大義なき「入れ替えダブル選」
「都」構想行き詰まり府市政投げ出す
「さよなら維新」の大チャンス
統一地方選前半戦の府議選、大阪市・堺市議選の告示が3月29日に迫っています。大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想が行き詰まる中、松井一郎知事(大阪維新の会代表)と吉村洋文大阪市長(同政調会長)が8日、それぞれ知事・市長を辞職し、松井氏が市長選、吉村氏が知事選に入れ替えて立候補することを表明。知事選は21日、市長選は24日にそれぞれ告示されることになり、投票日は議員選と同日の4月7日です。
「密約」が破綻大義なき出馬
「都」構想の制度設計を議論する法定協議会(7日)で、今井豊会長(維新)が再度の住民投票を今秋の知事・大阪市長のダブル選と同時に実施する工程表を提案。維新側は、公明党との間で結んでいた「今任期中で住民投票を実施する」との「密約」をたてに、工程表への同意を迫りましたが、公明党を含む維新以外の全会派の反対多数で否決されました。
「公明党にだまされた。このままでは死んでも死にきれない」――8日の記者会見でこう語った松井氏。維新の一丁目一番地である「都」構想が暗礁に乗り上げた中、「もう一度民意を問いたい」と述べましたが、今回の「入れ替えダブル選」は「一片の大義もない」(日本共産党の柳利昭府委員長)ものです。
矛盾を隠して選挙をてこに
公明党との「密約」が破綻したことに加え、法定協などでの議論を通じて「都」構想そのものの行き詰まりが明らかになった挙句の府政、市政の投げ出し。その大本には、格差と貧困、災害対策そっちのけで万博誘致の外遊、国民健康保険料の大幅値上げに道を開く府一元化など、維新政治と府民・市民との相いれない矛盾があります。さらにこうした破綻を覆い隠し、ダブル選に勝てば「都」構想やカジノ誘致をごり押しするため、脱法的に知事・市長を入れ替えて今後4年間、首長の座にしがみつくとともに、府議選・市議選での「維新単独過半数」へのてことすることを狙ったものです。
「党利党略」と厳しい批判が
これに対し、9日付各紙も批判的な社説を出しました。「朝日」は、「大阪府議選と市議選にのぞむ党の仲間を後押ししようとする狙いがある。住民不在の党利党略と言うしかない」と指摘。「毎日」は「公約に固執して首長選を政治利用するなら、府政や市政の『私物化』と言われても仕方ない」「統一地方選とのダブル選の相乗効果を期待し、議会勢力を拡大を狙っているなら『党利党略』だろう」としています。
こうした中で、元副知事の小西禎一氏(64)が11日、自民党の要請を受けて知事選への立候補を表明。松井氏らが知事、市長の職を投げ出した「入れ替えダブル選」を批判し、知事選で「都構想の議論を終わりにしたい」と述べました。
(大阪民主新報、2019年3月17日号より)