おおさかナウ

2018年11月18日

南海トラフ巨大地震
防潮堤の強化を抜本的に
大阪市議会 日本共産党が提案

 大阪北部地震(6月)や台風21号(9月)による被害を受けて、住民の命と安全を守る大阪市の役割があらためて問われている中、日本共産党は大阪市議会で、南海トラフ巨大地震による津波に備えて、防潮堤の耐震化やかさ上げの取り組みを抜本的に強化するよう求めています。

M9レベルで耐震化すべき

耐震化工事中の防潮堤(大阪市大正区鶴町1丁目。こはら議員提供)

耐震化工事中の防潮堤(大阪市大正区鶴町1丁目。こはら議員提供)

 南海トラフ巨大地震対策で大阪市港湾局は、所管する防潮堤約60㌔㍍のうち、マグニチュード(M)8クラスの地震が発生すれば崩壊する部分計14・4㌔㍍を対象に、2014年からおおむね10年計画で耐震化工事を進めています。

 本会議の一般質問(10月25日)で瀬戸一正団長は、計画対象の防潮堤はM9クラスの地震に耐えられるよう耐震補強されているが、対象外の約45㌔㍍は、M9クラスの地震には十分な耐震性が確保できていないという、矛盾があることを明らかにしました。

 また、M9クラスの地震による津波(レベル2)の高さは、いくつかの行政区で現在の堤防高を上回っていることから、耐震化計画が完了しても被害想定では大正・西成・住之江・港・此花・西淀川の各区で計1900㌶が浸水すると指摘。被害を未然に防ぐため、すべての堤防をM9対応に耐震化し、レベル2の津波の高さよりも低い防潮堤はかさ上げするよう求めました。

開発優先の維新政治の弊害

瀬戸一正市議

瀬戸一正市議

 吉村洋文大阪市長は、中央防災会議の見解に準じてM8クラスの地震には防潮堤の整備などハード対策を行うが、M9クラスは1千年に1度の想定であり、住民避難などソフト対策を行うと述べ、瀬戸氏の提案に背を向けました。

 瀬戸氏は、現在の高さの防潮堤は第2室戸台風(1961年)を教訓に1300億円を投じて整備し、年200億円の維持費をかけているとし、「この防潮堤が台風21号で未然に防いだ被害総額は約17億円といわれる。M9対応の耐震化はこれに匹敵するほどの値打ちがある」と力説しました。

 さらに14・4㌔㍍分の耐震化の事業費は430億円で、換算すれば残りの約45㌔㍍の耐震化に必要なのは1362億円だと指摘。一方、不要不急の地下鉄道「なにわ筋線」建設での国・府・市の公金支出は1950億円だとし、「この金を防潮堤整備に回すなら巨大地震への備えができる。大阪市民を地震と津波の災害から守ることよりも、なにわ筋線などの大型開発を優先する。ここに維新政治の一番の弊害がある」と批判しました。

新たな対策は大阪市の責務

こはら孝志市議

こはら孝志市議

 決算特別委員会(6日)では、こはら孝志議員が防潮堤の津波対策について質問。M9クラスの南海トラフ地震による津波が襲った場合、尻無川大水門はじめ防潮水門の外にある地域で浸水が想定されている地域について、防潮堤の現状や整備にかかる費用をただしました。

 港湾局は、地震による液状化などで、約10㌔㍍の防潮堤で最大1メートル、最少数㌢㍍の高さが津波高より足りなくなると答弁。かさ上げなどの対策工事には「相当の事業費を要する」と述べるにとどまりました。

 こはら氏は、現在の防潮堤の整備計画が完了しても、経済的被害の想定は12兆5千億円に上ると指摘し、「新たな津波対策は必要であり、大阪市の責務だ」と強調。大阪市には、過去の災害の教訓から先駆的な高潮対策を講じてきた歴史があるとし、南海トラフ巨大地震の津波から市民の命・財産を守るために、防潮堤の整備計画を見直すべき」と主張しました。


(大阪民主新報、2018年11月18日号より)

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