東アジアに平和の流れを
朝鮮戦争休戦65周年
戦争と分断の歴史に終止符を
キャンドル行動に1500人
朝鮮戦争休戦65周年の節目に当たる7月27日夜、大阪市西区の靱公園で「東アジアに平和を!7・27キャンドル行動」が行われました。年内の朝鮮戦争終結を目指すとした南北首脳の「板門店宣言」(4月27日)と6月の米朝首脳会談を受け、和平の動きを加速しようと取り組まれたもの。1500人の参加者が、ろうそくの形をしたペンライトを手に、「PEACE」の人文字を完成させ、「東アジアに平和を!」「休戦協定を平和協定に!」と宣言しました。
祖国統一は半島全人民の悲願
朝鮮戦争は1950年6月25日に勃発。朝鮮を南北に分断した北緯38度線での軍事衝突を契機にした内戦で、米国の介入と「国連軍」派遣で国際的な戦争に拡大、米軍は原爆使用も計画しました。
国際的な反対運動の高まりで53年7月27日、休戦協定が調印されました。南北合わせ100万人以上の死者、数百万に及ぶ離散家族が生じたといわれます。
南北分断の背景には、日本軍国主義の植民地支配に加え、第2次大戦後の処理過程で38度線を境に米国とソ連の2国が分割占領した問題があります。48年に米ソそれぞれの支持を受けた南北両政権が発足し、「冷戦」構造を背景にした朝鮮戦争が南北国家の分断を決定的にしました。
90年9月に初の南北首脳会談が実現し、統一実現への方策や離散家族の交流事業、非核化などの協議が継続されており、戦争終結と南北国家の統一は両国民の悲願です。
休戦協定を平和協定に変えて
キャンドル行動は、韓国で朴槿恵(パク・クネ)前大統領の退陣につながった「ろうそく集会」を参考に、社会民主党の服部良一元衆院議員、長崎由美子府連幹事長らが中心となって企画。京都大学名誉教授の水野直樹氏、関西大学の高作正博教授、真宗太谷派僧侶の山内小夜子氏、大阪弁護士会元会長の石田法子氏ら20氏が呼び掛け人に名を連ね、幅広い団体が賛同しています。
キャンドル点灯に先立つ集会で、呼び掛け人を代表してあいさつした水野直樹氏は、「朝鮮半島は南北和解と将来的に統一の方向へ動き、長く続いた冷戦構造が変わりつつある」と情勢の変化を指摘。「日本の政治と社会もあり方を見直す必要がある」と述べ、過去の植民地支配の精算が不可欠だと強調、「朝鮮半島に平和が根付き、東アジア全体に平和が再生されることを願って進んでいこう」と呼び掛けました。
日本バプテスト連盟牧師の平良仁志氏は、日本軍国主義が進めた朝鮮半島植民地化政策に触れ、「朝鮮半島の南北分断は日本にも責任がある」と指摘。キリスト者による戦争協力の痛苦の教訓にも触れながら、「軍備あるところに平和はない。私たちは殺すための備えを否定する。休戦協定が平和協定になり、東アジアに平和が実現するよう頑張ろう」と訴えました。
9条が示す対話による平和を
集会には北朝鮮と韓国の在日団体代表が参加し、「戦争と対立からは何も生まれない」「平和こそが私たちの未来、希望が生まれる」「戦争と分断の歴史を終わらせる時がきた」と発言しました。朝鮮学校に子どもを通わせる在日3世の女性は、「子どもたちのために差別のない平和な社会を実現したい」と訴えました。従軍慰安婦問題で日本政府の公式謝罪を求めるハルモニ(おばあさん)たちの願いが紹介されました。
野党各党が連帯あいさつ
野党各党の代表があいさつ。日本共産党から宮本岳志衆院議員と清水忠史前衆院議員が参加し、宮本氏は、「憲法9条が示すように対話による平和構築へと情勢は大きく動いている。憲法9条を守り抜き、東アジアに真の平和を実現しよう」と呼び掛けました。
立憲民主党の尾辻かな子衆院議員は、「圧力一辺倒の日本外交は失敗だった。平和な非核の東アジアをつくるため力を合わせよう」と述べました。自由党の渡辺義彦元衆院議員は、「新しい変化の一歩をさらに前に進め、鮮半島とアジアの平和をつくろう」と語りました。社会民主党の服部良一元衆院議員は、「朝鮮半島の和平の動きに傍観者であってはいけない。歴史を後戻りさせてはならない。東アジアの平和をつくる主人公として声を上げていこう」と呼び掛けました。新社会党の岡崎宏美委員長は、「苦しみを抱えながら平和を求めてきた朝鮮半島の皆さんのたたかいに連帯して頑張っていきたい」と語りました。
参加者は、韓国の「キャンドル革命」で使用され日本に送られてきたキャンドル型ペンライトを片手に、PEACEの人文字を完成。朝鮮戦争終結と両国統一の願いを込めてアリランを歌いました。この後参加者は「東アジアの平和を守ろう」「朝鮮戦争終わらせよう」とコールしながら、御堂筋をパレードしました。
(大阪民主新報、2018年8月5日号より)