おおさかナウ

2018年10月06日

第15回法定協
当局試算でも財政効果なし
「都」構想 百害あって一利なし
「特別区」設置 共産党・山中議員が追及

 大阪市を廃止して「特別区」に再編する、「大阪都」構想の制度設計を議論する大都市制度(特別区設置)協議会(法定協)の第15回目の会合が9月28日、大阪市役所内で開かれました。日本共産党の山中智子大阪市議は、制度設計を担う副首都推進局がまとめた「特別区」素案の財政試算からも「特別区」設置の財政効果は皆無で、逆に膨大なマイナスが生じると指摘。「『大阪都』構想は百害あって一利なし。最悪だ」と断じました。

サービス拡充は大阪市のままで

山中智子市議

山中智子市議

 素案では4つの「特別区」の設置に伴い、大阪市の事務事業のうち「広域的」と分類した428事業を府に移管。山中氏が示した副首都推進局の資料では、「特別区」の設置準備期間(2019~21年)の3年間で、府はシステム改修など35億2千万円の設置コストが必要に。設置後(31年までの10年間)は毎年10億円の人件費減があるだけで、それを上回るシステム運用経費の増で、その「効果」は吹き飛んでしまいます。

 他方、「特別区」は設置準備期間中の支出は207億円(大阪市が負担)に上り、設置後も職員増による人件費増やシステム運用経費の増などで、毎年61~88億円のコスト増となります。山中氏は「『大阪都』構想という制度的な変更で、財政効果は何ら生まれない」と指摘。「大阪市民にとっては、大阪市のままのほうが、現在の市民サービスを維持・拡充できる」と強調しました。

不毛な議論やめ防災対策に力を

第15回法定協=9月28日、大阪市役所内

第15回法定協=9月28日、大阪市役所内

 副首都推進局は、「(試算では『特別区』の)収支不足は財政調整基金などで対応できるか、または収支不足は発生しない」と説明しました。

 山中氏は、財政試算は設置コストを無理やり低く抑え、制度改革と関係のない地下鉄民営化によるプラス要因を盛り込むなどして、何とか財政運営が成り立つようにしたものだと反論。中核市並みの自治体にすれば素案を超えるコストがかかり、「『特別区』にすれば住民サービスを削らざるを得ないのは、はっきりしている」と主張しました。

 山中氏は、台風21号(9月4日)で関空が冠水しただけでなく、咲洲(大阪市住之江区)や夢洲(此花区)などの護岸の一部が倒壊したと指摘。公園・街路樹などの倒本は8500本、大阪市の公共建築物は400件以上が被害を受け、民間家屋の被害は全容把握すらできないほど広範囲に及んでいるとし、「カジノだ、万博だと言っている場合ではない。不毛な制度いじりの議論は打ち止めにし、府市がそれぞれしっかりと防災対策に取り組むべき」と力説しました。

特別区設置コスト表

(大阪民主新報、2018年10月7日号より)

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