おおさかナウ

2019年03月10日

大阪市議会代表質問
カジノ・「都」構想やめ防災・福祉・教育に
日本共産党 山中智子幹事長が追及

 2月28日の大阪市議会本会議で日本共産党大阪市議団の山中智子幹事長が代表質問に立ちました。大阪市を廃止・分割する「大阪都」構想、カジノ誘致、防災対策、市民生活・教育などについて吉村洋文市長(大阪維新の会政調会長)の政治姿勢を追及。住民の福祉増進に努めるという地方自治体本来の役割を、大阪市政が果たすよう迫りました。

反対が多数で決着済み
市長は潔く断念すべき 「都」構想

    代表質問に立つ山中智子幹事長=2月28日、大阪市役所内

代表質問に立つ山中智子幹事長=2月28日、大阪市役所内

 山中氏は昨年末以来、「都」構想の住民投票実施をめぐる「密約暴露」劇や「出直しダブル選」などの動きについて「どこまで市民をばかにし、市政をもてあそぶのか」と批判しました。「都」構想は2015年の住民投票で決着済みで、その後の世論調査でも市民の多数が反対だと指摘。法定協などの議論を通じて議会でも反対多数だとし、「潔く『都』構想は断念すべき」と迫りました。

 吉村氏は「再挑戦を公約して市長になった。実現するのは当然」と強弁。「多数が反対なら住民投票で否決すればいい」とうそぶきました。

 山中氏は「住民投票で否決された」ときっぱり反論。大阪市を廃止して設置する「特別区」は自主財源の乏しい半人前の自治体にすぎず、職員増や庁舎建設などで莫大なコストがかかり、市民サービスの削減は必至で「まさに百害あって一利なしだ」と断じました。

大阪周辺の市民が標的
不幸と依存症を増やす カジノ誘致

 カジノを核とした統合型リゾート(IR)を大阪湾の埋め立て地・夢洲(ゆめしま)に誘致しようとしている維新府市政は2月に「大阪IR基本構想案」を発表しました。

 山中氏は、アジア地域ではカジノ・IRは飽和状態で、夢洲にアジアの富裕層が来る見通しはないとし、「国内客がターゲットだ」と指摘。同案の想定では、カジノのもうけの約4割(1600億円)を国内客から巻き上げ、年間の国内客440万人の82%が「日帰り圏内」だとし、「ギャンブルにのめり込み、1千数百億円もの損を重ねる大阪周辺の一般市民が生まれる。こんなことに手を貸すのか」と追及しました。

 吉村氏が、カジノ誘致で経済波及効果が生まれるなどと答弁したのに対し、山中氏は、大阪周辺の市民が損をし、利益の7割は外国(カジノ業者)が持っていくため、「大阪の経済が良くなる道理がない」と反論。「市民を不幸のどん底に陥れることで大もうけするカジノ。その誘致に血道を上げるなど、住民の福祉の増進に努めるべき地方自治体のなすべきことではない」と主張しました。

南海トラフ地震に備え
耐震化の抜本見直しを 災害対策

 山中氏は、万博開催やカジノ誘致を契機にした夢洲関連の巨大開発は中止し、台風や地震・津波などの災害対策にこそ人も予算も注ぐべきだと強調。昨年9月の台風21号で被害を受けた、堤防外の埋め立て地などの高潮対策は新年度予算案に計上されているが、堤防内の対策についても調査検討するよう求めました。

 南海トラフ巨大地震でマグニチュード(M)9程度の地震と津波が想定される中、防潮堤の耐震化工事を総延長60㌔㍍のうち32・7㌔㍍で実施する当初計画が、M8対応を前提に13・5㌔㍍へ縮小されています。山中氏は「災害に強い街づくりが叫ばれるときに、耐震化計画の縮減とは、耳を疑う」と指摘。M9クラスの地震では、工事を実施しない区域の大正・港・此花などの各区では、1㍍以上浸水する箇所は広範囲に及ぶと警告しました。

 吉村氏は、浸水の可能性を認める一方、「ハード対策だけでなく、避難などソフト対策が必要」と答弁。山中氏は計画外の防潮堤の耐震性などを調査した上で、耐震化計画を抜本的に見直すよう強く求めました。

市民の負担はもう限界
大幅引き下げを緊急に 国保料

 山中氏は、国民健康保険(国保)について「高すぎて払えない、なんとか払える保険料にとの市民の願いは本当に切実だ」と力説。大阪市では4人世帯・給与年収400万円の場合、保険料は42万円に上り、協会健保の2倍以上の重い負担だとし、「保険料を協会健保並みに近づけるよう、国と知事に働き掛け、大幅引き下げ実現に力を尽くすべき」と迫りました。

 さらに国保の均等割で、世帯人数が多いほど保険料が高くなるとし、「人頭税のような均等割りの見直しについて、国に制度改善を求めるべき」と要求。均等割の保険料率を毎年1%ずつ6年間引き上げていく「府下統一保険料方式」をやめるよう求めると同時に、一般会計からの任意繰り入れを、あと60億円増やせば、加入者1人当たり年1万円を引き下げることができると提案しました。

 吉村氏は、「府下統一保険料方式」に固執し、任意繰り入れそのものを解消すべきと述べるなど、冷たい答弁に終始。山中氏は法的には府下統一をしなくても問題ないと反論しました。

点数偏重は直ちに改め
教育条件整備こそ責務 学校教育

 学校教育の問題について山中氏は、大阪市では小学3~6年の「学力経年テスト」、中学1~3年の府「チャレンジテスト」、中学3年は市「中学統一テスト」があり、中学3年生は年13回もの「テスト漬け」になっていると指摘。そのテスト結果を校長の給与や、学校予算に反映する制度を市長の主導で導入しようとしていることは大問題だとし、中止するよう求めました。

 その上で、子どもたちに行き届いた教育を保証するための教育条件の整備こそ、市の責務だと強調しました。産休などの際の代替講師の未配置が昨年12月段階で小学校64人、中学校6人となっていることも示し、深刻な教員不足や教員の過重負担の解消、市独自に35人学級に踏み出すことなどが必要だと述べました。

 災害時に避難場所ともなる学校体育館への空調設備は、新年度予算案で各区の中学校1校、計24カ所に設置する予算が計上されたが、「まったく間尺に合わない」と指摘。吉村氏が全中学校に設置する考えを示したのを受け、さらにすべての小学校や高校でも計画的に設置を進めるよう求めました。


(大阪民主新報、2019年3月10日号より)

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