おおさかナウ

2018年09月23日

いまこそ災害に強い防災都市に
暮らし・子育て・中小企業応援の大阪を
9月議会26日開会 共産党府議団が懇談会

 26日の9月府議会開会を前に、日本共産党府議団は14日、府庁内で府的団体や地方議員らとの懇談会を開催。宮原たけし団長は府の防災対策の不備や子どもの貧困対策予算の貧しさ、中小企業の疲弊などを指摘し、地震や台風の被災者らが国の支援法の対象となるか不透明な中、「被災者の負担を少なくするよう頑張りたい」と決意を述べました。

知事の災害対策は不十分

 台風21号による被害は、13日現在の府の集計で死者8人、重傷者7人、軽傷者471人で、住宅被害は全壊2件、半壊22件、一部損壊1万4114件です。自治体の被害集約が進めば、さらに数値が膨れ上がるとみられます。

 猛暑や豪雨が続いた大阪で、地震や台風で屋根を損傷し、ブルーシートや職人の不足で補修がされず、いまも雨漏りがする住宅で疲弊する府民が多く残されています。

義援金には府の予算使わず

9月議会に向けて共産党府議団が開いた懇談会=14日、府庁内

9月議会に向けて共産党府議団が開いた懇談会=14日、府庁内

 宮原議員は、松井一郎知事の対応を「極めて不十分」と批判しました。義援金の配布では府の予算は使わず、住宅補修への無利子融資は「10年前の金利なら価値はあったが、いまの低金利では自慢することではない。本格的にやると言えるのは、民間ブロック塀の撤去費用への補助ぐらいだ」と指摘しました。

 地震被害の把握が進めば、高槻市に災害救助法が適用される可能性が高いとみられます。同法が適用されれば、全壊・半壊世帯へ支援金が給付されますが、宮原府議は同市以外の被災自治体12市町へも、府が国と同様に支援金を給付するよう求める考えを示しました。そうした場合に、年度末に特別交付税で府財政が補填される仕組みがあると紹介しました。

タンカーだけの責任なのか

 関西国際空港の被災については、「(連絡橋にぶつかり損壊させた)タンカーだけの責任にするのは間違い」と、松井知事の姿勢を批判。伊丹空港周辺の住民被害軽減のために、海上空港が構想された経緯に触れつつ、「共産党は以前から安全対策が不十分と指摘し続けてきた。関空の脆弱さと向き合って、対策をどう強めるかを考えなければ」と指摘しました。

 府と大阪市が誘致を狙う、カジノを核とする統合型リゾート(IR)の候補地である大阪市此花区の人口島・夢洲について、地震での液状化の危険性を指摘。また「大阪都」構想の住民投票の阻止を呼び掛けました。

府民の危機打開のために

国保料と介護保険料が上昇

 宮原府議は国民健康保険(国保)や後期高齢者医療の加入者の苦難も示しました。国保では、1997年度と2015年度との比較で、加入者の平均所得は全国で約77%へと減少しているのに対し、大阪は全国平均を大きく下回り約60%へと、18年間で4割も所得が減っています。保険料の負担割合は全国が8・7%から13・5%へと増していますが、大阪の国保加入者では9・3%から16・5%です。

 府は国保料・減免制度の府内統一を狙っており、それを先取りして保険料を値上げする自治体も多く出ています。

子どもの貧困対策抜本的に

 府民の危機打開のため、府議団は先月末に府に緊急補正予算要望をしています。児童虐待対策の強化や災害被災者への支援などを最重点項目に挙げました。

 石川たえ府議は、今年度の子どもの貧困対策予算では、市町村が求める支援員やケースワーカーの増員に対応できていないと指摘しました。子どもの貧困緊急対策事業費補助金は3億円で、共産党は抜本的な増額を求めています。来年6月のG20サミットの警備費約8億6千万円と比較すると貧しい限りです。

各団体が現状告発と要望

 各団体から府の施策などへの要望が出されました。

防災拠点にならぬ咲洲庁舎

 府職労は維新府政で職員が減らされ、災害時の対応の遅れや職員の疲弊などを訴えました。府咲洲庁舎では、台風21号の接近で昼前からビルが小刻みに揺れだし、エレベーターが止まりました。外では強風で車が歩道橋に接触するほど飛ばされたと紹介。同庁舎での宿泊施設の開業を危険視し、「防災拠点にならず直ちに撤退すべき」と指摘しました。

教育こわしの実態が次々と

 府高教は、今後5年間で府立・大阪市立高校8校をさらに減らす府の計画を批判し、「高校への進学者は減っていない。8校つぶすというのなら、全国平均並のクラス数と35人以下学級の拡大で、世間並みの教育条件改善へつなげよう」と運動を呼び掛けました。

 大教組は府独自の中学校チャレンジテスト廃止を要望。「1~2年生では、1年間どんなに頑張っても1回のテストで失敗すれば内申が下がる。3年生では生徒個人がどんなにいい成績でも、どの学校に通っているかで内申が決まる。不公平極まりない」と訴えました。

 大障教は府立支援学校の過密化を解消しようとしない府の姿勢を告発。「教育行政による障害児差別、人権侵害だ」と訴えました。多くの児童や生徒が遠距離通学を強いられ、「東大阪市に住む保護者は下の子が八尾支援学校に通うが、上の子は高等部から四條畷に転校させられ、地震発生と余震が続き交通網も麻痺する中、『どちらに迎えに行けばいいか』『二度と子どもに会えなくなるのでは』と不安と恐怖に駆られた」と訴えました。

 停電などの地域医療に与える影響や、海抜ゼロメートル地帯にある避難所の安全性の問題なども指摘されました。学童保育の設置基準を廃止しないよう求める意見書の採択を求める声もありました。

(大阪民主新報、2018年9月23日号より)

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