おおさかナウ

2018年08月12日

府民の声をまっすぐ国政に
災害対策・子育て・社会保障・街づくり…要求切実
日本共産党府委員会が政府交渉

 日本共産党府委員会(柳利昭委員長)が7月25日、政府交渉を行いました。府議団と町議員団から34人の議員・候補者が参加し、災害対策や子育て・教育、社会保障、街づくりなど各分野の切実な府民要求を各省庁に届けました。

 交渉には、山下よしき副委員長・参院議員、たつみコータロー、大門実紀史の各参院議員、こくた恵二、宮本岳志両衆院議員、清水忠史前衆院議員、わたなべ結府国政対策委員長(衆院大阪3区候補)が同席しました。

 市田忠義副委員長・参院議員が激励あいさつしました。

政府交渉で要望書を手渡す(前列右から)大門、たつみ、山下、こくた、宮本の各国会議員と宮原府議。後列は大阪の地方議員・候補者=7月25日、東京・衆院第2議員会館

政府交渉で要望書を手渡す(前列右から)大門、たつみ、山下、こくた、宮本の各国会議員と宮原府議。後列は大阪の地方議員・候補者=7月25日、東京・衆院第2議員会館

公立小中学校へのエアコン設置は急務

災害・防災

 6月18日に発生した大阪北部地震の被災者支援で日本共産党は、府議団と被災自治体の議員団が政府に対して7月12日に第1次要請、同24日に第2次要請を実施。25日の政府交渉では緊急要望として、体育館・教室などの公立小中学校の避難所・避難施設へ、国の責任でエアコンを設置するよう求めました。山下参院議員は「エアコン設置は教育上も、防災上も急を要する。国会でも取り上げるので、政府として力を尽くすべき」と強調しました。

特別教室への設置に遅れが

 石川たえ府議は府内の公立小中学校のエアコン設置率は77・3%だが、0%の市町村も残され、体育館や音楽室などの特別教室への設置が取り残されていると指摘。「音楽室では猛暑の中、ブラスバンド部が窓を閉め切って練習している。人命そのものに関わる問題。子どもたちの健全な成長のためにも、一日も早く大胆な財政措置を」と求めました。

 瀬戸一正大阪市議団長も「体育館へのエアコン設置を国は指導していないのではないか。大阪市は設置ゼロだ。国として踏み込むべき」と迫りました。

 文科省は、菅義偉官房長官が7月24日に「猛暑対策は緊急課題」と発言したことも踏まえ、「空調設置は、避難所としての機能向上や児童・生徒の学習環境改善のため重要」「特別教室も含めて各省庁と連携して早急に設置できるよう努める」と回答。石川府議は「テンポアップを」と重ねて要望しました。

水道・下水の耐震化促進を

 大阪北部地震では、水道管の破断により高槻市などで断水が発生。府内では主要水道管に占める老朽管(40年超)の割合(16年度)は全国最悪の28・3%で、全国平均14・8%を大きく上回っています。下水の耐震化率(同)も35%で全国平均48%を下回っています。 

 水道・下水の耐震化促進の要望に対し、厚労省・国交省が、それぞれ緊急度に応じて予算措置していると説明しました。

 宮原たけし府議は「緊急度の高いところは、財政事情で水道料を上げざるを得ない自治体。大阪では『水道料を2倍にすれば補助対象にする』ということになる。水道法の精神と違う」と指摘し、対応を求めました。

耐震化補助の期間の延長を

 自治体庁舎の耐震化では、熊本地震を受けて17年に創設された国の補助制度について、交野市の藤田まり議員が発言しました。同制度の期間は緊急性などを理由に4年間に限られている中、交野市ではことし2月に公共再配備計画を決めたが、移転先や内容・予算などが示されず、住民に混乱が生まれていると指摘しました。

