声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
リニアに公的資金投入 国民負担のリスク
「リニアは単体でペイしないとJR東海自身が認めるほど採算性に乏しい」「自己負担原則の事業認可の大前提が崩れた。過去の反省なく財政投入する安倍政権の姿勢もあらわになった」。日本共産党の、たつみコータロー参院議員は2016年10月13日の参院予算委員会で、リニア中央新幹線建設問題を取り上げ、財政投融資(財投)による公的資金の投入計画を取り上げ、償還の確実性も検証しないずさんな計画だと追及し建設認可の撤回を求めました。
全額を自己資金で
リニア中央新幹線は、東京―名古屋―大阪間を超伝導リニアで結ぶ総事業費9兆円ともいわれる巨大整備計画。政府は、全額自己資金で建設するとしたJR東海を事業主体に指名し東京、山梨などで着工されています。
東京―名古屋間の86%がトンネルで、計画区間にはマグニチュード7の大地震を引き起こす可能性のある活断層帯が7カ所も存在。大深度地下工事や南アルプス山岳地を貫くトンネル掘削など難工事が予想され建設費が膨れ上がるのは必至とみられます。さらに大量の建設残土や地下水脈破断による水枯れなど広範囲にわたり生態系や生活環境に影響を及ぼすと懸念されています。
問題山積のリニア計画で政府は2016年6月、名古屋~大阪間の開業時期を早めるため、国債の一種である財政投融資を活用してJR東海に建設資金を貸し付ける計画を打ち出しました。貸し付け規模は総額3兆円。30年間返済猶予され、その後10年間で償還させるという破格の条件です。財投は金利が固定化されるため、現状では超低金利の返済となります。
前提条件をほごに
もともと建設費全額を自己調達するとしたJR東海の計画は、急激な経営悪化を招かないよう2027年の東海―名古屋開業後は8年間営業して債務を減らし、35年に大阪延伸工事を再開するというものでした。
日銀が超低金利政策を続ける中、財投で建設資金を借りられればJR東海は利払い費の圧縮が可能となり、政府は大阪延伸の工事着工を最大8年前倒しできるとしています。
財投活用は建設費の自己調達という事業認可の前提条件をほごにするものです。公的資金投入による国民負担増のリスクが増えることとなり、整備計画や工事認可決定を撤回し、国会審議や国民的議論をやり直す必要があります。
政府による支援だ
「今世紀最大のプロジェクト、夢の超特急とバラ色に描くが事業そのものの必要性、採算性に大きな疑問がある」
たつみ議員は、リニア中央新幹線の事業主体がJR東海となった経緯を示し、「国はJR東海に資金援助せず、そしてJR東海も資金援助は求めることなく自己資金で貫徹するからこそ認可されたのがリニア新幹線だ」と強調。政府による3兆円の財政投融資という公的資金投入は明らかな支援ではないかと追及しました。(この項続く)
(大阪民主新報、2019年1月27日号より)