おおさかナウ

2019年02月03日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
公的資金に道理なし 「赤字のリニア」と大臣答弁
明らかな支援だ 

リニア問題で質問するたつみ参院議員=2016年10月13日、参院予算委員会

リニア問題で質問するたつみ参院議員=2016年10月13日、参院予算委員会

 「3兆円の財政投融資という公的資金投入は明らかな支援ではないか」「JRは市場金利より低い金利で多額の借金を借り続けられる。利益供与ではないのか」(2016年10月13日の参院予算委員会)。

 たつみコータロー議員は、JR東海の自己調達が前提だったリニア計画への公的資金投入計画を追及しました。これに対し、安倍晋三首相は、「かつては公的融資といえども今より金利が高かったが、現在は低金利状態が出現した」「調達金利とJR東海から返してもらう金利は同じだから経営支援ではない」と述べ、民間企業への利益供与を金利の問題にすり替えて答弁しました。

 石井啓一国交相も「貸し付けた財投資金はJR東海より利払いもされ、元金も全額償還される」と答弁しましたが、たつみ議員は、貸付期間40年(据置期間30年に償還開始))、超低金利・固定などの貸付条件の問題を示し、将来的に金利が上昇すれば、金利差が生じ国がもらう利息より財投調達に支払う利息が多くなって国民負担で穴埋めする恐れがあると指摘。「JR東海はそのときの市場金利より低い金利で多額の借金を続けられることになる。これはもう利益供与でないか」と批判しました。

麻生財務相が強弁

 財政投融資は90年代に社会保障予算の2倍に膨らむなど「第2の予算」と呼ばれるほど規模が拡大。不要不急の大型開発など「ばらまき」だと批判が広がって、財投改革と称して縮小されてきた経緯があります。

 たつみ議員が質問で、事業の償還確実性の精査、政策コスト分析の導入、情報開示の徹底などが大前提だと指摘したのに対し、麻生太郎財務相は、財投改革で負債圧縮などに取り組んだと述べ、JR東海の経営状態に触れながら、「少なくとも、赤字のリニアモーターを抱えても、私どもが貸し付ける3兆円の金に関しては十分償還が確保される」と強弁しました。

事業規模こそ問題

 「大臣、今、リニア事業そのものは赤字になるとお認めになりました。では償還の確実性がどう精査されたのか。財投はこの事業費規模こそが問題だ」

 たつみ議員は過小見積もりで失敗した数々の公共事業や大型開発を指摘。リニア計画調査時(08年)に比べ、人件費、資材価格等が急騰しているとし、「リニア新幹線の積算額は妥当なのか。名古屋まで5・5兆円、全体9兆円で済むのか。財務省、これ確認したのですか」と迫りました。

 リニアは赤字事業と認めた麻生財務相は、「現時点において工事費の増加が予想される状況が生じているとは聞いていない」と答弁。「国交省が工事費を妥当と判断をしておられる」などと述べ、財務省としてまともに確認していないことを認めました。

バラマキに無反省

たつみ議員も報告したリニア問題シンポジウム=2015年10月24日、愛知県内【写真提供=しんぶん赤旗】

たつみ議員も報告したリニア問題シンポジウム=2015年10月24日、愛知県内【写真提供=しんぶん赤旗】

 JR東海がゼネコンとの契約金額について国交相が「公開していない」と答弁しました。これに対し、たつみ議員は、「3兆円もの公的資金を入れるのに公表しないのは問題だ」と指摘。安易な財投活用が財政負担増を招いたとする政府の資金運用審議会懇談会の報告書を示し、「景気対策、成長戦略という名の下に、大型公共事業のバラマキに財投を活用しようというのが安倍政権だ。まったく反省なしだ」と批判しました。

 その上で「今やるべきことは、東海道新幹線の老朽化対策、在来線ではホームドアの設置、そして無人駅の拡大をやめて、安全・安心の人員配置を進めることだ」と強く訴えました。

(大阪民主新報、2019年1月27日号より)

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