働く若者の悩みや不安を
社会問題として科学的に
民青学習会 酒井雅敏「月刊学習」編集長が講演
民青同盟府委員会(酒巻眞世委員長)が13日、大阪市中央区内で、日本共産党の雑誌「月刊学習」編集長の酒井雅敏さんを講師に学習会を開きました。題して「本当は〝優しくなりたい〟あなたへ」。働く若者の仕事の悩みや不安に寄り添い、問題の根底にある資本主義社会の仕組みをつかみ、解決の方向を共に考えようと企画されたものです。
非正規が増加職場に分断が
酒井氏は同様のテーマで、全国各地の民青同盟の学習会で講演しています。働く若者の間では、集まれば「いつやめるか」という話になり、休みがとれない(教員)、転職しても続かない(看護師)などの実態があると切り出し、「本当にやりたいことができない」「自分がここでやっていけるのか」という悩みや不安があふれていると語りました。
背景には、1990年代以降増えてきた非正規雇用の問題があると指摘。派遣社員は社員食堂を利用できない企業の例なども示し、「職場が分断され、同じ働く仲間として周囲と連帯できなくなっている」と語りました。過労死に追い込まれるほどの過酷な現実は日本社会全体にまん延しているとし、「個々の職場の問題としてではなく、社会全体の問題として考える必要がある」と問題提起しました。
自己責任論が押し付けられ
一方、内閣府の世論調査(2012年)で、現在の生活に満足しているという回答は18~29歳の若者が約60%に上り、どの世代よりも高くなっていることも紹介しました。
酒井氏は「非正規にしかなれなかったのは自分のせい」などの「自己責任論」が押し付けられ、閉塞感が生まれていると指摘。正規職員は非正規職員を見て「自分はまし」とバランスをとることがたたき込まれ、「文句を言えない空気がある」とし、「私たちの合い言葉は『悪いのは君じゃない!』。仕事の不満を社会の問題として科学的にとらえることでこそ、解決の展望が見えてくる」と話しました。
暴走を抑えるルールづくり
酒井氏は、現在の資本主義は利潤第一主義が“鉄の掟”であり、それが職場や社会のゆがみを生み出していると述べ、利潤第一主義の暴走を抑えるルール(法律)をつくることが解決の道だと力説。ドイツでは、1日の労働時間は残業を含め10時間以内で、半年間で1日平均8時間になるよう規制されているとし、「日本は世界でも労働者の仕事と権利を守るルールが遅れた国。政治の力でヨーロッパ並みの労働条件の実現を目指そう」と呼び掛け、資本主義の枠内での民主的改革を掲げる日本共産党の綱領を紹介しました。
未来社会論の展望にも言及
さらに、利潤第一主義とは異なる原理で動く未来社会論にも言及。生産手段の社会化で利潤第一主義の支配から社会が解放され、すべての人間の生活向上と労働時間の短縮が経済活動の新しい目的となり、自由時間の拡大が人間の全面的発達の条件をつくるとし、これが社会主義・共産主義社会の特質だと語りました。
参加者からは、「『仕事が忙しい』という現象の奥には、職場を多忙化させることで資本家がもうける構造がある。資本は自己規制できないのだから、政治で決着をつけるしかない」などの感想が寄せられました。
(大阪民主新報、2018年10月28日号より)