声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
憲法9条が歯止めに 企業を通して戦地に若者送る恐ろしい発想
「日本の航空法は軍需品輸送を規定しない。これはそもそも憲法9条が歯止めになっているからです」(2015年8月26日、参院安保法制特別委員会)
自衛隊イラク派兵に様々な民間企業が関与した事実を追及した国会質問の中でたつみコータロー議員は、民間機の軍事利用を原則禁止する国際民間航空条約(シカゴ条約)を取り上げ、自衛隊がチャーターした民間機は同条約に該当するかと政府に質問しました。
防衛相が「個々のケースごと総合的に判断する」と答弁したのに対し、たつみ議員は日本政府の判断基準は不明瞭だと批判。「相手国からすれば、兵員や武器弾薬を輸送する民間機、これが『国の航空機』とみなされ、軍事目標となる」と指摘し、米パンナム航空が戦争を続ける米国の象徴とされ、テロの標的となり破綻した事実を示し、「これを反面教師とするべきだ。日本の航空機は軍事目標にされない、この土台を掘り崩すのが(戦争)法案だ」と厳しく批判しました。
空だけでなく港も
たつみ議員は、2015年改定の日米軍事協力のための指針(新ガイドライン)に民間空港と港湾に対する「実地調査」の協力が盛り込まれた問題を指摘。08年にも米国が日本国内の23港湾・空港の調査を要求していたとの内部告発に基づく事実を示し、「実地調査の協力」「調査」とは何かと追及しました。防衛相は「緊急事態における対応に関わるもので、事柄の性質上、お答えは差し控えたい」と内容を明らかにすることを拒否しました。
全国港湾労働組合連合会が戦争法案の廃案を求める決議で、「戦争は前線も後方支援も平たん基地も一体で進められ、平たん基地が攻撃対象となることは必定。港湾労働者は戦争の加害者にも被害者にもならない」と決意を示しているとし、たつみ議員はこの国民の声を受け止めるよう政府に迫り、米軍との戦争協力について調査結果を公表するよう重ねて求めました。
〝体育会系〟を確保
続けてたつみ議員は現代版「徴兵制」ともいえる民間企業の新入社員を期限付きで自衛隊に入隊させる制度を告発しました。
たつみ議員が追及したのは「長期 自衛隊インターンシップ・プログラム(イメージ)」と題された1枚の文書で、副題には「企業と提携した人材確保育成プログラム」と書かれています。
民間企業の新入社員を2年間の任期制で自衛隊に入隊させる制度を検討した同省の内部資料。「企業側で新規採用者等を2年間、自衛隊に『実習生』として派遣する」とされています。
企業側の意思で「新規採用者を2年間、実習生として派遣」するとの形ですが、自衛隊側は「自衛官として勤務させ」ると明記。一定の資格も取得させ企業に戻すとしています。
文書には「人材の相互活用を図る」企業側の利点として、「自衛隊製“体育会系”人材を毎年、一定数確保することが可能」などと強調。さらに防衛省側の利点として、「『援護』不要の若くて有為な人材を毎年確保できる」と記述しています。「将来的には予備自(予備自衛官)としての活用も視野」とあり、若手不足を補う防衛省の狙いが露骨に示されています。
たつみ議員の追及に防衛相は、経済同友会の前原金一専務理事(当時)から自衛隊のインターンシップ受け入れについて関心が示されたとし、13年7月に経済同友会側に示したプログラムの一案だと認めました。
「なぜ体育会系人材を確保することが、企業側のメリットだと防衛省は考えたのか?」。たつみ議員の質問に対し、防衛相はまともに答弁できず、「課題が多数あり、今後検討を行う予定もない」と釈明に追われました。
たつみ議員は、米国の無法な戦争に日本が加担するのが戦争法だと述べ、「企業を通じて戦地に若者を送るような制度を経営者に提案するその発想そのものが恐ろしい」と厳しく批判しました。
(大阪民主新報、2018年11月18日号より)