 藤田議員が「住民合意のない計画ではどうしようもない。国の補助制度の期間延長を」と求めたのに対し、総務省は「貴重なご意見をいただいた。(制度の適用状況を)定点観測しているので、個別の事情にも対応できるようにしたい」と答えました。

 また個人敷地内の水道管(鉛管)の取り換えをめぐり、守口市の酒井美知代議員が、「市の補助があるが個人負担もあり、進まない。国の支援を」と訴えましたが、国交省は「私有財産は補助対象ではない」という従来の答弁に終始しました。

 山下議員は、「解決しなければならない問題を提起している。財源の確保が必要であり、政治の舞台で『予算の使い方の順序を変えよ』と、国民の運動と共に力を尽くしたい」と語りました。

税制改正し寡婦控除の適用拡大を

未婚親

 未婚のひとり親世帯にも寡婦(夫)控除が適用されるよう関連制度の改正や税法正を求めたのに対し、財務省は来年度の税制改正に向けて今年度中に結論を出すとし、総務省は地方税についても所得税と歩調を合わせて検討すると、一定前向きの回答を行いました。

 池田市の小林よしみつ市議は、未婚のひとり親世帯には声を上げられない人が多い中で、池田市では、14年度から学童保育料や就学援助費で「みなし適用」を進めていることを紹介。「支援策の基本は税法上の問題で、市では対応できない」と税法改正を求めました。

 山下議員は5年前にこの問題を国会で取り上げ、その後「みなし適用」を実施する自治体が増えているとし、「憲法や子どもの権利条約からも、未婚のひとり親家庭への差別は根拠がない。自治体の努力では限界があり、国が踏み出すべき」と力説しました。

発達と成長保障へ 第一義的優先課題に

子育て

 保育・子育て支援では、認可保育所の整備予算増額や保育士の処遇改善、子ども医療費助成を国の制度にすることなどを要望しました。

保育士配置の基準見直しを

 石川府議は、府が待機児解消へ「特区」を活用して「准保育士」を導入しているが、研修は座学270時間、実習2日にすぎず、「これでは子どもの命は絶対担保できない」と訴えました。虐待対策では福祉士は人口基準通り配置されているが、一人当たりの担当件数は全国の2倍で丁寧に対応できず、過重負担で職員の退職や病気も多いと指摘。スクールカウンセラーは全校配置というが、かけもちで週1回しか来なくても1校にカウントされていると語りました。

 国の保育士配置基準が1歳児6人に対し1人になっていることについて、吹田市の玉井みき子市議は、「昼の預かり時間帯に地震が起きれば避難対応ができない。国基準は命を守る場にふさわしいか」と問い掛け、国基準の見直しを要求。市内にできた企業主導型保育所では、園と園庭になる公園の間に道路があるとし、「説明会もなく、住民は困惑。本当に待機児解消につながらない」と訴えました。

 うち海公仁・府議候補(東大阪)は、東大阪市は現場の声を反映して配置基準の高い「A型」の導入を目指したが、企業主導型保育所が増えたことで「B型」が増えているとし、「これでは待機児解消にならない。一時保育もできていない現状があり、強力な支援が必要」と求めました。

 池田市の藤原みち子議員は子ども医療費助成制度に関して、「子どもが病気になってもお金がないので病院に行けないという問題を助成制度で解決し、早期治療することで医療費も減らせる」と強調し、国制度の創設を要望。たつみ参院議員は「子育て支援を第一義的な優先課題として取り組まなければ、子どもの発達と成長を保障できない」と述べました。

35人以下学級実現し教育環境改善を

教育

 文科省との交渉では、義務教育での35人以下学級の全学年実施や学校給食の無償化、特別支援学校の設置基準の確立、教職員の正規職員化など切実な要望が相次ぎました。

 宮原府議は、高槻市では35人以下学級を独自実施することで、学力向上や暴力行為・いじめの減少などの成果が出ているとし、国の制度として確立すべきと強調。枚方市のつつみ幸子議員は、同市が国の補助を前提に中学校給食実施のための調理場建設に踏み切ったところ、財政力があることを理由に補助されなかったことを示し、「給食の大切さが言われている中、補助するなら必ず出してほしい」と訴えました。

