おおさかナウ

2018年10月14日

カジノ・万博は断念せよ
ベイエリア 台風21号で護岸倒壊
共産党・小川陽太議員が追及 大阪市議会決算委

 4日の大阪市議会決算特別委員会で日本共産党の小川陽太議員は、台風21号(9月4日)で大阪湾の埋め立て地・夢洲(ゆめしま・同市此花区)の護岸が高潮で一部倒壊するなど、港湾部での被害実態を示して質問しました。夢洲は、カジノを核とした統合型リゾート(IR)や2025年国際博覧会(万博)の候補地。小川氏は「防災対策をしっかり進めることが肝要で、夢洲のまちづくりだ、IRだ、万博だと言っている場合ではない」と迫りました。

台風21号の高潮で護岸が倒壊した夢洲。内側に並んだ石が陸地側に押し流されています(9月21日撮影、日本共産党大阪市議会議員団提供)

台風21号の高潮で護岸が倒壊した夢洲。内側に並んだ石が陸地側に押し流されています(9月21日撮影、日本共産党大阪市議会議員団提供)

〝やるべきは防災対策〟

巨大な石が波に流され

被害実態をパネルで示し質問する小川議員=4日、大阪市議会決算特別委員会

被害実態をパネルで示し質問する小川議員=4日、大阪市議会決算特別委員会

 台風21号では関空が冠水して空港機能がまひし、府内の家屋や建築物が損壊。大阪市内では公園内の樹木や街路樹の倒木は8400本に上るなど、甚大な被害が出ました。ところが、メディアは夢洲での被害などをほとんど伝えていません。

 小川氏が9月21日に現地を視察したところ、夢洲では倒壊した護岸の内側に並んでいた大きな石が、高潮の波で押し流されていました。夢洲の対岸の咲洲(さきしま・住之江区)では防波堤の一部が倒壊、消波ブロックも護岸の上まで押し流されていました。

 質問で小川氏は現場の写真を示し、「大変な破壊力だ。高潮でこれほどの被害が出ている」と指摘。今回の高潮はOP(大阪湾最低潮位)+4・59㍍だったが、南海トラフ巨大地震の想定ではそれを上回るOP+5・4㍍の津波に襲われると述べました。

 さらに「夢洲では液状化が起きにくい」と大阪市は説明してきたが、府はIR用地を中心に液状化が起きると予測していると、食い違いを指摘。「毎年のようにやってくる台風や南海トラフ巨大地震の防災対策をしっかりと進めることが肝要だ」と力説しました。

負の遺産を繰り返すか

夢洲の対岸にある咲洲でも、台風21号の高潮で防波堤が倒壊(9月21日撮影、日本共産党大阪市議会議員団提供)

夢洲の対岸にある咲洲でも、台風21号の高潮で防波堤が倒壊(9月21日撮影、日本共産党大阪市議会議員団提供)

 小川氏は、IR用地や万博用地の土地造成や基盤整備などで500億円を超える金額を市の埋め立て事業で負担することになるが、埋め立て事業会計の企業債残高(2017年度末)は1243億円に及ぶなど、「火の車だ」と指摘。「カジノは市民的に断じて許せないだけでなく、埋め立て事業としても大変なリスクがある」と警告しました。

 さらに吉村洋文市長や松井一郎知事が、万博誘致に躍起となって票集めに諸外国に出かけているが、会期が半年間しかない万博の後の土地利用の見通しもないと批判。「(万博用地に対して)急速埋め立て、土地造成、基盤整備で160億円もの先行投資は、またぞろ巨大な負の遺産になるのではないか」と迫りました。

 吉村市長は「夢洲には、アジアでここにしかないというポテンシャル(潜在力)がある。国際観光拠点としてIRを着実に誘致したい」などと、カジノと万博に固執。小川氏は「まさに無駄な巨大開発だ。夢洲を舞台にしたIR・万博誘致はきっぱりと断念すべきだ」と重ねて主張しました。

(大阪民主新報、2018年10月14日号より)

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