おおさかナウ

2019年03月10日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
若者の命がなぜ奪われたのか 軽井沢バス転落事故

組合や官僚から意見聴取する、たつみ議員ら=2016年2月16日、国会内

組合や官僚から意見聴取する、たつみ議員ら=2016年2月16日、国会内

 「未来ある若者の命がなぜ奪われてしまったのか、大臣、なぜ事故は起こったのでしょうか」

 たつみ議員は2016年3月10日の参院国土交通委員会で、同年1月15日に大学生ら15人が犠牲になった軽井沢バス転落事故について、政府をただしました。

 事故は午前1時55分頃、長野県軽井沢町の国道18号、碓氷バイパス入山峠付近で起きました。乗員乗客42人を乗せたツアーバスが崖下に転落し、大学生ら15人が死亡、27人が重軽傷を負いました。この運行会社では事故後、過労状態での勤務や定期整備を怠るなど、33件の違反が確認されました。

 重大事故が起きた背景には、2000年の道路運送法大改悪で「貸切バス」事業参入が免許制から「許可制」に規制緩和され、事業者数と車両数が急増して価格競争が激化、過労運転が常態化した問題があります。12年に7人が死亡する関越道バス事故が起き、国は13年に新制度「乗合(路線)バス」で運転上限距離などを設ける見直しを行いましたが、軽井沢ツアーバスは新制度規制外の「貸切バス」扱いでした。

一番のサービス

軽井沢スキーバスの事故現場を視察するたつみ議員ら=2016年1月30日、長野県軽井沢町内(「しんぶん赤旗」提供)

軽井沢スキーバスの事故現場を視察するたつみ議員ら=2016年1月30日、長野県軽井沢町内(「しんぶん赤旗」提供)

 たつみ議員は事故を「遺憾」と述べた国交相の答弁について、「規制緩和への反省が行政責任者として必要だ」と指摘。「規制緩和で悪質業者は淘汰されたのか」「関越道の事故以降、許可が取り消された事業者は幾つあるのか」と追及しました。

 規制緩和は▽市場競争優先▽安全・公共性の軽視▽運転手の低賃金化▽非正規・派遣、経験不足――をもたらしたと批判。「人の命を預かって運ぶのが旅客運送業。サービス多様化とか利便性向上などと言うのは駄目だ。安全が一番のサービスだと位置付けなければならない」と強調しました。

規制緩和が招いた

 たつみ議員は16年1月30日、同僚議員と共に長野県軽井沢町を訪れ、献花しました。積雪が残る国道18号の事故現場を調査し、現地警察署で壊れたバス車両の内部を視察。「命と安全を脅かす規制緩和から15年、政府による規制緩和が招いた事故だ。2度と事故が起きないよう国会で追及していく」と決意を語りました。

 2月16日には、国会内で党軽井沢スキーバス対策チームが、全国自動車交通労働組合総連合(自交総連)、同バス部会と懇談し、国土交通省、厚生労働省、観光庁へ意見聴取しました。

 国側が再発防止策として監査の実効性向上などと述べたのに対し、たつみ議員は「規制緩和が間違いだったという認識があるのか」と再三ただし、国交省担当者は「利用者の選択肢が増えるなど規制緩和のいい面もある」などと無責任な態度に終始しました。

過労死基準を超え

質問するたつみ議員=2016年3月10日、参院国土交通委員会(「しんぶん赤旗」提供)

質問するたつみ議員=2016年3月10日、参院国土交通委員会(「しんぶん赤旗」提供)

 たつみ議員は2014年3月17日の参院国土交通委員会でも、乗客ら2人が死亡した北陸自動車バス事故を取り上げ、運転手の長時間労働や低賃金の是正が必要だと政府に迫りました。

 事故で死亡した運転手の勤務実態は、「11日連続勤務、2月の休みは3日のみ」だったと指摘。厚労省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)が、過労死基準を超える長時間労働を容認していると厳しく批判。「長時間の過酷な運転をせずとも生活できる賃金を保障しなければ、事故は繰り返される」「これで安全が守られるのか。基準を見直すべきだ」と迫りました。

(大阪民主新報、2019年3月10日号より)

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