どうみる?
維新の「密約暴露」劇
行き詰まる「都」構想
Q&A
松井知事が昨年末、突然「公明党との密約」文書を暴露して、公明党がいうことを聞かないなら、4月の統一地方選と同日で「出直し知事・大阪市長ダブル選挙」に打って出ると言い出しました。この事態をどうみるか。Q&Aで見てみました。
(Q1)
維新と公明の「密約」って?
なぜ「出直しダブル選」?
住民不在で「何でも政局」にする政治
松井知事が暴露した「密約」は、2017年4月17日に交わされ、①平成29年5月議会(大阪府議会、大阪市会)において、特別区設置協議会議案をそれぞれ可決する、②特別区設置協議会において慎重かつ丁寧な議論を尽くすことを前提に、今任期中で住民投票を実施すること、という内容です。「大阪都」構想への「住民投票」実施を府民・市民不在で進めるヤミ取引です。
松井知事は、これを公明党が守らないから「統一地方選と同日ダブル選挙」を言い出しました。
狙いは、公明党を脅かし、「住民投票」に持ち込む。さもなくば、「強行突破」で、「ダブル選」をテコに府議選・大阪市議選で「維新単独過半数」を得ることです。
どちらも府民・市民には大きな迷惑です。正々堂々と府民市民に中身を訴え、支持を得ることができず、「密約」と「脅かし」「何でも政局」でしか前に動かせない「大阪都」構想はきっぱり断念し、「維新政治」は大本から転換すべきです。
(Q2)
2015年の住民投票で否決されたのに、なぜまた?
何重もの嘘で塗り固められた都構想
「大阪都」構想はそもそも2011年、ダブル選挙で「だまされないで下さい。維新の会は大阪市をバラバラにしません」などと真っ赤なウソを法定ビラに書き、橋下市長を誕生させ、「大阪市廃止・解体」の道を突っ走ってきたものです。
2015年の「住民投票」も、「特別区」設置の「協定書」に維新以外の各党が反対して一度否決されたのに、官邸にすがって創価学会本部に働き掛け、大阪の公明党の態度を180度ひっくり返してこぎつけました。この時、維新は「ラストチャンス。二度目の予定はありません」などと訴えましたが、市民は「都構想ノー」の審判を下し、橋下氏は「政界引退」を表明しました。
ところが2015年秋のダブル選挙で、吉村市長候補の選挙公報には一言もなかったのに、勝利すると「再挑戦の民意を得た」とうそぶいて、またぞろ進めてきたものです。
追い詰められるごとにウソとペテンを繰り返すのは、住民自治も、民主主義も壊すものです。
(Q3)
「維新が大阪を変えた」と宣伝していますが?
安倍政権補完 大阪壊しの異質の悪政
「改革」どころか、国政では「カジノ実施法」でも「働き方改悪」でも、安倍政権に「何でも賛成」し、暴走を助けているのが維新です。
「大阪を変えてきた」どころか、住民投票で審判が下された「大阪市壊し」の「大阪都」構想にしがみつき、「敬老パス有料化」や「住吉市民病院つぶし」も進めました。「テスト漬け」の異常な競争・管理教育や、政治に差別と分断、ウソを持ち込んだことも大問題です。昨年、台風21号で甚大な被害が生まれたのに、松井知事は沖縄県知事選の応援や「万博招致」のための外遊を優先しました。
その一方、カジノ誘致と巨大公共事業にひた走るなど、従来の府政・市政にはなかった「異質の悪政」を進めています。
安倍政権と維新政治の下、大阪の1人当たりの府民所得は330万円から312万円へ減少(2007→2015年度)、府内総生産もマイナス2・1%に落ち込み、貧困世帯の割合は23・2%と全国最悪水準です。
(Q4)
「二重行政の解消」のために「大阪都」は必要では?
「市民に役立つ施設」次々つぶす維新
維新が「二重行政のムダ」と言って廃止・統合したのは、府民にとって大事なものばかりです。地域でかけがえのない小児・周産期医療機能を担ってきた住吉市民病院の廃止。「府大」「市大」の法人統合や「公衆衛生研究所」「環境科学研究所」、信用保証協会――。なぜこれが「ムダ」なのでしょうか。
ぜひ、現実を見て下さい。
――大学、病院、研究所に「府立」と「市立」が両方あることは、市民にとって役立ちます。
――「二重行政解消」で浮く金額は?前回の「住民投票」では、せいぜい1億円、逆に「特別区」を新たにつくると600億円ものコストがのしかかることが明らかにされました。
――府の「りんくうゲートタワービル」と市の「旧WTCビル」の破綻は、「二重行政のムダ」ではなく、府も、市も、関西財界の意をくんで進めたものです。
――松井知事らは大手前と咲州に府庁の「二重庁舎」をつくっているのに、「解消」しようとしません。
(Q5)
「府市一体」でこそ「大阪の成長」があるのでは?