 学校給食の無償化で文科省が、「4400億円必要だが、財政上の問題がある」と説明したのに対し、藤井寺市の木下誇議員は、「食育の点から地場作物も給食に使いたいが、高価なため食材費の保護者負担が増える。無償化は切実だ」と語りました。

ダブルカウントを国制度に

 現在の公立小中学校の学級編成では、特別支援学級の児童生徒は通常学級の一員と数えないため、特別支援学級の生徒が通常学級で授業を受ける場合には、通常学級が学級定数を超えて過大となり、さまざまな矛盾が生まれています。みわ智之府議候補(枚方市)、四條畷市の岸田あつこ議員、藤井寺市の瀬川さとる議員、箕面市の村川真実議員らは、それぞれの実態を伝え、特別支援学級の児童制度を通常学級の定数に含めて学級編成を行う「ダブルカウント」を国として行うよう強く求めました。

 摂津市の安藤薫議員は、産休・育休の代替講師が2週間以上着任しないなど「教育に穴があく」実態を示し教育確保を要望。茨木市の朝田充議員は、歯科検診を通じて児童生徒の口腔崩壊の実態が明らかになっているとし、「国が責任持って対応を」と求めました。

「都道府県単位化」でも市町村が主体

国保統一

 国保の都道府県単位化で、国保料の徴収・資格管理などは引き続き市町村が行うとされています。

 ところが府は、6年間の激変緩和期間は設けるものの、市町村独自の財政支援(法定外繰り入れ)は解消させ、保険料率や減免制度を「府内一本化」する計画を推進。従わない市町村にペナルティーを科すことも示しています。

切実な要求を相次いで要望

 厚労省は、都道府県単位化の下でも、保険料率の決定や減免制度は市町村が担うのが原則だと説明。宮原府議は「府はあまりに異常。建前は市町村が決めるというが、ローカルルールとして府内一本化しようとしている。国保法からみてもあり得ない運用だ」と強調し、国の考えを市町村に文書で示すよう求めました。

 さらに「町民アンケートでも、府内2番目に高い介護保険料に悲鳴が上がっている」(田尻町・吉開育子議員)、「生活保護受給者のクーラー買い替え・修理へ一時扶助を適用すべき。酷暑で命に関わる事態だ」(高槻市・宮本雄一郎議員)、「太子町・千早赤阪村方面は交通の便が悪い中で、ケースワーカーの配置が少ない。生活保護行政では地域特性を踏まえた人員配置を」(太子町・西田いく子町議)などの切実な要望が相次ぎました。

調査・対策・取り締まりを国の責任で

違法民泊

 国交省との交渉では、違法民泊の取り締まり強化を要望しました。

 観光庁は、違法通知のあった物件は仲介から外すと指示していると回答したのに対し、たつみ議員は世界最大手のエアビーアンドビー社が改善していないと指摘。「業務改善命令を出すなど、民泊新法施行後の取り組みを直ちに行うべき」と迫りました。小川陽太大阪市議、石谷ひさ子大阪市議候補(阿倍野区)が大阪市内で増えている実態を示し、調査と対策を国の責任で行うよう求めました。

 さらに「UR住宅入居者の高齢化・低所得化がなど実態に見合った減免制度の確立は緊急課題」(枚方市・つつみ議員)、「阪急石橋駅のホームドア設置が急務。国からも阪急に申し入れを」(池田市・山元たけし市委員長)、「南海松ノ浜駅は高架化で無人駅となり、障害者への対応ができない状態。利用者の安全・安心確保へ人員配置を」(泉大津市・森下巌議員)などの要望がありました。

(大阪民主新報、2018年8月12日、19日合併号より)

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