声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
日本共産党の質問が行政動かす 「水際作戦」の扶養照会
2013年秋の第185臨時国会で、日本共産党国会議員団の追及を通して生活保護制度をゆがめる文書が申請者の親族に送付された問題が発覚しました。
厚生労働省は非を認めて「是正」通知を出し、同年11月12日の参院厚労委では、田村憲久厚労相(当時)が「全国の実態を把握して不適切な文書が使われないよう徹底する」と発言。この日の委員会では、たつみコータロー参院議員もこの文書問題を取り上げ追及しました。
問題になったのは、長野市が生活保護申請者の親族に扶養の可否を確認するため送っていた「扶養義務者の扶養(援助)を優先的に受けることが前提」との文書。脳梗塞の後遺症で働けない男性が生活保護を申請したケースでは、男性の姉に扶養照会の文書が送付され、結果的に男性は生活保護利用を断念していました。
生活保護法では、親族による扶養は生活保護の受給要件ではありませんが、同市の文書は、扶養義務が保護を受けるための要件であると誤解させる恐れのあるもので、重大問題です。
自治体に是正通知
小池晃参院議員は11月7日、「こういう事態の中で生活保護法を変えて扶養義務の調査を強めたら、受給権侵害がますますひどくなる」と追及。厚労省は翌8日、各自治体に是正通知を出し、「一部自治体の扶養照会書等において、扶養義務者に対し、扶養義務が保護を受けるための要件であると誤認させる恐れのある表現が使われている」とし、速やかに文書を確認して、誤認につながる表現を改めるよう指導しました。
11月12日の厚労委員会で、田村厚労相(当時)は一連の問題で異例の冒頭発言に立ち、「長野市の生活保護において誤認させる表現があることを確認した」「事柄の重要性に鑑み改善を図るよう通知した」と報告。都道府県の担当者を集めた会議でも徹底すると述べました。
たつみ議員は厚労大臣の発言に続く質問で、扶養義務をめぐる問題を追及。「生活保護は最後のセーフティーネットです。命に関わる生活保護行政で、こういう間違いが起こった。自治体としても国としてもあってはならないこと」だと強調しました。「扶養義務をめぐって、申請を萎縮させたり、申請をとどまらせる水際作戦が横行している。(生活保護法)改正案は間違いを更に増やすことは自明だ。こういう事態を止める手立てこそ求めたい」と迫りました。
違法文書が8市で
生活保護の扶養義務をめぐる法律違反の文書は、全国各地の自治体で使用され、大阪府内でも8自治体に広がっていたことが明らかになりました。
日本共産党の宮原たけし府議は、2013年11月18日の府議会決算特別委員会で追及し、府内8市が同様の文書を使っていたことが判明しました。箕面、四條畷など8市は、「扶養義務の履行について(照会)」との文書を親族らに送付。「保護に当たっては民法に定める扶養義務者の扶養(援助)を優先的に受けることが前提となっています」との記述があり、「扶養届」を記入・回答するよう求めていました。
宮原府議はこの日の質問で、「親族へのこのような文書送付は人権侵害だ。是正されたのか」と質問しました。府側は「親族の扶養義務が要件であるかのように説明するなど、申請権を侵害するような行為はしないよう管内福祉事務所を指導する」とし、近日中に改善すると答弁しました。
厚労省の11月8日付事務連絡(是正通知)を受け、大阪府は、扶養が保護の要件であるとの文書を削除・修正するよう各福祉事務所と子ども家庭センターに文書指導しました。
(大阪民主新報、2018年8月12日、19日合併号より)