阪の増加率は595%(17年との比較では700%)だとし、「外国観光客は日本食やショッピング、文化遺産、自然、観光地が魅力で訪日している。おぞましいカジノなどなくても、日本の観光も大阪の観光も十分発展している」と指摘。国民が反対するカジノ建設をきっぱり断念するよう迫りました。
日本人の金を海外の資本が
たつみ氏は、大阪はじめカジノ誘致に手を挙げている自治体の計画は、集客見込みの8割程度が日本人だと指摘。カジノ事業を実際に行うのは経験とノウハウを持つ海外のカジノ資本であり、「日本人のお金を海外資本がカジノで吸い上げ、本国の株主、投資家に還元することになる。これこそ究極の『売国』法案だ」と強調しました。
たつみ氏は、カジノ実施法案は歴史上初めて民営賭博を合法化しようとするものだと指摘。競馬や競輪など公営ギャンブルだけが認められてきたのは、収益の使途を公的なもに限ることや、射幸性をコントロールできるとの考えからであり、「粗利益の7割を民間業者が懐に入れる今回の民間賭博が、どうして合法なのか。民営賭博は射幸性を高め、ギャンブル依存症を増やせば増やすほどもうかる。その民営賭博の射幸性をコントロールするなど不可能だ」と断じました。
安倍首相は「法案の内容は、刑法が賭博を犯罪と規定する趣旨を没却するものではない」「法秩序全体の整合性は確保されている」と述べるだけで、カジノを解禁するまともな根拠を示しませんでした。
(大阪民主新報、2018年7月15日号より)