府も市も湾岸開発で破綻 カジノまで
いいえ。1990年代以来の「大阪湾ベイエリア開発」を見て下さい。「府市一体」で、関西財界とともに「特別法」や「推進機構」をつくって進めましたが、旧WTCビルやATCビル、りんくうゲートタワービルなどはことごとく大失敗。莫大な「負の遺産」をつくりました。「バラバラの二重行政」だったからではありません。「府も、市も」、政策の大失敗をしたのです。
ところが、維新は、今度は「府市一体」で人工島・夢洲での「カジノ」開業を「成長戦略」だとうそぶきます。そして「大阪万博」を隠れ蓑に、メトロ中央線、JR桜島線、京阪中之島線などの延伸、夢舞大橋の拡幅計画などおびただしい巨大開発計画をだしています。昨年4月に民営化したばかりの大阪メトロは年末に、カジノ開業に合わせ高さ250㍍を超える駅ビル建設に1千億円をかけると発表しました。
これは「ベイエリア開発」の二の舞。「府市一体」で新たな「負の遺産」を生み出します。
(Q6)
「特別区」にすれば住民サービスはよくなる?
暮らし守る財源も権限も府に奪われ
「大阪都」になれば、政令市・大阪市がもっている、暮らしを守るための財源と権限が「都」(大阪府)に奪われます。消防や下水、まちづくりなどの仕事も大阪府に取り上げられます。そして、4つの「特別区」にバラバラにされると、国からの「地方交付税」は入ってこず、借金である「臨時財政対策債」だけが押し付けられます。
その上、「特別区」設置に伴う費用は、庁舎の建設などで最大637億円もかかり、さらに新たな議会の設置経費や人件費増・システム運用経費などの維持管理費は毎年50~60億円も必要で、将来にわたって負担は続きます。
「半人前の自治体」に格下げされた「特別区」では、少ない税収のもとで、資産を売り飛ばすか、住民サービスを低下させるか、どちらかの選択しかありません。
しかも、「大阪都」になってしまえば、二度と大阪市に戻ることはできません。住民サービスを守り、よくするためには、「大阪都」にはきっぱりノー。
(Q7)
なぜ自民党から共産党まで一緒に維新政治に反対?
「異質の悪政」なくすためのスクラム
それは「維新政治」が「異質の悪政」だからです。何よりも「住民投票」で否決された大阪市つぶし、暮らし壊し、民主主義も壊すやり方に、「維新」以外のすべての会派が反対しています。
おまけに維新は、府民多数が反対する「カジノ誘致」をごり押し。テスト、テストの異常な管理・競争教育を進めてきました。
「住民投票」でもみられた、市民に分断と対立をあおるやり方にも、維新以外の各党が批判しています。
2017年総選挙の際、党首討論で松井知事が日本共産党の志位委員長に「なぜ大阪で自民党と一緒に?」と質問し、志位さんが「それは維新政治がひどすぎるからだ」「堺市長選でも審判が下された」と返すと、知事は二の句が継げなくなりました。
「異質の悪政」なくすためのスクラムは当然です。安倍政権への態度や政策の違いを超えて、「独裁的」ではない、まともな府政・大阪市政と議会の姿を取り戻すための共同を進めているのです。
(Q8)
大阪の行き詰まりをどう打開する?
カジノより暮らし、中小企業、防災を
「暮らしの安心・希望」を築くため、国政では何よりも「消費税増税ストップ」を。こんな時に増税すれば、庶民の暮らしも「商都大阪」の経済も台なしです。破綻した「アベノミクス」ではなく、「賃上げ」をはじめ、「暮らし第一」の経済政策に変えることです。「あまりにも大企業中心」から「中小企業主役」へ、かじ取りを切り替えることも必要です。
大阪では「カジノより暮らしの安心、希望を」を合言葉に、不幸を食い物にするカジノ誘致を断念させ、税金は「カジノより防災」「カジノより福祉」に使えと声を上げましょう。
市民に分断と対立を持ち込む「維新政治」でなく、お互いが尊重され、多様性のある「庶民の大阪」を取り戻すことも大事です。安倍政権に追随し、「副首都」などといって何でも東京のものまねするのではなく、大阪の進路は大阪で決めましょう。
「維新政治」の転換で、新しい大阪をご一緒につくっていきましょう。
(大阪民主新報、2019年1月27日号より)