おおさかナウ

2018年11月04日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
安全神話の誤りこそ教えるべき 放射線出前授業の問題ただす

放射線出前授業について質問するたつみ議員=2017年5月8日

放射線出前授業について質問するたつみ議員=2017年5月8日

 日本共産党のたつみコータロー参院議員は2017年4月25日の参院経済産業委員会で、玄海原発で事故が起きても健康被害が生じないかのように描いたパンフレットを、九州電力が住民に配布していることを示し、「新たな安全神話をふりまくものだ」と批判しました。

 玄海原発3、4号機の再稼働計画をめぐり九電が住民に配布したパンフレットには「万が一の事故の際においても、放射性物質の放出量は、福島第1原子力発電所事故時の約2千分の1の『4・5テラベクレル(1基あたり)』」、「格納容器は破損せず」などと記述していました。

 たつみ議員は「ことさらに『安全』を強調している。格納容器は破損しないと絶対に言えるのか」とただしたのに対し、原子力規制委員会の田中俊一委員長(当時)は「水素爆発とは全く別のことが起きれば別」と答弁し、破損する可能性を認めました。

 たつみ議員は、「住民を惑わす表現を用いた広報活動は問題だ」と重ねて批判。世耕経産相は「分かりやすく説明することが重要だ」と答弁しました。

自然界の放射線と

 2017年5月8日の参院決算委員会で、たつみ議員は、文部科学省が全国の小中高校で実施する放射線に関する出前授業の内容に関し、「非科学的で不適切だ」と疑問の声が出ている問題を質問しまた。

 放射線出前授業は、児童生徒等の放射線に関する科学的な理解の増進を目的とし2013年度から始まったもの。授業を「中立公正に実施できる」などを条件として同省が委託先を選定し、14年度からは中学校理科教員OBらでつくる一般社団法人エネルギー・環境理科教育推進研究所(エネ理研)が受託し、15年度には全国で226件実施されました。

 たつみ議員が取り上げた出前授業は2016年9月、堺市南区の小学校で実施された公開授業です。

 エネ理研から派遣された講師は子どもたちの前でカリウムを原料に含んだ肥料を測定して放射線が出ていることを確認し、「みんなはこれを食物を通じて体内に入れてる。良かったね」と語るなど、野菜に含まれるカリウムと放射線カリウムを混同して講義。ラドン温泉の効能やラジウム鉱石でつくったブレスレットを示し「健康に良い」などと発言。「身の周りにたくさんの放射線が飛んでいる。当たり前のように生活できるし、ね、そうだよね」と話したといいます。

 続けて鉄板が放射線量を減らすことを実験で示し、「放射線は鉄とコンクリートは通さない」などと説明。「関西の原発」(福井県若狭地区の原発のこと)が爆発したらと仮定し、原発事故時の身を守る方法として「鉄板だらけの服を着て歩いちゃう」などと非現実的な発言を繰り返しました。

 公開授業を参観していた保護者から「最新の科学研究と知見を踏まえない情報提示が続いた」「偏った見解で意見誘導していると感じた」など批判が噴出し、保護者有志は9月下旬、「偏った知識を植え付け、不安を与える放射線授業を今後実施しないでください」との要望書を関係機関に提出しました。

 堺市の放射線出前授業は、堺市議会でも取り上げられ、市教委は「非科学的で不適切」とし市内学校での出前授業を中止にしました。

委託先が変更に

 不適切な出前授業の問題点を取り上げた質問で、たつみ議員は、医療目的などを除き可能な限り被ばくを避けることや、放射線に関する理解不足から原発避難者に対するいじめが続いている問題を指摘。「一番非科学的な原発安全神話の誤りについて授業で教えるべきだ」と政府をただしました。

 政府側が、中立公正に公募し選考すると答弁したのに対し、たつみ議員は、エネ理研作成の教材には、科学的根拠の不確かな放射線ホルミシス理論(ラジウムが体に良いなどとする説)や自然エネルギーの普及は困難だと印象を与える記述がある問題を指摘。さらに同法人の中村日出夫代表理事が原発再稼働を政府に求める民間提言に名を連ねていた事実を示し、「到底中立性は担保できない。この事業(出前授業)そのものの妥当性が問われている」とし、エネ理研のような団体が受託することはあってはならないと主張しました。

 たつみ議員の質問に対し、文科大臣は「授業内容を確認させていただきたい」と答弁。国会質問後に締め切られた17年度の委託先公募では、選定の結果、別団体が受託しました。

(大阪民主新報、2018年11月4日号より)

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