決着済みの「大阪都」構想
直ちに議論打ち止めを
大阪市を廃止・分割する「大阪都」構想の制度設計を議論する大都市制度(特別区設置)協議会(法定協)の第21回目の会合が8日、府庁内で開かれました。過去2回の法定協は公明党や自民党が提出した動議の採決をめぐって紛糾して散会しましたが、今回は副首都推進局に対する事務局質疑を再開。日本共産党大阪市議団の山中智子幹事長は意見表明で、これまでの議論で「大阪都」構想の問題には決着がついているとし、法定協での議論は「ただちに打ち止めにすべき」と主張しました。
第21回法定協議 山中智子大阪市議が表明
「都」構想問題は結論が出ている
山中氏は、松井一郎知事や吉村洋文大阪市長が住民投票実施に固執し、何が何でも議員の任期中に「特別区」設置協定書をまとめると言い出し、法定協の今井豊会長(維新府議)による独断的・一方的な法定協の開催が繰り返されていることは「暴挙だ」と批判。運営でも自分たちに都合のよい動議は採決し、都合の悪い動議は採決しないなど、とんでもないことが行われていると指摘しました。
山中氏は、法定協や大阪市議会大都市税財政制度特別委員会での2年近い議論の積み重ねで、「もう結論は出ている」と強調。「特別区」は自主財源の乏しい半人前の自治体で、庁舎建設やシステム改修、職員増などで膨大なコストがかかり、住民サービスは削らざるを得なくなるとし、「ただただ、大阪市をつぶして一人の指揮官にするという、究極の地方自治破壊であり、まさに百害あって一利なしだ」と断じました。
市民も反対多数潔く断念すべき
「都」構想は2015年の住民投票で否決されて以来、大阪市民の間では一貫して反対多数であり、府市両議会でも反対が過半数に達していることが明らかになっているとし、「『都』構想が提案者にとって一丁目一番地であろうが、(再挑戦が)選挙公約であろうが、潔く断念するのが至当だ」と述べました。
「大阪都」構想をめぐっては、昨年末以来、松井氏が公明党と交わした「今任期中で住民投票を実施すること」との「密約」を公表。それが実行されなければ「出直しダブル選」に打って出ることも示唆してきました。
一連の動きに山中氏は、「民主主義も、市民的立場もなく、一片の道理もない。打算に基づく裏取引で、『都』構想の中身などどうでもいい、住民投票さえできればいいという一事しかない」と厳しく批判しました。
「謝罪」はしたが動議採決を拒否
今井会長らが「法定協は協定書を取りまとめるのが目的」などと繰り返し発言していることを踏まえて山中氏は、市町村合併でも合併協議会で議論が不調に終わった例も数多くあるとして、「議論を尽くした結果、取りまとめに至らないことも大いにある」と指摘。「年末からの“場外乱闘”とも言うべき事態に立ち至った状況の下で、しかも重要な予算議会が始まっている中で、もうこれ以上、法定協での議論を続ける意味を持たない」と述べました。
会議の冒頭、今井会長がこの間の法定協の混乱について「不本意な運営となった」と、謝罪めいた発言を行ったのを受け、公明党は事務局質疑を再開しました。会議の最後には、自民党が動議の取り扱いをめぐる動議を再び提出。これに対し、今井氏はこれまで同様、「(会長の)議事整理権を奪う」として採決を拒否し、一方的に会議を打ち切りました。
(大阪民主新報、2019年2月17日号より)